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14.学園生活の初めにゲームを④

ーーーと。雑談してたら魔物を発見!ウサギ仮面野郎が見せてきたあの魔物。キョロキョロあたりを見ながら歩いている。


すばしっこいタイプの魔物だが、無心武器により行動をコントロールされているためか、今は大人しく、ゆっくり歩いている。


一応、魔物がいるよって、声をかけておいた方がいいかな。


「魔物、来るねぇ?」


「……?こっちにくる気配、ない?」


魔物を見て身構えたが、襲ってくる気配のない魔物に谷上は首をかしげた。不思議そうにしつつも、身構えている。警戒する小動物って感じの動きだね。


谷上は変態野郎の説明、一部忘れてないかな?


「あれは一定の音を聞いたら凶暴化するってぇ話でぇ。今、音を流されりゃあ、今襲われるんじゃねぇか?」


意外にもお兄さんは説明を覚えていたらしい。嫌々ながらも話はしっかり聞いているようだ。睨み付けるように魔物を見つつ、吐き捨てるように言う。


そして、魔物を油断せずに見ながらもジリジリと後ろに動くようにして、魔物と距離を取りつつ、図書館の入り口を目指しはじめた。


こちらにも行くぞとアイコンタクトを送ってきた。


お兄さんなら猪のごとく突進していきそうなイメージだったけど、逃げるが勝ちって戦略もできるんだねぇ。ま、今のうちに逃げるべきだから良いんだけど。


「今のうちに距離を稼いだ方が良いねぇ〜。」


魔物を見つめながらも後ろに下がるようにして魔物と距離をとっていくお兄さん。図書館の出入口を目指している。


お兄さんに倣って、私も後退していく。それに桜井や谷上も大人しく従ってくれた。


「"術式22 強化の鎧"」


谷上はゆっくり後退しつつ、呪文を唱えると、術式を発動させた。


ほー。キラキラきらめくものが私達の身体をまとう。


防御の鎧は文字通り強化系の術式。これで多少、攻撃を受けても大丈夫だし、身体能力が上昇したわけだ。


身体が軽くて動きやすくなった。中々の腕前だなぁと谷上の腕前に感心したその時。






《チリーーーン チリーーーン チリーーーン》






その場に音が響き渡った。


魔物から一定の距離を保ちつつ、図書館から出ようとしたあたりで。


放送にて流される不吉な音。本能にやばいと語りかけてくるような嫌な音。


それが流れた刹那。




ーーー空気が変わった。




今まで私達に一切の興味を示さずにゆったりと歩いていた魔物がグワンッと私達に視線を向けた。


凶悪な視線。飢えた肉食獣のソレに瞬時に行動を起こさねば死ぬと脳が警報を鳴らす。


「"チビ"吠えろ。」


魔物と目があった瞬間にチビを喚び出す。


狸のような、アライグマのような見た目のチビ。大きさを自由に変えられる優れ物だ。私の護獣。


大抵は肩のりサイズで私の肩か頭に乗っかってることが多いけど、小さなサイズの時は人形のように可愛い。クリっとした目は一見、黒に見えなくもないけど、実は深い青。触り心地最高な毛並みはついつい撫でたくなるのよね。


姿を現したチビは、戦闘モードのためか、ちょい大きめなオオカミサイズ。これくらいになってくると、獣って感じになって、可愛らしさは消し去り、かっこよくなる。


チビさん、魔物へ向かって構え、牙を剥き出した。うんうん、迫力あるね。


「グワァアアアアア!!!」


防御がしっかりしてようが所詮は魔物。威嚇されれば動きを止めてくれたりするわけで。


スキができるから逃げられる。


「とにかく、談話室に退避しようか。」


スキができた今のうちにみんなで全力で走り出す。みんなで戦うべき相手ではないからね。


とにかく今は走って逃げる!


