23 - 城へ向かうよ!
ブックマークありがとうございます!
チュンチュンチュン
ピピピピピピピピ
フィーヨフィーヨ
鳥の鳴き声が新しい一日の訪れを告げる。
窓を開けるととても静かな雰囲気がそこには広がっていた。
尾瀬の朝みたいな?
辺りはぼんやりと明るく遠くに見える山々の先っぽには日の光が届き赤く輝いている。
地面に広がる霧は青色で山々の峰に灯る赤色とのグラデーションがとても奇麗に感じられる。
朝御飯を食べて昨日見つけた謎の城に向かうための準備を整える。
今日は狩りをするつもりはないけれど熊とばったり出会ったときのために一応銃は持っておこう。
熊は見つけたら狩る。
おびえながら過ごすよりも狩ってしまった方がいいと思うから。
縄張りとかよく分からないけど狩ったら別の個体が来るんじゃないかって?
じゃあそいつも狩る。
鹿とかは電気柵でも張っておけば畑には近寄らないんだけど熊は電気柵も有刺鉄線も普通になぎ倒して畑荒らしに来るからね。
キットピューマも生かした私でも熊は別。
いや、キットピューマが畑を害するかどうかは知らないけど。
あ、そういえばキットピューマの所に狩りを邪魔したお詫び持って行かないとな―。
謎鹿や謎牛の内臓でも持っていこう。
あの城は森の奥深くに合ったから途中から歩きになると思う。
という事で行きましょー!
車のエンジンをかける。
「いくぜー!」
この車にはアクセルしかない!
走るのだ!
「朝焼けが奇麗だなー」
走っているとやがて日が見えてきた。
朝御飯外で食べた方が気持ちよかったかな?
ちなみに昼食持ってきているよ。
奇麗な景色の中で食べるんだ。
ピクニックならサンドイッチが欲しいんだけどパンも具も今は作れないからねー。
野菜と小麦粉が出来たらサンドイッチ作ってまたピクニックに行こう。
という訳で今回の昼食はカレーです。
タッパーに入れて持ってきました。
大きめのタッパー 400円
お、確かこの辺りだったかな?
キットピューマの縄張り。
という事で謎鹿と謎牛のモツをばらまいておく。
食べるかな?
私ピューマの生態知らないし。
まいいや。
その時はまたお亡くなりになった熊でももってこればいいかな。
熊はあまり食べないし。
野生育ちのは美味しくないんだよねー。
まあ、あくまで前世基準なのでこの世界でもそうかは分からないけれどね。
再び車に戻る。
ひんやりとした空気を感じながら走っていく。
月がまだ出ているよ。
そういえばこの世界も前世と同じで月がある。
大きさも前世と同じくらいかな?
流石にウサギの模様はないけれどそれ以外は余り前世のと変わらないようだ。
よくある異世界小説みたいに月が二つや三つあるってことも無い。
とそんなことを考えているうちに森の目の前までやって来た。
森の中を車で疾走するわけにもいかないのでここからは車を降りて徒歩で行く。
一応あの城大体の方向はなんとなく分かっているんだけど実際にどのあたりにあるのかとかはよく分からない。
ので適当に歩いていく。
ざっざっざっざっざっざ
歩いているうちにすっかり太陽が森の中を照らすようになっていた。
静かな風に乗って木の葉が宙を舞っていく。
風向きは今向かっている方だけれど今日は狩りをするわけではないのでそのようなことは気にせず進んでいく。
森の中だととても自然音がよく聞こえてくる。
というよりこの世界、自然音しかない。
癒しだー。
視界の端を鳥が飛んでいく。
グァ
お。
鹿の鳴き声かな?
