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13.学園生活の初めにゲームを③

別れて行動するにしても、連絡取れないと、ウサバッチが何個集まったかも分からない。分からなきゃ困っちゃう。


というわけで。


本拠を決めて、そこにゆずるん達にいてもらって何処を探したかを把握してもらう。


で、他は別れて捜索をすることに。


メンバーは適当に決めた。とりあえず、二手に分かれるって事で。今は誰が何が出来るかも分からないしね。とりあえずは適当。


私はヤンキーくんと揉めるかもだし、谷上達もまた、ヤンキーくんといくのを雰囲気で嫌がるし。


こんなそんなで谷上達と私は一緒に行くことになったわけだよ。て、あれ?別れるメンバー、選択肢なかったかも。ま、いっか。


「拠点は2階の談話室だ。良いな?各自、捜索したら早急に戻ってくる事。無理は禁物だ。先程の魔物は鋭い歯と素早い動きが特徴だ。」


確認事項を言い、注意を促すユキ。


2階には各々の部屋とともに、談話室と書かれた共有スペースがある。中々に広く、全員が入って寛げるくらいのスペースがある。


始まる前に皆でそこまで移動し、これから出発しようとしているわけだが。


待機組が3人とも心配そうに捜索チームを見ている。見つめちゃっている。危ない地へ向かう旦那を見送る妻かのような視線を私達に向けている。


「火を吐くから気をつけなさいね。」


おかんのように声をかけるクールビューティゆずるん。


「無理しないでくださいね?」


上目遣いで心配そうに皆を見るカナちゃん。こちらは小動物的な妹のイメージ。


うん、待機組は慎重派が多いな。このメンバーを残していくのはやや心配だけど。ま、仕方ない。本人らは大丈夫だって言ったし。気にせず行けっていう姿はやはり妻って感じ。女は強いね。


ユキ達に見送られつつ、捜索組は出発進行しますかね。











◇◇◇


待機組に見送られつつ、とりあえず、一階から探すって事で一階のラウンジにきた。


「うちらはとりあえず、一階のラウンジと図書館を探すんだっけかー。」


周りをキョロキョロ見渡しつつ、他3人に声をかける。


ウサバッチとやらはどこに隠されてるんだろうねぇ。見つけなくても罰がないって言うなら、なんていうか、見つけなくてもいいような気もしなくともないんだよなぁ。


あぁ…あまりやる気が出ないなぁ。本当、やる気が出ない。やる気スイッチが見つからない。あ、そもそも私の中にはスイッチそのものがないわけかな。


「そういう話でぇ。」


お兄さんもやる気が出ないらしく、あくびをしながら返事をしてきた。


やったね、仲間がいた。やる気ないぜタイプのお仲間だ。


分かっていた、分かっていたよ!お兄さんがやる気を出すはずがないことは!参加するだけ奇跡だよね。


うんうん、そうだよね。お兄さんが素直に参加するのってなんだか不思議だよね。ヤンキーくん同様に嫌がるかと思った。


とはいっても、お兄さんは周りを探す風もなく、ただただ、かったるそうに私の横を歩いている。


「ウサバッチとか探しがいのない宝物だよねぇ、可愛くないし。図書館で本でも読んどくー?ラノベとかもあったよー?」


やる気はあまりないけど、とりあえず1番に探すと決めた図書館の扉を開け、中に入りつつ3人を振り返って声をかける。


3人は私の後から図書館の中に入り、図書館を見渡していた。ウサバッチを探すというより、図書館の本やら景観を眺める感じに。


ラノベとか谷上や桜井は読みそうだよなぁ。ま、偏見ではあるけど。単なる第一印象で判断しているだけだけど、読みそうだよね。


「ウサって人、空の指示で動いているかもなんでしょ?だったら、指示に従わないと罰則あるかもしれないじゃん。」


「罰は恐ろしい。しかし、ないとも言えぬのが現実。素直にウサバッチを探した方が良いと拙者も考えますぞ。」


私の言葉に呆れたようなリアクションの谷上と桜井。図書館の内装を眺めるのを早々にやめてバッチを探し始めていた。


ま、だろうね。


2人が不真面目にサボりを決め込むとか想像つかない。


お兄さんはやはり、あまりやる気がないのか、本を眺め続けているけど。


「マンガとかもあったよ〜?悪役令嬢系もあったし、異世界転移系もあったよ〜?」


サボりを促すべく。


いや、促す気はないけども、どうしてもやる気が出ず、マンガコーナーを見つつ、3人に声をかける。


こちらにもバッチはあるかもだし、一応本棚を一通り眺める。


「どんなラインナップ?広いとは思ったけど、マンガとかもあるんだね。」


お。


谷上が相手してくれた。


バッチを捜しつつも、相手はしてくれるらしく、こちらに視線を向けている。


「変態野郎の趣味かねェ?」


お兄さんは私の横まで来ると、同じく本棚を眺めはじめた。


「お。好きなマンガ、揃ってる。」


手に取り、パラパラ〜と読む。


横からお兄さんが覗き込んでくるから見せつつ、パラパラ読む。


「…………ジャンプの王道がないね。」


いつの間にやら谷上や桜井までそばに来て、一緒に本棚を眺めていた。


やはり、2人もマンガ、読むよなぁ。何となく好きそうだもの。


「だねぇ。ま、こういう系、好きよ?」


パタンと読んでた本を閉じつつ、言う。あ、ここ、私の好きなもの、結構置かれているのか。


お兄さん、私の開いた本、気に入ったみたいだね。しまおうと思ったら何冊か、手に取ってる。貸りてく気かな?


