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16.学園生活の初めにゲームを⑥




再び、捜索開始ー!




捜索開始してすぐにふと、谷上がこちらに視線を向けてきた。


ただ見るだけではなく、チラッと見て口を開きかけて。視線をそらして。んでもって、またこちらを見てみたいな。


まるで好きな子に声をかけたいけど、かけれずチラチラ見るみたいな。いや、うん。あり得ないね。調子こきましたよ、はい。


つまる話、谷上は私に何か言いたげの様子なわけだ。


「何?」


言い辛いってならこちらから聞いてあげよう。歩み寄ってあげるのだよ。むふふふ、私は優しいのよ。最高だよね。


優しい私に声かけられた谷上はびくんと肩を揺らした。


なぜ?解せぬ。ハッ!お主、コミュ症か!


「え、あ…その、志貴さん、待っている間に話してたんだけど、また魔物があらわれたら、武器を貸してくれないかな?俺の足じゃ、また足手まといになっちゃうし。チビに乗った状態で何とかサポートするから。」


んー?


そんなに視線を彷徨わせまくらなくても、私はいじめたりしないよ?谷上くんはなぜそんなにそわそわしているのかな?


早口で何とか言い切りましたって雰囲気。ふむふむ。化け物に何とか要求を伝える村人のよう。怯えるというか、おどおどとした様子がまさにって感じ。


私は大蛇か何かか。酒飲ませて酔った隙に対峙されるのか。未成年だから飲まないぞ、こらぁ。


まぁ良いけども。


谷上の提案は確かに採用したほうが良いだろう。


逃げるために毎回、私が残るのもアリだけど。それよりはチビを足にしたほうがみんなも安心かな。


「ん〜?確かにその方が安全かな。チビ、捜索中は谷上のそばにいて。」


チラッとチビをみると、チビはコテンと頭を傾げた。


えー何でそんなことしなきゃいけないのー?


そんな事を言いたいかのような様子だ。


「にゅぅ。にゅぅ、にゅにゅ?」


"良いけど。チビ、倒すよ?"


だってさ。


うん、戦いたいって言うと思いましたとも。分かっていましたとも。チビを放っておけば武器が壊れるまで魔物を攻撃し続けるだろうなって。


「だーめ。谷上の足になってろ。魔物を倒すんじゃなく、逃亡に集中。」


「にゅー。」


私が言えば、チビは不満げな声を出す。明らかに戦いたがっている。


まぁ、許さないけど。さすがにみんなの前で戦いまくったら目立っちゃうだろ。ただでさえ、護獣がいるのだって私だけなのにぃ。


武器をしまわず、ずっと出しっぱなしなのも私だけなんだよー?


「チビも血気盛んなこってぇ。今、魔物を倒すとか言ってたんじゃないのかぃ?」


私とチビの会話を見て、お兄さんはクスクス笑い出す。チビの言っていることは分からないながらも、どんなことを言っているか予想できているようだ。


んー…分かり切っているって感じがするね?


そんなにチビと関わっていないはず。一緒に待ってた間に何かあったか?チビさん、何をやらかしたのかな?


「……まー、そうだけど。何か、あったの?」


「さっき、談話室に向かうまでにも一体、魔物に会ったんでぇ。」


にぃと楽しそうにお兄さんは話だだす。うん、お兄さんは楽しそうに笑っているが、話の内容は楽しそうな内容ではないな。


嫌な予感がぷんぷんとするよ?ヤバイ香りが充満しとりますよ?


カンのいい桜花さん、面白い内容じゃないって察しちゃうよ?ピーンッときちゃうよ?


チビさん、君はなにをしたんだぃ?


「魔物が姿を表した際、魔物をチビ氏が叩き潰したんでござるよ。そのすきに我らは逃げられたんござるが…」


桜井も話すが楽しそうではない。雲行きが怪しい。怪しすぎる!


確かに私は先に行けと3人のそばにいろとしかチビに命じてない。


チビは意思を持つ武器であるがゆえにそれだけでも私の意図を汲み取り動けるわけだ。


とはいえ。


いや、だからこそ、か。


言葉足らずになってしまい、チビが思い思いの行動をしてしまった可能性がある。


正確に言うならば、うちの武器は攻撃性が高い。戦闘力が高く、かつ、敵に対しては攻撃的な性格をしている。


ま、ぶっちゃけるならば敵見りゃ襲いかかるわけで。


3人の安全を確保するためには魔物を排除したほうがいい。てな、感じに3人の安全を確保しつつ逃げるではなく、攻撃の一択を選択した可能性が高い。


ま、攻撃は最大の防御だからね。


下手に目立たないために私はやらないけども、チビなら止めなきゃ魔物に飛びかかるだろう。いやぁそれはもう楽しそうに生き生きと飛びかかっていくだろう。


うちの子達、戦うの好きだからなぁ。戦闘狂なのよ。強いものほど燃えちゃうの。


「魔物の傷が瞬時に治るのを見て、チビが追撃を加えに動くからビックリしたんだよね。」


あ、うん。


谷上が核心をついたね。想像通りでしたよ、はい。予測しやすい動きをするのも私の武器の特徴ですよ。


瞬時に治るのみると、ときめくもの。面白いッ!って飛びかかるよね。


「2、3度、あの魔物を壁に叩きつけて、それでも治るんで、チビが臨戦態勢で魔物に唸り声出してたんでぇ。声かけなきゃ、あのままやり続けてただろうな。………谷上を乗せたまんま。」


