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30.入学式をやるそうですよ⑧

たとえ変態野郎がウザキャラになっていようが何しようが、大切な事には違いない。大切な仲間なんだ。ウザかろうが、キモかろうが、視界に入れるのが嫌であろうが関係ない。私の意思は関係ないわけよ。


変態野郎は仲間なんだよ。箸とともに入っている爪楊枝くらい大切。そんな存在だ。うんうん、とっても大事。




え?




伝わらないって?


え?マジで?いや、マジ?マジな奴?え?えっ?!何で?え、何で?何で何で??マジで本当に伝わらないとな??


んんっ!!ん〜と…えと…


ほらっ!!ほらほらっ!掃除とかに重宝するアレだよ、アレ?!細かいとこの掃除に必須な奴。隙間掃除に必須なあの子!一人暮らしだろうが、掃除のためにも料理のためにも家にはあるでしょう、あの子よ!!


あ、物は分かる?ふとした瞬間に欲しくなるよね、あれ。なるよね?なるでしょ?存在しないとマジ辛いっしょ??


なくても生活出来なくはないけど、なければないで、凄くムズムズする。届きそうで届かない場所への対処ができなくてムズムズイライラしちゃう。


うんうん、一見たいした魅力もなければなくてもいいように思えるけど、外食した先にないとモヤモヤしちゃうわけで。たまに洒落た店だと机にもトイレにもなくてイライラしたりするんだよ。


まぁ私は女の子だし?机の上はなくて良い。でも、トイレに置いといて欲しい。気の利いた店なら女子トイレにあるのよ。あそこなら鏡もあるし。ないと困るアレはとても大切なのよ?うんうん、大事だよ。


しかも、変態野郎は今の教室内に広がる言葉にはし難い、というか、何とも言えない気まずい空気をぶっ壊してくれた。混沌とした空気をぶっ壊し、話を終わらせてくれた。これは有難い。マジ有難い。


「ーーーッ!?し、志貴様っ!!私、感動ですっ!感激にございますよっ!!志貴様の甘いマスクで甘い語り口調!!抱かれたい女性第一位の破壊力っ!!これは語り尽くせませんっ!!」


手を広げて私に向かってくる変態野郎。テンションが高くて凄い鬱陶しい。一応、真面目に答えたつもりではあったけど、変態野郎の今のキャラにとてもあったリアクションをされているね。うん、大切であろうが鬱陶しい限りだよ。


演技派だね、素敵だよ!凄いよさすが!だなんて褒めてやれるほど心は広くない。広い心なんて持てるか。持つ気にもなれん。


とはいえ。救世主には変わりないわけよ。空気を壊してくれたわけだし。


呆れてつきそうになったため息を飲み込んでいたら、変態野郎から距離を取らせるようにお兄さんに腕を引かれた。変態野郎も本気で突進してきたりしないと思うけど。


お兄さんは慎重だね。慎重派だね。石橋は叩いてから自分が渡れるのを確認して、その後に仲間を渡らすタイプたね?


でも背に庇ってもらわなくても突進してきたら自動防御・攻撃システム、その名もチビが作動するし、私自身対応できるから大丈夫なんだけど。


それ口に出したら女の子らしくないとか思われちゃってお兄さんのメンツも潰しちゃうんだろうね。きゃっ!女の子って大変ね。


ただ、救いの手を差し伸べるならばムラくんの時にどうにかして欲しかったとかも思わなくはないけど。思わなくはないけど。


お兄さんに腕を引かれ庇うように立たれちゃった私はちゃんと空気読んで大人しくしてるよ?だって、桜花は女の子なんだからッ!!……うん、自分で言ったけどないな。ウザいな。キモいな。あり得ないや。


「ーーーこのウサもウサとて、皆様方をそのままの姿でもすでに尊く素晴らしい人格者であると自信をもって申し上げます。」


お兄さんを見て、変態野郎はコテンと頭を倒した。


両手を合わせてこちらの方を見てきている。可愛い女の子ならまだしも、変な面をつけた燕尾服がそのポーズはただただ腹立たしいだけよな。気持ち悪いとか思っちゃう。


てか。


んん?雲行きが怪しいぞ?アイツは何の話をしている。急に話し出した奴は先程までのおふざけを一切消し去っている。何を企んでいるんやら。


お兄さんがバリバリに警戒して、私の腕を掴む力を強め、もう片方の手には番傘が構えられている。完全に戦闘準備整えてますがな。


他の子達も緊張した面立ちで、武器を保持している子達は武器を手にして、武器を持たない子達もすぐに動けるように身構えている。




「しかしながら。」




みんなが緊張する中、変態野郎が話し続ける。


先程までほんわかしていた。緩んでいた教室の雰囲気が一変した。皮膚がピリピリする。皮膚にカラシを塗られたかのように。ピリッピリ。痛いよ痛い。カチカチ山の狸のように痛いよ。まぁ実際、身体にカラシなんて塗った事ないけど。


皮膚で感じられるほどに空気が変わった。真昼間だったのが電気を消したかのように一瞬で真夜中になったかのように、空気が冷たいものとなっている。みんなが武器に手を伸ばし、表情を固くするくらいにガラッと変わった。


チビさん、そんな中で欠伸しないの。緊張感がないでしょーが。つか、あくびしすぎ。ムラくんに絡まれていた時とか、警告音が聞こえてた時とかはアイツ噛む?とか面倒そうにムラくんをチラ見ていたけれど。