これは警戒しているときの鳴き声。
思いっきり風下に向かって歩いて行っているからね。
人間の匂いだっ! ってなっているんでしょ。
まあ今日は狩りをしに来た訳ではないので特に気にしないけれどね。
「あ!」
遠くの方で木と木の間を鹿が通り抜けていっていた。
うーん、どうしてもやっぱり動物に反応してしまう。
そして銃に手が行く。
狩る気はないって言っているのに。
本能だね。
がっがっがっがっがっがっがっが
岩場っていうか石場の上を歩いて行っているから足音が大きくなる。
もし狩りやるんだったらこんなところ通らないだろうなー。
足音で動物が逃げていってしまう。
走っているのと同じくらいの音が出るんじゃなかろうか。
そういえば走っているとたまに逃げていく鹿が見えたりする。
急いで銃を構えて撃とうとするんだけれどさっきまで走っていたこともあって息切れしちゃっているんだよねー。
だからもう手先がぶれっぶれで照準が合わないったら何の。
それで息を整えるころにはもう鹿はいないっていうね。
走っている時点で狩ることなんてできないんだけどね。
それにしても奇麗な景色。
この世界に来てから奇麗奇麗ってそればっかりしか言っていないじゃん。
これからも言うよ。
外に出るたびに言うよ。
奇麗だって。
記憶力赤ちゃんだから何回だって同じことを言う。
木と木のあいだから漏れ出る光が霧によって霧散して霧自体が光って見える。
木と木のあいだから漏れ出る光が霧によって霧散して霧自体が光って見える!
そう大事でもないけど二回言いました。
ぴーぴー
くるるるるー
ぴーぴー
ちゅんちゅん
寝る時間の少なかった前世では朝の鳥の鳴き声なんて一番聞きたくない音の代名詞だったといっても過言ではないっていうのにこの世界では私の心を癒してくれる。
余裕って大事だね。
だから贅沢って大事だと思うんだよ。
必要な物が必要なだけしかないといざというときどうしようもならない。
まあ、前世での睡眠時間は全然必要な量に達していなかったんだけどね。
特に高校なんて寮生活でタイムスケジュールがきっちり決められているのに授業中に眠ったら怒られるんだもん。
こっちはあんたらが言った通りの時間に寝て言った通りの時間に起きているんですが?
それで文句言うんだったらもう少し睡眠時間増やしてくださいよ。
あと一年生全員部活入んなきゃいけないっていう決まりなのに部活終了時間と入浴終了時間が同じってどういうことですか?
風呂入んなってことですか?
まあ私は二年生ガン無視して入っていたけど。
流石の二年生も学校三大サイコパスと呼ばれている私に話しかけることはできなかったようだ。
おっと。
うっかり前世の愚痴を流してしまった。
という訳で私はこの世界に来ることができて幸せです。
ドドドッドドドッドドドッ
おおう!?
目の前をイノシシの群れが通り過ぎていった。
危ない危ない。
うっかり撃つところだった。
もし撃っていたら他の個体たちが突進でもしてくるんじゃないかな。
何度も言う通り私はマタギじゃないのでそこんところよく分からないけど。
だけど鹿の群れに石投げたら頭突かれた経験はある。
あれは痛かったねー。
私三メートルくらいは吹っ飛んだんじゃなかろうか。
私はドバドバ出る血を見てボルシチ食べたいなーなんて考えるほど余裕だったけれど。
ん?
ウサギのふん?
この辺りにウサギがいるのかな?
ウサギはかわいいんだけどそこまでいいイメージないんだよねー。
キャベツ荒らすし。
まあイノシシやシカ、熊なんかに比べれば全然被害少ない方なんだけどね。
かわいいし。
でも害獣です。
だけどウサギを銃で狩るっていうのは聞いたことがないなー。
何でも思考を狩りにつなげてしまう私。
罠で捕まえるか普通に対策するか。
地域によっては準絶滅危惧種に指定されているところもあるからね。
ていうかウサギをライフルで撃ったら跡形すらも残らないんじゃなかろうか。
どうせ狩るなら美味しくいただきたいので狩るときはショットガンで狩るか。
はっ!
いけないいけない!
頭が狩る前提になってしまっていた!
全く血の気の多いことだ。
いや、食欲が強いのかな?
ウサギのシチューは美味しいよねー。
じゅるり。
+現在の資金 4645300円+
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