表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

 夢なんですよね!私行きます!


 私は高校一年生の神野恵。小柄で地毛が茶髪のどこにでもいるただのJKだった。あの事件が起きるまでは……


「さて、今日の課題も終わったし、少し本でも読んで寝ようかな。」


 学校の課題の後、読書をしてから寝るというのが恵の日課である。元々本を読む性格ではなかったが友人に勧められて読んだ本が思ったより面白く読書の楽しさを知ったのだ。


「さて、昨日の続きからっと。すごくいいところで寝落ちしちゃったから気になってたんだよねー。それにしても最近この手の異世界転生系が増えたけどやっぱり面白いし本当に異世界なんてあるんなら行ってみたいなぁ。」


そう、最近恵が読んでいるのは俗に言う異世界転生なのだ。少し前から流行り出し、今では書店のメインを占めるくらい人気なジャンルになっていた。


「本当に?」


「え?いま声がしたような……」


 恵は急いで辺りを見回すが自分の部屋なので誰もいるはずがない。


「本当に異世界に行きたいの?」


 またこの声だ、どこから声がするかも分からずあたふたする恵。そこに追い討ちのように謎の声が話しかけてくる。


「ちょっと!本当に異世界に行きたいのかって聞いてるでしょ!早く答えなさいよ!」


「ご、ごめんなさい!行きたいです!行きたいですー!」


恵はいきなり怒鳴られて反射的に「行きたい」と答えてしまった。


「よし、じゃあ行くわよ、異世界に。あの世界を救えるのは貴方だけなんだから。」


「え、それってどういう意味ですか?」


「まぁそれに関しては後々話してあげるわ。」


 謎の声がそう言うと恵の目の前が真っ暗になり、次の瞬間いきなり光に包まれた。


「まぶし!いきなりなんなの!?」


 目を開けて周りを見渡すと裁判所のような場所の中央に自分が立っていて目の前には赤髪でドレスを着ている少女と恵の2、3倍はあろうかという老人が椅子に腰掛けていた。


「よくぞ来てくれた。お主なら来てくれると信じていたよ。」


「でもじいさんよー、本当にこの子で大丈夫なの?私にはとてもじゃないけど荷が重いと思うよ?」


「確かに私もそう思う。しかし聖属性を持つのは世界でこの子だけなんじゃよ。」


「なんだか悪口を言われているような気しかしないんだけど……」


「こほん、これは失礼。いきなりこんな所に連れてこられてびっくりしておるじゃろ?」


「まぁ、確かにそうですけどこれは夢ですよね?」


あまりの現実性の無さから私は完全に夢だと決め付け、きっと課題で疲れて昨日みたいに読書中に寝落ちしたのだろう。そう思い込んでいた。


「ああ、そうさ。これは夢。だから深く考えなくていいんだよ?」


「で、ですよね!やっぱり夢ですよね!よかったー!」


夢であることに安堵し喜んでいると 赤髪の少女は老人の耳に手を当てなにか伝えていた。


「このまま夢だと思わせとけば簡単に召喚できるんじゃね?」


「相変わらず悪知恵が働くのぅ、アリスや」


「へへへ、でもこうでもしないとあの子は承諾してくれそうにないからさ。」


「なんだか気が引けるがそれもそうじゃの。」


 話が終わると2人は恵の方を向く。


「さて、これからの事じゃが。少し説明させてくれんかの?」


老人がそう言うと恵は我に返り老人の言葉に耳を傾ける。


「すみません、夢で良かったなぁって思って!」


「よいよい、それでこの後なんじゃがお主にはお主がいた世界とは違う世界に行ってその世界を救ってもらいたんじゃ。


「わかりました!夢ですもんね!私やりますよ!」


 完全に夢だと思い込んでいる恵は即答で承諾してしまう。


「くくくくく、やっぱりこの子面白いわ!おっと笑うと怪しまれちゃうから我慢しないと。ぷぷっ」


 赤髪の少女は夢と思い込んでいる恵を見て笑いそうになるのを我慢していた。


「それじゃあさっそく連れて行ってください!夢が覚める前に!!」


「わ、わかったから離れなさい。それとこれがお主のステータスカードじゃ。お主の様々な情報が載っておるから確認するんじゃよ?」


「わかりました!後で確認しておきます!」


「全く、本当に分かっておるのか……。まぁよい。それではまずは最初の町エインガルドへ召喚する。」


「どこでもいいのでお願いします!」


「それでは武運を願っておるよ。」


もう完全に猪状態の恵は老人の話をまともに聞いてすらいなかった。そして恵の体が光に包まれエインガルドに召喚されていった。


「何を言っても聞いてくれないのぅ。アリスや、あっちに着いてからそなたから詳しい話をしてあげなさい。」


「仕方ないわね、了解よ。それじゃあ私もよろしくお願いするわ。」


「わかっておる。それよりアリス。本当にそなたが行くのか?」


「もちろんよ、任せておいて。もう二度と同じ過ちを犯したりしないわ。」


「そうか、分かった。疲れたり困ったりした時はいつでも戻ってくるがいい。」


「ええ、ありがとう。それじゃあ行ってくるわね」


 こうして恵、そしてアリスの物語は始まった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