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にごろあまた  作者: ぺろたまぽこさく
SF長編「2569 Core」は「にごろあまた」の核心に触れる作品です。短編をご覧いただいてからお読み下さい。
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2569 Core 6「白黒問題」

【2569管理者へ、この項目の概要は下記のとおりです。】


 ──2497年2月4日セラ国内にて


 黒い島の人間が、白い島の政府に差別され、(しいた)げられ、反乱を起こしました。反乱を起こしたために黒い島は世界中から危険視され、世界各国で黒い島を監視することになりました。


 監視をしに来た多国籍軍の本当の狙いは、黒い島の発展した技術を盗むことが目的でした。技術を盗むために、黒い島の技術者やアンドロイドを拘束したり、国籍を持たない人間は人身売買に利用されました。


 それは、ヤタノにとって身の危険を感じざるを得ない出来事でした。ヤタノは白い島へ脱出することにしました。


 ……以上が、この項目の概要です。

 詳細を知りたい場合は下記をご覧ください。

 項目を((スキップしても問題はございません))。


【白黒問題についての詳細】


 2497年、黒い島の治安は(いちじる)しく悪化していた。黒い島に住む人間とアンドロイド達の生活保障額が毎年削減されていく中で、黒い島と白い島の間に溝が深まり始めていた。


 汚染された土地だから世界のゴミ捨て場にしてしまおう。そんな風に言われているようで、黒い島の人間達は不安だった。


 海外からの難民問題も解決せず、治安は悪くなり続ける。相変わらず海外から廃棄物を受け入れ続け、政府はその処分代で甘い蜜を吸っている。そんな状況に耐えきれず黒い島の人間が政府に対して反乱を起こしたのである。


 ──「白黒問題」激化の真っ只中に、政府に対して黒い島過激派の一部連中が白い島に渡った。黒い島対策の役割を担っている政府要人を拘束、実行犯達は汚染物質を用いて要人を殺害した。


 この事件で黒い島への不信感を強めた世界各国は、政府に黒い島の状況を全て開示するよう求めた。黒い島に住む一部の人間は汚染物質を利用した兵器を隠し持っていると疑いをかけられたのだ。

 

 政府は世界中からの圧力に屈し、多国籍軍を黒い島へ受け入れて島内全てを監視対象にすることを決定した。多国籍軍は半ば強引に短期間で島内のあちこちに軍事拠点を設置した。


 黒い島は一部要人用のネットワークを除いて、すべての外界への通信手段を遮断された。


 ──他国の出来事なのに何故、世界各国はこのようなことをするのか?


 表向きは黒い島で大量破壊兵器が開発されているという疑惑を払拭するための調査、晴れて疑いが晴れれば軍は撤退する。兵装もせいぜい兵を輸送する装甲車くらいで、大げさな兵器は持ち込んでいない。


 ただし、一部の軍隊にとっての本懐(ほんね)は、((汚染に強い改良されたアンドロイドや、ロボットの技術を盗むことであった。))黒い島の汚染防護技術はトップレベルだった。黒い島の負の遺産がもたらした大きな財産を奪いに来たのだ。



 ──多国籍軍介入後、黒い島の治安は収束するどころか悪化の一途を辿っていった。


 多国籍軍に参加する国は殆ど、民間軍事会社を使っている。自らの手を汚したくないが、技術は盗みたい。そんな国ばかりがこぞって参加した。


 技術者や医師は拘束され、アンドロイドは強制的にデータ解析、何か武器を隠し持っていないか言いがかりを付けられ、(しま)いには身体を分解された。


 噂では国の籍を持たない難民キャンプの人間は人間人身売買に利用され、行方不明になっているとのことだ。アンドロイドはバラバラにされ、部品が高く売り飛ばされるらしい。


 ──ヤタノの自宅からほんの数キロ、海が見える綺麗な海岸線へ続く山道の途中にも民間軍事会社の拠点(キャンプ)がある。


(早くこの島を出なければ、俺達はいずれ捕まる。この家には奴らが思っている以上の奇跡的な技術があるからな……)


 不穏な空気をいち早く察知していたヤタノは、牢獄と化した黒い島から白い島への脱出計画を立てていた。

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