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プリプリ美尻でまたがって腰をくねらせたら爆発しちゃうッ!

 クラス遠足で出かけた滋賀養鶏センター、帰路につく集合場所に戻る途中で、僕は小泉さんから小さなメモを渡された。女の子にこんなことをされるなんて初めてだ。

 でも、落ち着くんだ僕。その内容がうれしいことだとは限らないぞ。小泉さんに大胆に密着しすぎたから、苦情が書かれているかもしれないじゃないか。

 帰り道の途中の10分の休憩時間、僕はトイレにいくふりをして、彼女からもらったメモをこっそり開いた。悪い予感のビクビクが6割、期待のドキドキが4割の気持ちだった。開いたそこには、

「帰り道、七坂神社に集合。手前の酒屋さんのあたり!」

 と書かれていた。

 七坂神社というのは、地元で知られた縁結びの神社だ。

 ここにツーショットで行って、小高い丘の上でキスすれば2人は付き合えると言われる。

 ただしここに2人で行って、他の生徒に目撃されたら、翌日にはもう学校中のウワサになってしまう。だから絶対に見られてはいけない。

 小泉さんが待ち合わせ場所を酒屋さんに指定したのも、現場をおさえられるのを警戒したためだ。

 彼女はまた先に待っていてくれた。僕が小さく手を振って声をかけようとすると、小泉さんは自分の唇の前に人差し指を立てて、いたずらっぽく笑った。

 そうか、声を出さないほうが目立たないよね。

 2人は寄り添って、周りを気にしながら、七坂神社に歩いた。秘密めいたミッション感があってドキドキする。

 僕と小泉さんは、伝説の「丘上でのキス」をしてしまうのだろうか。

 まだ付き合ってもいないのに。

 しかもファーストキスさえ、まだしていない(?)のに…。

 いや彼女はそんなこと考えもせず、ただおしゃべりしに来ただけかもしれないけど…。 

 そのとき――、

 遠くから低く太い掛け声が響いてきた、

「イチニッ…、イチニッ!」

 あ、野球部が走るときの定番なやつだ。こちらにだんだんと近づいてくる。

 急いで隠れる場所を探した。見つかったら絶対ヤバい。

 僕は、

「こっち!」

 と言って、芝生の上に立てられた記念碑の陰に彼女を招いて、自分は仰向けに寝転んでそこに滑り込んだ。記念碑の高さは腰の上ぐらいだ。

 やってきた小泉さんの上体を支えながら、なるべく低い姿勢を取ってもらう。

 すると小泉さんが僕に馬乗りになった態勢になってしまった。いわゆるマウントポジションってやつだ。

 野球部は七坂神社に大きな靴音を揃えながら入ってきて、

「ストレッチやるぞ!」

 と丸くなって体をほぐし始めた。

 こら、野球部、縁結びの聖地なんかで練習すんじゃねぇ! と心のなかで思ったけど、もちろん声には出さない。もしかして野球部は仲のいい男女をうらやんで邪魔をしにきているだけかも。そんなことしなくてもキミたちは野球部というだけでモテているだろうに…。

 と妄想する僕の顔に、柔らかく温かいふわふわの感触が、花の香りとともにやってきた。

 それは小泉さんの下乳だった。少しかがんだ姿勢になったはずみに、バストが僕の顔に密着している。もちろんブラはしているんだろうけど、そのすべすべでもちもちな感触は、布地の上からもわかるし、やわらかな体操着はその触り心地を損なわずに伝えてくれるスグレものだ…って何を褒めているんだ僕は。

 とにかく顔中で彼女のバストのふくらみと柔らかみを味わえることになった。甘い香りに包まれながら、あたたかくふわふわですべすべな極上の感触を顔中に擦り付ける。幸せすぎる。

 僕の体は熱く燃える。体の真ん中から…。

 すると僕に変化が起き始めた。小泉さんが太ももを開いてまたいでいる僕の腰の真ん中あたりに体中の感覚が集中する。そこがひとりでに、彼女の脚の根本に密着してしまったのが感覚でわかる。

 僕は「まずい」と思い始めるが、彼女に擦りついた部分はどんどん熱くなって、密着した部分もどんどんふくらんで来て、熱くなっている感じがする。この体温は僕の? 小泉さんのもの?

 小泉さんは野球部の様子をうかがおうと上体を起こしてひねる。

 すると彼女の体の動きとともに、プリプリに締まったお尻もクイッと動き、キュッとくねる。すると彼女が脚の間にはさんでいる部分も連動してクイッ、キュッとくねらされて僕の頭に小さな稲妻が走る。

 彼女が態勢を元に戻すと今度はお尻が逆にキュッ、クイッとくねり、また野球部の様子を見ると、クイッ、キュッとお尻がくねる。何度も電撃的な快感を与えられて僕は頭がおかしくなりそうになった。

 僕は限界寸前まで来ていて、少し密着を外そうと自分から腰をひねった。

 すると逆効果だった。よけいに根本まで密着が進んで、ど真ん中まで達してしまったようだ。

 小泉さんが少し体をのけぞらせて、

「あんっっ…」

 と甘く切ない声を上げる。もう僕は、だめかも知れない――。

 その瞬間、

「ストレッチ終わり! 次は階段ダーッシュだ!!」

 野太い声が響いて僕は我に返った。

 野球部が大きな掛け声とともに、一斉にはるか上方の階段に駆け上がっていった。さすが体育会系だ。

 その姿が見えなくなると、小泉さんと僕は放心状態で立ち上がった。

「行っちゃったね。今日は見つかると危ないから帰ろうか…」

 小泉さんが、やっと笑顔に戻って言う。みんなを幸せにするいつもの笑顔だ。

「そうだね。今日は誘ってくれてありがとう」

 と僕も笑顔を返す。きっとしょぼい笑顔だけど。


「じゃあね。また明日」

 とお別れのときも弾ける笑顔をくれた小泉さん。

 彼女はもしかして小高い丘の上に行きたかったのかもしれない。

 僕は、といえば…小泉さんに対して受け身ばかり。

 ハプニングに乗っかって、彼女に対してあいまいな好意を示しているだけだ。

 このままではいつか、彼女に見捨てられる日がくるのかもしれない。

 小泉さんに対して、自分の本心が何も伝わらないままでいいのだろうか。

 いまの僕には、伝える勇気がない…。

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