31.入学式をやるそうですよ⑨
て、お兄さん?ちょちょいちょい?
無言で腕引いて変態野郎から距離を取らそうとしないでくれるかな?もぉ、お兄さんたら、私のことが好きすぎるんだからぁってーーーはい、ごめんね?調子こいたよ、はい。んな調子乗るなってなるよね。はいはい、すまんね。
ま、ともあれ?
私、ちょいと変態野郎に近づいただけじゃん?お兄さんは変態野郎にちょっとだけ、ほんのちょっとだけ近づいた私に対し、再度、かばうように立ちはだかっている。
そこまで変態野郎を警戒するかね?
お面を外せば案外普通だと思うよ?多分きっとおそらく。今のあれが実は素で隠した人格であるとか言わなければ多分。断言はしないけど。きっとおそらくそうだろうとしか言わないけども。
まぁそもそも。
最悪、私のが変態野郎より強いよ?戦闘になれば私が勝つよ?今はチビしか出してないけど、全ての武器を出して全力出せば私、勝つよ?チビだけでもそこそこ戦えるよ?
つか、武器出さなくても変態野郎と一対一ならば勝てる自信あるよ?桜花さん、負けたりしないよ?まぁみんなの前で戦う気はないから、こちらから仕掛ける気はないし、変態野郎も戦う気はなさそうだから戦闘にはならないんだけども。
「それはそれは。魅力的なお誘いではありますが、私、お顔を見せるなんてとてもとても。恥ずかしくて出来かねます。」
ほらほら。お兄さん、見てごらんなさいな。胸に手を当て、恭しく礼する姿は燕尾服に合っている。これでイケメンであれば完璧だよ。カッコいいと思うよ?
警戒露わにしているお兄さんに一切のリアクションをしないあたりは普通じゃないかもだけど。まぁ普通ではないんだけども。
燕尾服の上からでもわかる筋肉質な身体が優雅な動きで礼して見せているわけよ。ウサギの面になんか付けていなければどんなに良いことか。
にしても、せっかく誘ったのに振られちゃったなぁ。まぁ、変態野郎の返答は予想通りではあるけどね。ま、そうくるよねって感じ。
変態野郎の予想通りの言葉に私は唇を突き出して見せた。
「振られちゃったなぁ。あー…悲しいなぁ。お兄さん、慰めてくれる〜?式なんて面倒なもんはサボってデートしよ?」
ため息をつきつつ、お兄さんの手を取り、入り口を目指して歩き出す。
あまり変態野郎を構っていたらお兄さんが拗ねて面倒になっちゃうし。
手を引いて歩いてみると、お兄さんは一切の抵抗もなく、当たり前のように横を歩いてくれていた。
「仕方ねェなぁ。変態の後に誘われてるってェのが気に入らねェが。桜花ちゃんの誘いは無碍に出来ねェや。」
自然な動作で頭を撫でてくれるお兄さん。マジイケメン。変態野郎から離れるって言うのは良い判断だったらしく、眉間のシワが消えた。
あー……やっぱり、ふざけたウサギの面じゃなくて、イケメンが良いよなぁ。目の保養になるわぁ。いろいろ疲れたし、癒されとかないと。
よっしゃ、とりあえず、お兄さん巻き込んで帰りますか。お腹すいたし、食堂に行きましょ!
今日は人喰い花と戦わせたかっただけでしょ。じゃあ向こうの目的は達成してるし、帰ってもきっと許されるでしょ。
「桜花がサボるなら、私も行くわっ!」
マリが私の腕にしがみつくように飛びつきつつ言った。
マリさんや?
私、控えめにも問題児的に動いちゃっていたりするわけよ?同級生に術式使ってるし、教室から飛び出しているし。今だって、声を荒げたりしたのだけど。
こうしてサボって帰ろうとしているわけさ。なぜ懐いているんだぃ?まぁ、お兄さんも庇うなんかの行動してて不思議なんだけど。
君たち、どうやら変わった子達だね?変態野郎と同類の変わったーーーなんて言ったら全力で怒られるから言わないけども。
「何でぇ、俺と桜花ちゃんでデートだってぇのに、無粋じゃあないのかぃ?」
私の腕に絡まりつくマリにお兄さんは意地悪な視線を送りつつ言う。お兄さん、私の言葉をそのまま使用しているね?
言ってみただけでデートしたいとか2人じゃなきゃ嫌だとか言わないよ?イケメン相手に私が言えるわけがないじゃない。
マリは私の腕に抱きついたまま、私の顔を覗き込むように私に視線を送ってきた。いわゆる上目遣いで見つめてきた。
「一緒に行ったって良いじゃない。ね?桜花、良いわよね?」
私が良し悪しを決めるのかぃ?別に良いけども。
にしても。
おねだりをするように可愛い顔でお願いって言うマリ。可愛いね?ツンデレ要素もあって良いでしょう。しかも胸でかいから腕に抱きつかれたままだとすごく当たります。
男だったならばドキッとしちゃうね?ときめいちゃうね?計算でやっているのかと警戒しなきゃな場面だねぇ。マリは素でやっているわけだけど。
私は女の子だから攻略はできないのだけれど。男に対して、これをやったならばヒロインになれるんだろうけど。やらないのがマリなんだね。もったいない。
乙女ゲーム的なヒロインをやってくれればポップコーンでも作って食べながら展開を眺めるのに。野次馬になって、傍観するなら面白いだろうし、傍観するのに。
「マリは甘えん坊だねぇ。仕方ない、許可しよう。」
ま、このメンバーで花ゆめとかりぼんみたいなドキドキときめいちゃう!って展開はないか。あるわけないか。
普通に食って終了だな。ま、何気ない日常が何より。とはいえさ?普通に会話して入るけども。こうして普通に会話するのって中々異質じゃない?マリもマリで図太い神経してますなぁ。
びびられたり、遠巻きにされたりしないのは良いんだけど。一緒に来てくれるのも良いんだけど。少しは警戒しないものかね?化け物〜!みたいな?まぁ私は人間だし、化け物ってビビられても困るけど。ここまで自然に抱きつかれても不思議な気分になっちゃうよ?