「て、谷上〜?大丈夫?」


振り返りつつ、谷上に声をかける。が、返事がない。


谷上、術のレベルはそこそこだけど。


足、おっそいなぁ。すぐにゼーハーゼーハーなっている。走って逃げ切るのは難しそうだ。返事もできないくらいに余裕がない。




ーーー仕方ないか。




4人で走っていたけど、私は立ち止まり、魔物の方を向く。


「私が時間を稼ぐから先に行って。チビ、みんなにつけ。」


三人に声をかけ、チビに指示を出す。


「にゅい。」


チビは短く返事をすると、三人の後ろに控えた。さっさと行けと促すように動き出す。うちの子、優秀だぜ。


「ちょっ!志貴氏は?」


足を止め、振り返る桜井。焦ったあの表情やら動きやらを見る限り、あまり戦闘なれしてなさそうだな。


無言ではあるが、お兄さんもこちらに視線を向けている。置いていくのは心配なのか?


谷上も谷上でゼーゼー息が上がっていて声は出せなさそう。んな余裕のない状況なのに足を止めて、心配そうにこっちを見ている。


自分にさえ余裕ないのに優しいねぇ。


「後から追うよ。みんなの安全のが先でしょう?」


私が声をかけると、やはり三人は不満げな顔をした。


だが、私が話すと同時にチビがより強めに動き出した。


私の邪魔となる三人を私の思い通りに動かす気らしい。さすがは私の愛武器。ナイスサポート。


「ちょちょちょッ!?何々何??」


チビは少し体を大きく変化させ、何とか谷上1人を乗せられそうな大きさになると、ゼーハーゼーハー言っている谷上を自分の背に乗せる。


慌てふためきながらも、チビの背に谷上は乗せられている。


「しっかり捕まっときなー。チビが乗せてくれるみたいだし。チビ、頼んだ。」


慌てふためく谷上に笑いながら声をかけると、チビに視線を送る。


ここは役割分担しとかないとな。谷上を逃す時間を私が確保する。まとまってにげるよか、効率が良い。


「にゅーぃ。」


チビはこちらも見ずに返事をすると、すでに動き出そうとしていた。


桜井やお兄さんを逃げるために押しつつ、歩み出している。


「しかし!」


チビを押し返そうとしつつ、桜井は叫ぶ。丸メガネのひょろっとした子って印象だった。単なるひ弱なオタクに見えた。けど、意外と力があるらしい。


チビを押し返すには至らないけど。うちのチビさん、強いから。


うーーん。


ここは素直に行ってくれた方が楽だなぁ。


とはいえ、皆は男の子だからな。私1人を置いていくのは気がひけるだろう。んじゃま、行きやすく促してやっか。


「だいじょーぶ。良いから、走れ。"術式1 炎"」


私を中心にして炎が現れる。魔物達は私を超えれず。桜井、谷上、お兄さんはこちらに戻れない。そんな状況だ。これなら3人は談話室を目指して進むしかないはずだ。


ま、足止めくらいにしかならないがな。


魔物もほうも、あれは火吐く魔物だし、そんな時間稼ぎにはならんだろう。


「…………今は行くしかねぇ。桜花ちゃん、気ぃつけな。」


さすがはお兄さん、おっとこまえー。


そんな判断の早さに惚れ惚れしてしまいそうだね。


不服そうにはしていたけど、今は私達がもめるときじゃない。そんな暇はないのな。


桜井の腕を引きつつ、お兄さんは走り出した。その後ろを谷上を乗せたチビが続く。


谷上は悲惨な顔でチビの上からこちらを振り返り見ていた。声にならない声を発する。


「だいじょーぶ。」


振り返りつつ走る桜井や振り返り続けている谷上。悔しそうに顔を歪めていたお兄さん達に声をかけつつ、私は魔物に向き合った。


よし。


三人がいなくなるのを見届けると火を消す。


敵も味方も通さないってだけでなく。お兄さん達の姿も見えなくするっていうね。魔物は私だけを見てくれる。


お兄さん達を見失っているんだ。仕方ないよね。


んじゃま、さくっと時間を作るとしようか。






火を消せばヤギドリは迷わず私目掛けて跳躍してきた。






グワッと口を大きく開け、さぁ噛みつくぞって近づいてくる。


《パーン》


とりあえず、口から頭を貫通するように1発弾を打ち込めば、ヤギドリは避けれず弾に当たり、後ろに飛んだ。


が。


傷はすぐに治る。撃たれた後だというのに、ヤギドリはすぐに起き上がると、再び私の方へと飛んできた。そこに一切の怯えや警戒心はない。ただ、本能の赴くままにこちらに襲い掛かろうとしている。