て、はい?お兄さんが最後に呟いた言葉に私は目をまん丸くさせてしまっていただろう。


お兄さんはクスクス笑っているが、そん時の谷上は絶対に青ざめてたよね。今も若干、顔色が悪いんだけども。


乗せたままでも怪我させない自信はあるんだろうけど。危ないでしょうが。


十中八九、チビは谷上をわすれて、魔物に夢中になってんでしょ。


お兄さんが何とか止めれたのは運が良かったね。いつも私の声にしか反応しないから。


「何やってんの、チビ?」


「にゅー。」


チビにじとーっと視線を向ければチビは顔をプイっとそらした。


僕悪くないもーんとでも言いたげな態度だね。いやいや、谷上乗せたままの追撃は明らかに判断ミスだから。明らかに悪いのはチビだから。


危険に晒すなって言ったから。


「ぷいじゃないだろうに。」


「飼い主に似て、血気盛んってわけだな。」


クスクス笑いながら、お兄さんは言う。


てか、待ってよお兄さん?飼い主に似てって何さ?私、昨日会ったばっかりで結構おとなしくしてるよね?優しい視線を向けてきたって誤魔化されないからね?


武器だって、主にチビしか使わず、他は無心武器だし。術式だって目立たない程度にしか使ってない。なんだったら気付かれない程度のサポートにしか使ってない。


うん、私、普通の女の子じゃんね?血気盛んに動いてないね?さっき、時間稼ぎしたくらいだよ〜。なのに、なんか本性を見抜いてますって感じなお兄さんが怖いのだけど?


んんん。まぁ今気にしても仕方ないか。


「…………まったく。せめて、谷上を下ろしなよ。でもま、攻撃は最大の防御っていうよね?私もチビも攻撃のが得意なんだよねー。」


「にゅっ!」


私が開き直れば、チビは元気よく返事をする。


コイツ、反省はないな?


まったく…ま、さすがは私の武器ってところか。


次からはしっかり、そこまで声かけとかなきゃだな。


「とはいえ、あまり危険な事はやめてね。さっきも…心配したから。俺も足手まといになって、ごめん、だけど…。」


「……あー…んー…ごめん。今度から気をつける。」


「うん。助けてくれたのはありがと。」


謝ってみれば、谷上は微笑みながら言う。


私もチビも谷上に比べれば戦える。


ゆえに戦いを押し付けることもできるって言うのに何とか出来ることをして共に戦おうとしている。


谷上含め、3人とも良い子やなぁ。私の身を本気で案じていたようだし。この子たちを不安にさせるような事はしたらダメだね。


ささ、3人に不快な思いさせないように頑張りますか。
















◇◇◇side阿部◇◇◇


「たくさん、見つけましたね!」


バッチ探しは意外にうまく進み、村山が無駄にやかましい声を出す。


あんだけ探したんだから見つかるのも当たり前だ。


「そうね。大体探した事だし、一回、ユキたちのとこに行っておきましょ。」


村山のやかましさは気にならない様子の御崎は俺たちに順に視線を向けつつ言った。


が。


その時。視界の隅を何かが蠢いた。


「…あ…ま、魔物……ッ!」


俺より先に気がついたであろう坂崎。瞬時に顔を青ざめ、悲鳴のような声をあげた。


その声に村山や御崎も反応し、周りを見渡し、身体を固くした。


「走れっ!!」


とりあえず、叫んでいた。条件反射と言っても良い。何も考える事なく叫んでいた。


俺の言葉に全員で一斉に走り出した。




だが。




クソッ!何であんなに早いんだよ!!


魔物の動きは俺たちの動きに比べるまでもなく速い。すぐに魔物はすぐうしろまで迫ってきた。


「チィッ!」


舌打ちしつつ、ずっと持っていた鉄パイプを使って、魔物を叩き落とす。


ーーーあん?


魔物は床に叩きつけられるが、すぐに動き出した。ダメージなしかよ。傷一つない様子ですぐに起き上がってこっちに迫ってきていた。


ダメだ、これはーーー避けきれねぇ。



見てくださりありがとうございます!

楽しんでいただければ幸いです^_^


ここから視点が変わります

今後ともよろしくお願いします^ ^

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