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8.夜を迎えると

あの後、食堂の店長から娼館の情報を入手した俺は上機嫌で歓楽街へと向かっていた。

食事の代金を金貨で払った際には微妙に迷惑そうな顔をしていたが、情報料で別に銀貨1枚を渡すと、

各娼館の特徴や料金帯、チップの相場などを詳しく教えてくれた。

彼は食堂の店主マスターであると同時に娼館遊びの名人マスターでもあった様だ。

先達の情報は初心者である俺にとって、実にありがたいものだった。


知らずに来たが、このマルレットの街は交易都市としてそこそこの規模の街らしい。

だから色んな種族の人達が行き来していたのかと聞いて納得した。

そして重要なのはソコではない。

交易都市として様々な人種族が出入りしているということは、それぞれの文化も混ざり合うということ。

各種族毎に求めるものも違うだろうし、生活様式も違う。 それはつまり多種多様な性癖もあると言うことだ(迫真)。


先達の話によれば、各種族ごとの娼館もあれば、様々な種族の女性が集まる娼館もあるとのこと。

やはりいきなり異種族で異世界娼館デビューはハードルが高いので、慎重派な俺は人族の娼館に行くことにした。

いや、これでも外人専門店に行くようなもんなんだからね?


歓楽街の中でもその一角・・・・に足を踏み入れると、視界に広がるのはパライソだった。

露出が多かったり、ピッチリしているのだったり、逆に肌は晒さず上品だったりと色んな格好をした色んな種族の女性がそれぞれの店の前やキャッチのように客引きをしているではないか。



「桃源郷は此処に在ったか・・・」



朝霧 鋼、出陣します!!


とかなんとか考えながら歩いているとやはりキャッチや声掛けに遭う。



「お兄さん、遊んでかない?」


「イイコトしましょ?」


「ねぇ、私の身体、興味ない?」


「お兄ちゃん、わたしにイケないコト教えて・・・?」



などなど。

一部条例に引っかかりそうなお誘いがあり興味を引かれたが、鋼鉄の精神で乗り切る。

既にやや前屈みなのは仕方ないと思うんだ。

だって、1年以上触れ合ってない人間の女体が引っ付いてくるんですよ? 無理でしょ。


そのまま歩くこと暫し、目当ての店に着いた。

店は三階建ての小奇麗な雑居ビルを木製にした感じで、入り口の上に華美ではないが地味でも無いといった風な金枠枠に白地、赤字で店名の書かれた看板が付いている。



「ヒューマ・サローノ・・・ここか」



ここが本日俺が目的とした店で、人族専門のちょいとお高い娼館だ。

店長曰く「値段相応のサービスと満足は保証するぜ?」とのこと。

どきどきわくわくしながら俺は店へと入った。



「いらっしゃいませ、ヒューマ・サローノへようこそ」



ホールに入ると、迎えてくれたのはアラサーくらいに見える微笑む金髪美女だった。

少したれ目で優しいお姉さんて感じの人だ。 「あらあら、まぁまぁ」とか似合いそう。

胸元に大胆な切れ目が入ったワインレッドのシンプルなドレスを着ていらっしゃるので白い谷間が眩しい。



「当店へのご来店は初めてでいらっしゃいますか?」


「あ、はい。 人に聞いて、初めて伺いました」



思わず敬語になってしまう。



「そうでしたか。 ありがとうございます。 ようこそお越しくださいました」



笑顔でそう言われた。



「では、先ず当店のルールや御代等についてご説明させて頂きますので、どうぞこちらへ」


「あ、はい」



俺氏、緊張気味です。

金髪美女に案内された先は、ホールの端に設置されたソファー席だった。

ここでメニュー表の様なものを見せられ、禁止事項や料金等について説明を受けた。

あ、金髪美女の名前はシンシアさんというらしい。

説明する際に名乗ってくれた。


禁止事項を簡単に言えば、

・暴力禁止

・薬物禁止

・嫌がることはしない

というもので、料金は凡そ2時間コースが基本で

・人気嬢   金貨1枚

・中堅嬢   大銀貨5枚

・その他の嬢 大銀貨3枚

3.5倍払うと一晩コースに出来るとのこと。 お得だね。

ちなみにその他の中には新人も入るらしい。

ついでに言えばオプションで道具やSMなんかもあるらしいが、俺は普通が良いのでノーサンキュー。

支払いは、プレイ終了時に部屋で嬢に渡すらしい。


一通りの話を聞き終えたところで何人かの嬢をオススメだと姿絵付きの名簿で紹介された。

が、それぞれ可愛いのだが、いまいちピンと来なかった。 何故って?

理由は自覚しているので、訊いてみる。



「シンシアさんは?」


「はい?」


「シンシアさんにお願いしたいのですが」


「え・・・私、ですか?」


「はい」


「あの、私よりも若く可愛らしい方が多く在籍しておりますので・・・」


「いえ、貴女がいいんです!」



シンシアさんの手を握って訴える俺。

そう、俺はホールで見た瞬間からシンシアさんがいいと思っていたからである。



「ですが・・・」



と、少し恥らうように目を逸らすシンシアさん。



「ダメですか?」


「あの、本当に私でよろしいので・・・?」


「もちろん!」


「は、はい。 わかりました・・・」



ぃよっっっっっし!!!