「確かになろう系は良い。胸踊る顛末が多く、面白いものが多いのも事実。しかし、ラインナップに偏りがありますな。」


桜井は棚に並んだ本を見つつ、言う。


本を見つつもしっかりとバッチを探してる。真面目だなぁ。


たしかにここにはいわゆる王道系があまりない。マニアックと言うか、なんというか。


「第6期生とか言ってたし、卒業生からの贈呈とか。あるいは空の趣味〜?」


あるいは空の弟子である私の趣味に寄せてきているか。空が私を入れる前に揃えたのかも?


あ、私が集めてた奴あるや。


師匠は私が駄々をこねないように揃えといたのかな?


それはそれでイラつくけど。私の本棚にある物は大抵ここにあるなぁ。わざわざ揃えたのかも。


………まさか私の本じゃないよな?


だとしたら、やっぱり師匠…しばく。許さない。


実力じゃかなわなくても、どうにかする方法くらい心得ていると思い知らせてやる。


「空がマンガとか読むイメージとかないけど。国のトップでしょ?」


バッチを探しつつ、谷上は言う。


闘魔隊を仕切るのは9名の者達。


トップが空。その下に月姫と陽騎。

その下に晴、雨、雪、霧、雷、嵐の6人がいる。


以上9人が国のトップ。空が代替わりすれば下8人も代替わりする。空に合わせたメンバーが選出される。8名は空の守護者ともされているわけだ。


現在の空は今までの空に比べても特に実力が高いとされている。守護者達も同様だ。彼らは能力が高い。


准隊員にとっては雲の上の存在だったりするわけなんだよな。まぁ正隊員からしても、上司であり雲の上の人物だけども。


ま、だからと言ってマンガを読まないわけじゃないけれど。彼らも単なる人間だからねー。


現代の月姫である月にぃと一緒にしょっちゅう本読んでたし。あれでいてトップツーだからね、月にぃは。


実力は半端ないんだけど、そうは見えないんだよなぁ。それをウッカリ口にしたら、しばらく地獄のような特訓が続いてしごきまくられるから言わないけど。


「空だって同じ人間だよー?本だって読むでしょう。殿上人ではなく、同格な人間なわけで。ほのぼの系マンガだって読めば単なるムッツリスケベだったりするわけよ。」


と、話しつつ、私は結構好きなほのぼの系マンガを手にする。


飼い猫がいつの間にやら人より大きく成長して、しかも、家事炊事がプロ並みになってる、めっちゃ有能な猫と割とダメ人間のマンガ。


これ、私が好きで集めてるやつ。


パラパラ〜と開いて中身を見る。横にはお兄さんがいて、やはり、本を一緒に読んでいる。


「なんでムッツリスケベ前提なの?」


呆れた様子の谷上。


ん〜…現代の空を知っているからって話なわけだけど。ムッツリだなんて言ったら本人、怒るわけだけど。


ま、そんな話をしても仕方ないよな。


「じゃあ、オープンスケベぇ?」


にんまりと笑って聞き返す。


冗談半分に流しとこ。


「そりゃあ単なるスケベだろ。ま、空にどんな性癖があろうとどうでも良いことでェ。今はさっさと、ウサバッチとやらを見つけちまおうぜ。茶番を終わらせてェや。」


あらら。


お兄さんは捜索に飽きてきちゃってるね。あまり捜索自体はしてないけど。


マンガを何冊か抱えつつ、キョロキョロあたりを見渡している。一応、バッチを探してるのかな?


「そだねぇ、と。あったぁ。発見!!!」


本棚に挟まってた。本を戻しつつ、バッチを回収する。


掌サイズの割とでかくてゴツイバッチ。変態野郎のお面と同じデザイン。


ーーーん?これは…


お面が剥がせるようになってるのか。お面をつけている形になっている。細かいとこまで凝っているねぇ。


「拙者も発見致しましたぞ!」


バッチを眺めていたら、桜井が声を上げた。


「お。こっちも。ーーーあの変態の顔だってぇと、腹が立つ。」


同じく見つけた様子のお兄さんはバッチを見て顔を歪めていた。


ま、気に食わないデザインではあるよねぇ。


「ハハハッ。壊したくなるよねぇ?」


あの変態野郎のデザインのバッチはややイラッと来る。可愛くない。


にしても、バッチは意外にサクサク見つかるもんだねぇ。もっと見つけにくいかと思いきや。ま、30個も隠したって言うし、そんなもんなのかな。


「野蛮過ぎじゃない?さっきもヤンキーと喧嘩しようとしてたし。僕も見つけたけど…そのバッチ、壊さないでね?」


呆れた視線を谷上は向けてきた。


ま、喧嘩しようってときに谷上や桜井は青ざめていたからなぁ。


「ん〜?だって、一々突っかかって面倒じゃんね?痛い目を見せたら、ああ言う子は黙るはずだからねぇ。八つ当たりも兼ねて?」


「桜花ちゃんは八つ当たりが8割ってとこかい?」


お兄さんがにぃと笑いながら聞いてくる。


あらら。バレてるな、これ。


「他に当たれるとこがないからねぇ。仕方ない。ヤンキーくん、万が一にも大暴れでもして変態野郎がキレるなり怪我するなりしても危ないし。周りだって危険だから、おとなしくさせねばですよ。」


肩を竦めて言う。


仕方ないだろう。当たる相手が欲しかったんだから。


「ちょッ…志貴氏、八つ当たりてッ!この状況下、誰かに八つ当たりしたくなる気持ちも分からなくもないでござるがww」


桜井まで呆れるのか〜。


挑発に乗るヤンキーくんが悪かろう?


私は悪くありませーーーん!!


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