43 - ラジオを聴きながら登山ですよー
誤字報告ありがとうございます!
私の友達に勢いだけで富士山に登ったことのある人がいてね。
本州へ旅行に行ったときに富士山の近くまで来て「よし、折角だしちょっと登ってみるか!」っていって水の入った一本のペットボトルを持って登っていったんだよね。
他の装備なしで。
ペットボトル一本だけで富士山へ。
登山舐めてるよねー。
でも八時間後くらいに「あー、死ぬかと思った」って言いながら帰ってきたんだ。
だから案外大抵のことは何とかなるんじゃない?
「この雪の下り坂、思いっきり滑りたいけどこの山には岩がゴロゴロあるしそんなことしたら死んじゃうかな?」
スキーとかもやりたいなー。
北海道だとスキーとスケートは必須スキルだから。
それにしてもこんなに辺りに白色しかないと方向が分からなくなってしまう。
でも暗かった景色はもうだいぶ明るくなってきた。
まだ太陽は登っていないけれど上空の雲が青みがかってきた。
そんななか足元に気を付けて坂を下りる。
山は登るよりも下る方が実は疲れるのだ。
『そうそう! なぜかたまにテスト始まった瞬間に今までの記憶すべてなくなる事があったりするんですよねー』
『あー、ようあんでなあー』
『いや、よくあったら成績まずいことになりませんか...? たまにですよ?』
あ、そういえばラジオつけてたんだった。
ふと音が聞こえてそっちに意識をやると普通に聞こえるんだけど別のことに夢中になっているときはなんか他の音って耳に入ってこないんだよねー。
あとこの人この前と同じ人だなー。
確かクレアさんだっけ。
もう一人いるけどそっちの人は聞いたことない声。
『まあそれでも私百点取りましたけどねー嘘ですけど』
いや嘘だってバラすの早すぎじゃない?
『あ、そうそう! 話変わりますけど私今度新しいパソコン買うんですよ!』
へー。
『へー』
あ、重なった。
『私はとにかく静音性が一番大事だと思ってますからねー。自分でファン取り換えるつもりなんですよー』
『え? そこまで静音性って大事? うち、消音マウスにこだわる人にも思うけど音って結構どうでもようない?』
『配信者には消音性って大事なの!』
こういうトークを右の耳から左の耳に流していくのもいいね。
『パソコン改造してる動画をまたアップするつもりだからそっちもチェックしてね!』
『んで、なんで新しいの買うん?』
『何でって、ゲームもっとやりたいからだよ!』
ゲームかー。
神界の人って何やってるんだろ。
っていうかそもそもパソコンあったんだ。
『ゲームかー。そういうたらグローリア・ザ・ラストの続編今度出るらしいね』
『そうよ。私この時期忙しいんだよ? 山行ってバトルロイヤルしたり空で帝国飛行隊と戦ったり』
『いつも面白いゲームって同じ時期にかたまっていろんな会社新作発表するんやんなー』
『そう! 今年のGWEEは面白そうなのが多すぎて困るよ!』
『今年は豊作やなー』
GWEEって何だろ。
あれかな。
E3みたいなものかな。
『今年買おう思てるゲームってある?』
『あるよ? ていうか全部だよ?』
『うわぁ』
『え? ひかないで?』
お、そんな事よりどうやらそろそろ日が昇るみたい。
歩きながら東の空を見つめていると段々と空に浮かんでいた雲がオレンジ色になっていきゆっくりと太陽が姿を現した。
オレンジ色の光がまぶしすぎて登ってからは直視できなかったけど。
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