内心で狂喜乱舞な俺はシンシアさんと連れ立ってソレ用の部屋へと案内されて移動した。

無論3倍料金の一晩コースですよ。

ちなみにシンシアさんは数年前に年齢を理由に引退されて、今は案内や説明担当のホールスタッフ的な役目に就いているらしく、料金帯は「その他の嬢」になるとのこと。

年齢聞いてビックリしたが、御歳35歳らしい。 全然若く見える。

たった2歳上なだけじゃん。 日本だったら普通にAV女優とか現役な年齢じゃんよ。 


案内された部屋には奥に大きめのベッドが1つとその脇に小さな棚が1つ、手前にトイレと浴室(シャワーは無い)が設置されているだけのシンプルな部屋だった。

部屋に着いた俺は早速とばかりにシンシアさんを脱がしにかかり浴室へ。

その後ベッドまで移動すると朝方まで励んだ。

そりゃもう励んだ。 人生の中で一番長く、且つ多く励んだ。

ステータスの恩恵なのか体力があり余っているからこそ出来た芸当だ。

賢者タイムってのは次弾装填のためのクールタイムのことであり、クールタイムであるからこそ思考もCOOLになるのであると悟った。

端的に言って最高でした。 異世界のプロすげーわ。


コトの後には湯を浴び、身体を洗っても貰ったあと一緒に寝て仮眠を取った。

目を覚ますと目に入ったのは、腕の中にあるシンシアさんの照れた笑顔だった。

もう幸せである。


そのまま再度襲いたくなる衝動を堪えて身支度を整え、代金を渡す際、この最高の体験の感謝の意を込めて



「釣りは要りません。 代金えを引いて残った分は、チップとして受け取ってください。」



と、爽やかな笑顔(俺主観)で告げて金貨2枚を手渡した。

とても驚かれて遠慮されたが、どれだけ良かったかを語り、また来た時にたくさんサービスして下さいと言って押し切ると苦笑しながら受け取ってくれた。


シンシアさんに出入口まで見送られ、上機嫌で娼館を後にした俺は空腹を満たし、失ったタンパク質を補充するために肉を求めて朝からやっているとシンシアさんから聞いた屋台の集まる通りを目指した。


屋台通りに入ると、既にまばらに人がいた。

聞いていた通り、店も既にはじめている屋台がいくつもあり、いい匂いがしてきている。

通りの端には何セットかイスとテーブルが設置されており、屋台で買った物はそこでも食べられるらしい。

通りを流しながら屋台で売っているものをチェック。

するとポトフのようなものと串焼きを売っている屋台があったので、ポトフを1杯、串焼きを2本購入した。

しめて大銅貨1枚と銅貨1枚である。 とってもリーズナブル。

串焼きはブーバードという鳥の魔物の肉に甘辛なタレな付けて焼いたもので、まんま焼き鳥の様でなかなかだ。

ポトフもどきも素朴な味わいで美味い。

朝食を終え、イスの脇にあったゴミ箱へ串を捨てる。

皿は屋台に返す仕組みだ。

その帰りに果実水を買ってそのままイスに座る。

鞄から煙草とライターを取り出して一服していると、左手の甲にバチッとした妙な感覚と奇妙な熱さを感じた。

左手の甲に目を遣ると、先程までは無かったはずの奇妙な紋章のような文様が浮かんでいる。



「何だこれ・・・」



文様は中心に1つの文字を囲む八芒星があり、その外側を円形の二重の魔方陣が更に囲むものだった。

これがいきなり現れて熱を発しているらしい。



「こんなん手に出たままじゃ恥ずかしくて人前で手を見せられねぇじゃねーか」



厨二まっしぐらじゃねーのよさ。

とか考えていると、一瞬視界がぶれ、勝手にステータスボードが顕れた。



「は?」



その現象に驚いているとステータスボードの上に重なる様に更にもう一枚、赤色をした半透明の板が顕れた。

そこには



《【スキル】ハチケンシ:EXユニーク が 能力開放条件の一部を満たしました。 一部能力が開放され、付随するスキル、魔法の使用が可能となります。 また、ステータスの表記が一部変化します。》


《開放能力:眷士   付随スキル:眷属統率、眷属掌握、眷属強化、眷属消化  付随魔法:眷属化、眷属開放》



と、出ていた。



「・・・え?」



赤い板は直ぐに消え、残されたステータスボードの表記は


『名前:コウ・アサギリ

 種族:異世界人(人族?)

 性別:男


 【能力値】

 Lv   :89

 体 力  :A+   

 魔力保有量:S

 筋 力  :S   

 耐久力  :S

 器 用  :A

 敏 捷  :A

 魔 力  :A

  運   ;D


 【適正】

 戦士   :S

 家庭教師 :C

 商 人  :B

 魔法使い :A


 【スキル】

 算 術  :B

 錬金術  :C

 料 理  :A

 医 術  :C

 魔 法  :S

 絶 倫  :―

 ハチケンシ:EXユニーク開放状態:1(眷)

 


 【称号/加護】 

 称 号  :異邦人、破の守護竜の友、竜と大精霊の飲み仲間

 加 護  :空間と守護の大精霊の加護、破の守護竜の加護 』




飯食って酒飲んで、エロいことしかしてないのに・・・なぜだ。

教えてデトえもん。

助けてスペ黄門様。

お読みいただいて、ありがとうございました。

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