「なんでぇ。浮気かぃ、桜花ちゃん?つれねぇなぁ。」
拗ねたような口調でありながらも、お兄さんの目は面白そうに細められているね?楽しそうなら良いか。
マリを腕に絡ませたまま、お兄さんと共に歩き出す。
さっさと食堂行って何か食べよう。
「拙者、お腹が空きましたぞっ!志貴氏、料理が得意なんでござろう?何か作ってくだされ!」
「え。自分達で作るの?適当なものでてくるし、それ食べた方が楽じゃ…」
「食糧庫があるのですぞ?せっかくでござろう!」
一見、真面目そうに見える谷上や桜井が私達に当たり前のようについてきつつ、なんか、要求して来ている。
2人は堂々とサボるキャラじゃないだろ、戻りたまえよ。私に作ることを要求せず、大人しく授業を受けたまえ。
あるいはマリのように可愛くおねだりーーーは、2人にされてもなぁ。可愛い巨乳がするから意味があるやつだ。2人じゃあ無効にしかなり得ないな、うん。
「私、オムライスが食べたいわっ!」
「オムライス!!!僕も好きですっ!」
マリが具体的な要求をしてきたのにムラくんが乗っかる。
て、ムラくんまで当たり前のようについてきてるのかぃ。キミは本当にマイペースだねぇ。
マリとムラ君が盛り上がりワイワイ話している。うん、これはなぜか私が作る流れになっているね。出来合いを食べるで十分だろうに。
「……まぁ、作るのは良いけど。」
「「やった!」」
了承すればムラくんやマリが嬉しそうな声を上げる。
2人はパァアと笑顔を浮かべていた。その笑顔を見るとやるしかないのだと実感する。まぁ別に良いのだけど。料理、嫌いじゃないし。
「あ…えと…ま、待ってくださいっ!私も手伝います!ツバサさんも、行きましょう?」
「え…う、うん。」
あら。カナちゃんが来るってーのも意外だねぇ。ツバサも連れてくるようだし。ツバサを引っ張るようにしてカナちゃんは私達を追いかけてきた。
ツバサもツバサで戸惑いつつもカナちゃんに手を引かれながら歩いている。
みんなでサボれば怖くないって?
ま、戦闘員って真面目な子ばかりだけど。時々思い切った行動をするのよね。つか、迷って動けないじゃ生き残れない。だから瞬時に判断して動けはする。
みんな、来て大丈夫だと判断して動き出したのだろう。多分おそらくきっと。
サボって良さそうだもん。イベントは花退治だから。式なんてどうせ、口実だからあってないようなものだ。
でもだからって、変態野郎が怒ったり圧をかけた後だと言うのに気にせずに着いてこれる図太さは中々よね。え?私?私のことは気にしちゃダメなの。ただ、マイペースなだけなの。
くる人がどんどん増えていくけど……
これはみんなで行く事になるパターンだね。みんな、図太い奴だなぁ。私も人のこと言えないけどさ。
「て、皆様方ーーー?!……全く、マイペースな方々ですね。良いでしょう。今日はこれにて解散にございます。ごゆるりとおやすみくださいませ。」
私らに驚きつつもすぐに受け入れた変態野郎。うやうやしく礼をする姿はイラッとくる。マイペースって。たしかに好き勝手動いたけども。変態野郎に言われるとイラッとくる。
うん、あれは無視だ無視。
「ウサくんも自由だな。」
「茶番を続けられるよりはマシでしょ。ほら、阿部くんも行くわよ。あの子達にいうべきことがあるんじゃない?」
「………っ!う、うるせぇ!」
グダグダな感じだけど、入学式は結局なしでいいんだねぇ。
しかも、みんなで食堂に向かう感じになっているねぇ。みんな仲良しなのね。
好き勝手に個人行動!なんて事もしても、あぁ…戦闘員ってそう言う奴いるよね。気ぃ強い奴多いよねとか思うけど。
ここの子達はなんだかんだ言って集団行動を選ぶ。そう言う子達が集結されているのかしら?分からんけど。
とりあえずはオムライスをさっさと作って腹ごしらえするかな。
腹減った。
読んでいただき、ありがとうございます!
入学式、意外に長くなりました。予定より長引きました。うんうん、私も予定外です。お付き合い頂きありがとうございます。感謝感激にございます。