スピードが中々速い。


避けてもすぐに方向転換し、再び襲ってくる。


傷が治るまでにかかった時間は3秒。治るちょい前には攻撃するために起き上がり、飛ぼうとしていた。


傷は付けれる。だが、数秒もすれば治り、再び襲ってくる。倒すためには武器の限界まで攻撃をしなければならない、か。


「"術式15 斬風"」


術式を使い、とりあえず切り刻む。


ま、あれも数秒で治るだろう。


「"童子"」


撃ち続けるのも出来なくはないが、音が響きすぎるし。


私は自分のこんせい武器、童子を喚び出す。


こんせい武器は自分の魂からできているからかなのか、収納可能であり、必要に応じて喚び出せる。


それに対して、つくも武器は普段から武器の形で持ち運びしなければならない。


その点に関してはこんせい武器のが良いよな。手ぶらで必要に応じて喚び出せば良いから。私はどちらも常に携帯しときたいけど。たまに童子も腰に携帯したりするけど。


こんせい武器とつくも武器はもう1つ異なる点があり、こんせい武器は武器と心を通わしていくことで護獣が出現する。獣が現れるんだよな。猫っぽいのとか犬っぽいのとか人それぞれ。どんな獣が出てくるかはその人次第。


護獣も護獣で武器同様に出来ることは異なる。護獣によっては火を操れたりとか雷を使えたりとかする。超能力を使える獣が現れるイメージ。


うちの子みたいに肉食獣的な獣があらわれれば、能力以前に戦闘に役立つ。ウサギやらリスやらがあらわれたらさすがに戦闘には向かない。まぁ能力によるのだろうけど。


こんせい武器は武器も護獣も同時にセットで出現するわけではない。こんせい武器はどの程度扱えるかで段階わけされている。



第1段階が名を知ること

第2段階が武器の能力を知る

第3段階が護獣が出現

第4段階が武器が具象化

第5段階が護獣の本姿化



てな感じに。つくも武器の場合は第3段階で段階わけされ、護獣の出現はない。ゆえに第3段階なわけだな。護獣は第3段階まで至らなきゃ出現しない。


つまる話、第5段階まで至っていればこんせい武器のが重宝される。護獣がいる分、能力高いし。武器を二つ持ってるわけだから。


とはいえ、有心武器を持っていても第2段階にしか至ってない奴が大半のため、あまりこんせい武器のが良いとか言われたりしないけど。


私のこんせい武器、童子は双刀だったりする。二本で一つであり、2つ揃って童子。片側ずつに名があって、ガクとショク。で、護獣はチビ。


普段だったら大抵常に私のそばにチビはいる。何だったら戦闘の地に出る時ならば武器達を常に控えさせている。


が。


他の子達が誰一人護獣を使ってなかったし。なんなら武器も持っていても携帯しているだけで具象化させたりしている姿を見ていない。こんせい武器を扱う子達は武器をしまいっぱなしだった。


だから、私もチビをしまい、童子達を喚び出すことなく宝物探しに参加してみたわけだ。


結局喚ぶのだから最初からそばにいさせてくれてもよかったじゃないか。そんな視線を喚び出したチビから受けちゃったわけだけど。うん、無視しました。


今、術式で付けた傷が癒えたヤギドリはすでに近くまで迫ってきている。近づいてきたとこを童子を使って斬りつけた。


そして、ひたすら斬り続ける。


切った先からどんどん傷は治っていくけど、とにかく斬り続ける。スキをついてヤギドリも襲いかかってくるが、それをかわしつつ、攻撃の手を休めず、斬って斬って斬りまくる。






「あ、壊れた。」






どれくらいやり続けたか。ふと、武器が壊れてヤギドリは受けたダメージを他に逃すことができなくなり、そして死んだ。


ん〜、やっぱり確かに壊しにくいが、やはり不可能ではないよな。ヤギドリ自体がそんな強くないってのがでかいけど。


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