みんなを凍てつかせた原因は、いつものふざけたような雰囲気を今は仕舞い込み、威圧感を放っていた。放ちまくっていた。


あー…いやな予感がしたんだよねぇ。雲行き怪しかったもの。やっぱりなぁ。ヤバイ雰囲気を身に纏って私達を睥睨し威嚇せんがばかりに見ているねぇ。






ーーーあぁ、懐かしい。






リアクションとしておかしいかもしれないけど。ついついそう感じてしまった。そう感じる威圧感。


知っているはずなのに分からなかった。そんな喉まで出かかった感覚が気持ち悪くて、より変態野郎が気に入らなかったんだよなぁ。


ゲップが出そうなのに出ない。くしゃみが出るかと思いきや不発だった。そんな不快感。それが変態野郎にはあったんだ。


何とも言えない不快感とその見た目、そのキャラクターから感じる不愉快感とで不快だという思いは強く強くなっていた。それがいま、多少マシになっている。多少だけど。それでもやっぱり不愉快には違いないけど。


「戦闘員とするには生き延びるためにも鍛える必要がありましょう。例えば先日やりましたゲームにて、阿部様は傷を負われた。志貴様方は怪我をしなかった。戦闘力の違いもありますが…何が足りなかったか。おそらく、今日も同じメンバーでそれぞれが魔物に対峙したならば阿部様方は再び志貴様方に助けられたことでしょう。」


確固たる自信があるのか、変態野郎は迷いなく言い放つ。そう言い切れるくらいの根拠があると言うことなのかな。


傷を負った場面を見ていないから知らないけど。知らない話を叱られる口調で言われると中々顔面殴りたくなる気分になるけど。


連帯責任とかで全員を叱って、しっかり仕事してます感をだす教師くらいにムカつくのだけれども。あ、ウサは教師だった。じゃあやはり、殴りたいのは悪さをした方ではなく教師だよなぁ。


今、威圧しながら叱っているのはヤンキーくん達だろう?みんなの前で思いを吐き出した私が言うのもなんだけど。ヤンキーくん達だけを呼んで、ヤンキーくん達だけを叱ってくれれば良いんだけど。


「ーーーまぁ、そうなる前にお二人に志貴様からの叱咤があったわけでございますが。」


変態野郎は怒鳴りつけたりはせず、平坦な声で言う。怒鳴られる方がよほど怖くなく、心労も少ないだろう。強い口調で言うでもなく、ただただ淡々と言い放っている。でいながら、確実に起こっているってことがわかる。


変態野郎の今の雰囲気からは普段はふざけた口調だというのに、変態野郎は確かに私達の教育を担当している人なんだと思い知らされるね。


「毎回毎回、志貴様からお叱りを受けるわけにはまいりません。いや、それもそれとて至福とウサも考えますがッ!志貴様からのお叱り!相手を想うが故に怒る愛!それを怒声にて全身に浴びる幸せ!!あぁ、至福にございますっ!自分を思っているからこそ怒られるのだとニヤリとしてしまうっ!!!しかしながらッ!私は教師にございます。欲にまみれるわけにもッ!」


ーーーて、感心したのを返してほしい。時間も労力も倍以上にして返してほしい。謝罪も求む。


変態野郎はやっぱり変態野郎だった。ふざけるな。最後まで真面目にやれや。


クネクネしながら叫ぶ姿は気持ち悪い。真面目な雰囲気で説教をかます予定だったんじゃないのかーい。最後まで真面目にやらんかーーい。説教は真面目にやらなきゃ意味がないだろーい。


全くぅ〜、みんなは呆気にとられてぽかーんとしているよ?


途中からいつもの変態野郎に戻っていた。戻らなくて良かったのに戻ってしまった。ずっと真面目な雰囲気でいてくれれば良いのに。変態である必要などないのに。


「そんなに私に構って欲しいんですか?貴方がその仮面を外して甘く抱いてくれるというならば、毎日でもかまいたくなるかも知れませんね。」


ため息をつきそうになるけども、そこは我慢して、にぃと笑って変態野郎に言う。


変態野郎の顔が見たいし。ま、見せてはくれないのだろうけど。


読んでいただき、ありがとうございます!アクセス数が徐々に増え、ニマニマしてます月姫にございます。実はつくきとよみます。今後ともよろしくお願いいたします。


最近ですね、悩みがあります。


左の下の奥、そこにいます奴がッ!!


奴がっ!!!奴がああああああ…ッ!!!!


はいはい、私の悩みのネタなのでございます。


ある方に悩みを打ち明けました。痛くて痛くて悩みのタネなのだと。地味に辛いのだと。


そんな私に彼は言いました。


「ん〜。抜いたほうがいいね。次の日は腫れるけど、いまならコロナでマスク付けてるし、やるならいまだよ!」


良い笑顔なわけです。時に医療職って鬼ですよね。痛かったら左手上げてとか言って無視するわけです。


私を悩ます奴の名は"親知らず"

相談相手はまぁ歯科医ですよね。


奴は妙な生え方をしたがゆえに、食物が挟まります。そりゃあ、痛いです。爪楊枝がなければ痛みや不快の解除が出来ぬのです。


分かりましたか?

『変態野郎がどれだけ大切な存在であるか。』


皆様にご理解いただけたかと思います。


本日の着地点はそこにございます。


では、またお会いいたしましょう。

ぜひ会いましょう。よろしくお願いします!

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