67.遠足の準備をするようですよ④
阿部が単刀直入に質問をしてきた。言葉を選ぶとかなく、真っ直ぐに。
人々に恐れられるくらいの力を見せるとーーーって話から私の事を阿部は考えたわけだね?
単純な頭は物事を素直に結びつけちゃったんだねぇ。
私が戦おうとしないことに対し、なぜそれをしないかは阿部が推理するには圧倒的に情報不足。戦うのが怖いかもしれないし、みんなが弱すぎて相手にならないからかもしれない。
怖いっていうのが理由にしたってなぜ怖いかなんて星の数だけ理由がある。
そんな中から私がたまたま話した内容を結びつけて思考するのは単純だと言えちゃうんだよ?
「ん〜?」
「前線に出ようとしねぇし、戦闘の授業だってチビにやらせてばっかで桜花はうごかねぇ。俺らをビビらせねぇためか?俺らがお前を攻撃するって思ってんのかよ?」
まるで、幼児が拗ねているようだね?
別に君たちがビビるとか思ったりはーーーまぁしてたけど。
ただ、最近は動かないのは別に目立つからってわけではないよ?目立つのなんて気にしてない。
「…ふふ。阿部ったら意外と人を見てるよねぇ〜。ただ、残念。まともに戦わないなんてことはしてないよ。」
本当に必要ないから動かないだけ。それ以上の理由はない。
チビで足りるならば私は動かなくても良いから。無駄に動く理由なんてないもの。
とはいっても、阿部は納得できないだろうね。
「じゃあ、何で。」
「チビも私の力だよー?チビで事足りるなら、チビで良いじゃん?チビも行きたがるし。チビが出たら私が出るまでもない。とはいえ、私だって動いてるじゃんねー?」
私は普段、必要ないならば動かない。武器だけで事足りるならば動かず静観する。
これが答えだよー。
君たちにビビられるのは気にしないことにした。気にしてビクビクするのは美しくないもの。
恐れていることに対して抱いている恐怖を全て打ち消せてはないから、びびっているように見えたのかもしれないけどね。
「……そんなに俺らは弱いかよ。」
ん〜?説明してみたけど、やっぱり阿部は納得できていない様子だね?
本当に隠す気なんてないんだって。
必要な分しか動かないのはおかしくないだろうに。
「うちの子が強いだけ〜。誰かと比べて心折ってたら、先には進めないよ。過去の自分より強くあれば良い。比べる相手は私じゃなく、阿部自身。よろし?」
もしやもしや。
阿部ったら、私と自分を比べたりしてるわけじゃないよね?んなことで心を折ってしまうなんてあったらもったいないよ?
阿部ったら、私があまり動いてない風なの見て、自分は弱いとか心折ったりしてないかね?大丈夫かね?
いやはや、私がチートさんであるが故に阿部を苦しませるとしたら悪いなぁとか思っちゃう。そういうのも嫌なことの1つだよね。
私は私のままであるだけなのに、知らずして人の心を折るとか。笑えない。
「別に俺はお前と比べて嫌になってんじゃねぇよ。お前が俺らの前で戦おうとしねぇのは俺らが信用出来ねぇからだろ?お前がどんな化け物じみた能力があろうがお前はお前で、俺らと同じ人間だろうがッ。ビビって攻撃してくるような馬鹿は俺がのすっ!お前は堂々としてやがれ!」
………おおう。
熱いねぇ。あっつあつだねぇ、阿部っちったら。ユキ達のように攻撃を仕掛けてくる奴らから守ってくれるって迷いなく言うなんて、ヒーローだね、ヒーロー。
しかも私がビビっていると思って、それを救うべく言葉を発するあたりが、人の幸せを守るために戦うレンジャー的ヒーローって感じだ。
凶暴顔なのに、その性質は正義のヒーローなんだねぇ〜。そういう子、大好きだよー?
うんうん、阿部が自分が弱いって落ち込んでないのは良かった。怒っているのは私のためだっていうのも、いやはや、ありがたい限りだね。
さっき話した時には人間が敵になるんだって話から私を想って怒ったんだっていうのも。心が温まるじゃないか。
阿部ったら、良い子だ。迷わず私の力になろうとしてくれる。愛おしい限りじゃないか。
「…………ひゃっはー。阿部っちったら、私の事が大好きなんだねぇ?照れちゃうよ。」
「て、おいっ。」
「ハハハッ。………私は別に実力を隠す気なんてないよ。チビで事足りるなら、チビで対応するのが常だし。必要なら自分が動くよ。なぁ、チビ?」
「にゅぃ!」
愛おしい彼らの横にあれるように強くならなきゃってやる気になっちゃえるね。さっさと強くなって前を向いて進まなきゃってなってくる。
やる気が出てくるね。漲ってきちゃうね。
恐怖を全て捨てきれないとか言ってらんない。
背筋伸ばして凛としていないとだわね。さささ、頑張らなきゃ。
「私は私が化け物として攻撃を受けるのは一切怖くないよー?怖がられて化け物扱いをされること自体は実力を隠す理由にはならない。そんな理由で実力を隠したりしないって。」
「でも、」
阿部の真っ直ぐぶりに笑みを浮かべつつ言えば阿部はやっぱり食らいついてきた。
納得はできない様子だね。困ったなぁ。困っちゃうなぁ。
阿部ほ真っ直ぐでいい子だし、私を気遣ってくれているんだけど。これはこれは困っちゃうよー。
「あんまり桜花ちゃんを困らすんじゃねぇよ。戦う姿見たいってぇなら、手合わせして貰えば良いだろ。俺ぁ、戦う姿を何度も見てらぁ。カッコ良くて、惚れ直すぜ?」
お?おぉー!
