キュッと締まったお尻にやさしくハサまれたら、夢心地で天に昇っちゃう…
遠足の「レクリエーション係」に任命された僕は、「ピンポン玉リレー」と「手つなぎ渡り鬼」をクラスでやることに決めた。
「手つなぎ渡り鬼」は真ん中をワニのいる川、両サイドを川岸に見立てたゲームで、鬼のワニは手をつないだ2人がやる。合図をしたら、両サイドのみんなが川の岸から反対の岸に向かって渡るのだが、ワニにタッチされたら鬼に加わる。ワニは4人になったら2人ずつ別れて、ワニがどんどん増えていく。最後まで残った人が勝ちになる。
ピンポン玉リレーは、その名のまんまで、班ごとに別れて、スプーンに乗せたピンポン玉を乗せてリレーしていくゲームだ。
6時間目の学級会は翌週に迫った遠足の予定確認にあてられ、レク係の僕はそれをみんなに説明した。クラスの反応も「おもしろそうだね」と悪くなかった。
放課後、小泉さんが僕のところに来て言った。
「レク、頑張って考えたんだね」
僕もうれしくなって答えた。
「小泉さんがヒントをくれたおかげだよ」
小泉さんが言う。
「ところで…遠藤くんってピンポン玉持ってるの?」
あっ…卓球部でもない限り、そんなもの普通に持っているはずはないじゃないか。
「ないなぁ」
「じゃあ、借りにいこうよ。体育の先生に頼もう」
と小泉さんが言う。
職員室に行って、山内さんが女子の体育を担当している武藤先生に事情を話すと、
「しばらく卓球の授業はないからいいよ。体育倉庫にあるから探してみて。備品貸し出しノートに返す日を書いていってね」
と、すんなりにオッケーが出た。きっと僕一人だと怪しまれて断られていたかもしれない。印象というのは恐ろしいものだ。
体育倉庫は電気をつけても少し薄暗い。小泉さんと跳び箱やらバレーボールのカゴをすり抜けながら探すが、すぐには見つからない。
「あっ、あれかな?」
と小泉さんが言う。指さした先は高い棚の上で、箱には確かに卓球ボールの絵が描かれている。僕が背伸びしても届かない高さだ。小泉さんが言う。
「私、小さな跳び箱の上に乗って取るから、遠藤くん、脚持って支えていて」
小泉さんが跳び箱の上に乗る。僕が後ろ側に回る。
彼女のスラリと伸びた白い脚が目の前にある。きめ細かい肌が輝くようでまぶしい。目線を上に上げると、スカートの奥のほうがきわどく見える。彼女が少し動くたびに純白の布地らしきものもチラリと見えて、僕の目はスナイパーのように秘密の白を追ってしまう。
いやいや、彼女の脚を支えなきゃ。
彼女の脚を支えると、自然に僕の顔は彼女の紺色のスカートに接触してしまった。スカートからは甘い香りがする。ああ、いい匂い。僕はその香りを思わず深く吸い込んでしまう。
そしてなにより、彼女の脚の手触りがすばらしい。すべすべでつややかで、それでいて手に吸い付いてくるような感触だ。
「じゃあ、取るから、脚しっかり持っててね」
小泉さんがそう言って、すこし前かがみになるように体を動かした。
すると彼女のお尻がじわじわと僕の顔にすりついてきた。ヒップの膨らみの感触が僕の鼻筋を包んでいく。彼女のお尻の割れ目が、僕の鼻を挟んでいるのだ。僕の胸が張り裂けそうになる…でも、嬉しい。スカートの甘い香りと、お尻の柔らかで暖かい感触に夢中になり、僕はもっと彼女のお尻に顔を埋めていってしまった。
「取れた!」
彼女はそんな僕にかまわず、ピンポン玉の箱を手にしっかり持っていた。
僕は我に返って、どもりながら答えた。
「じ、じゃあ、降りようね」
彼女の脚の片方を離して、彼女が降りるのを手伝った。
そのとき――
体育倉庫に向かってくる男子生徒たちの声がこちらに近づいてきた。
「コーンを8個持っていくぞ」
「あと、マーカーな」
サッカー部の連中らしい。体育倉庫に練習用具を取りにきたのだ。
僕らはとっさに大きな跳び箱の陰に隠れた。
小泉さんが前で、僕が後ろだ。僕が彼女を後ろから抱きかかえる姿勢になる。すると彼女のお尻が、僕の下半身にモロに押し付けられる形になった。
小泉さんの柔らかながらキュッと締まったヒップが、僕の下半身を挟むように刺激する。優しいながら刺激的な感触だ。僕の意識が下半身に集まってもう何も考えられなくなる。
サッカー部員たちは荒々しくドアをあけ、野太い声を響かせながら用具を持って行く。
だが僕は彼女のお尻の暖かく柔らかな感触にとろけるように浸っていく。なんだか小泉さんの息遣いも甘ったるい感じで、僕もますます頭に血が上って彼女に押し付けてしまう。
サッカー部が出ていくと、彼女はこちらを振り向いて言う。
「出ていったね…」
そのほおはピンクにそまって上気している。
僕はどうしていいかわからなくなっていたが、いまはこれ以上のことをしてはいけない気がして、
「そうだね」
と言いながら、上体を起こした。
僕はピンポン玉の箱を持ちながら小泉さんと並んで教室に戻った…のだが、ふたりの距離は行きよりもっと近づき、お互い寄り添うように歩いていた。僕はそれが幸せだった。