さすがはお兄さん。困ってる女子をほっとけない系男子だね。
阿部をなだめにかかってくれた。
とはいえ、お兄さん?そんなにべた褒めされると照れちゃうよ?私、そんなすごい人間でもないし。すごいすごいと褒められるとしっかりしなきゃとプレッシャーになっちゃうかな?
「それだって力加減してるじゃねぇかよ。」
しかも、お兄さんになだめられてもなお、阿部はぶーたれているし。
手加減されるのが嫌とか困っちゃう。
チビにすら敵わない阿部っちが、本気の私を目の前にしたらーー本当、あれだよ?あれがあれしちゃうよ?あれあれだよー?大変なんだからね?
「それはお前さんや俺が弱いだけでぇ。俺達が隣に並べるだけ強くなりゃあ良いだけの話でぇ。」
「そりゃあっ!そう、だけどよぉ…何かにビビってんだろ、そいつ。俺らが桜花にビビって攻撃するんじゃねぇかってビビってたわけじゃねぇのかよ。」
私にチラッと視線を向けつつ言う阿部。
その瞳には心配の文字あり。本気で心配してくれてる感じだねぇ〜。
阿部ったら、勘の良さまであるから困っちゃうね。
「いじめでも恐れてって話か?しっきーがイジメなど怖がるとは思えんな。」
ん?
私だって怖がるよ?乙女なんだからね?
ユキの中での私のイメージに物申したい限りだね。
「確かに桜花、たとえいじめられても気にしなさそうよね。」
マリさんや?
気にしないってなんなんだぃ?
私は図太い子じゃあないよ?私をなんだと思っているのかな??しっかりきっちり聞いちゃうよ?
「いや、やり返すでしょ。何倍にもしそう。」
「過剰防衛を笑顔でなさりそうでござる!」
「それでいて、きっちり正当性を示してきて、お咎めがないようにしそうだよね。」
「さすがは志貴氏!抜かりはございませぬな!」
ちょい待て。谷上桜井コンビ。
当たり前のように言うな。私はそんなことやらないから。桜花さんは良い子だから。
コラ、お兄さん??クックッとか笑わない!確かにとかつぶやかないの!確かにじゃないから!
「桜花さん、怪我させたらダメ、ですよ?」
んん?話の流れがおかしくないかな?
私を心配する話だったのに、いつの間にやらカナちゃんにメッと注意されてる。なぜ?
私、別にやられたからって倍返しにしたりしないよ?いちいち相手にしないって言うか、気にしないってこともないからね?
普通に感情ある人間だし。え?まじめに普通な人間だよ?
「え?いやいや?地味にみんな、ひどいからね?さすがにいじめられたら傷つくよ?マリにいじめられたら泣くよ?私が泣いたらチビ達が暴れるからね?そんなの、過剰防衛だろうがなんだろうが、私が悪くないじゃん?」
そうそう。
過剰防衛とか桜井達は言ったけど、武器が暴れるのは不可抗力。主人をいじめた奴に制裁を下すだけだし。
「俺がなぐさめてやらぁ。いじめる連中もきっちり地獄みせてやるから安心しな。生まれたことを後悔くらいはさせてやらぁ。」
こっちにおいでと手を広げるお兄さん。
ただ、素直に飛び込めないね?飛び込んだらいじめっ子がヤバいことになるって、いくら桜花さんとて、分かるんだからね?
「それはそれは…いじめっ子が心配になっちゃうやつだね?」
「何する気よ?!」
「人様をいじめるような奴ら、心配する必要ねぇよ。」
ギョッとしてマリが聞けば、お兄さんはそれを鼻で笑う。
ますます何をするか、怖い限りだね?やりすぎ注意〜。
「んなっ?!」
「ハハハハハッまぁそうだねぇ〜。」
ま、止めないけど。
「桜花ッ!てか、私だっていじめないわよ!いじめをするような奴なんてぶん殴るわ!」
ぶん殴る。
マリははっきりと言うわけだけど。
「それこそ、過剰防衛じゃんねー?」
ふふふ。
お分かりですかな?私、策士!
実力を見せようとしない、それは自分らがびびるからだと思いこんでいる阿部はどんなに言ったところで納得しない。
であるならば、話を変えるのが1番。お兄さんまで味方についてくれたから話の流れが変わったね。
とりあえず、今もむくれた顔をする阿部は放置しとこ。ずっと気に入らないって顔してるけど。これ以上何を言っても仕方ないしね。
時には逃げるが勝ち!
読んでいただき、ありがとうございます^_^
楽しんでいただける方幸いにございます!
先日、安かったから、解体図鑑というチョコを買ったんですよ。
味は可もなく不可もなく。
こんなものかって感じで。
周りのチョコレートをパキパキ割って真ん中に描かれた生き物をくり抜いていく。
「食べ物で遊ぶな。」
小さい時注意されたアレを商品にしているあれ。
やってみたら、意外とガチで集中していかに綺麗にくりぬけるかって楽しんでました。
大人でも意外に楽しいですよ。




