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32.“特級”奴隷に出会うと

正面の檻からする声を耳にした瞬間、俺の魔力が無意識に迸った。

意図せず起きた条件反射だった。

原因は分かっている。

俺はあの声に聴き覚えがあるからだ。

それもこの世界でではない。

地球の・・・日本にいた頃にだ。

この世界に来て、まさかあの人の声を聴くことが出来るとは・・・。

何故?ウソだろ?マジかよ!有り得ねぇ!等と一瞬で俺の脳内は疑問と衝撃に埋め尽くされたが、それでも条件反射で反応してしまう位に、この声の主には思い入れがあるのだ。


そう・・・







俺の好きなエロゲ声優ベスト5に入っているとある人の声とソックリだったのである。

あの高さと甘さ、そして耳にするっと入り下半身を直撃する声は忘れない。

尻尾ブンブン丸どころか、ち●こビンビン丸である。

それが“特級”奴隷だと!?

ふざけんな!!ありがとうございます!!

何がなんでも主になりとうございますぅ!!!

いかん。何を言ってるのか自分でも分からなくなってきた。

そんな気持ちが魔力となって先走っ・・・迸ってしまった次第で。

割と結構な量を流してしまったようで、半開きだった扉はいきなり全開になるわ、檻の格子はビリビリ震えてるわ、俺の立ってる位置の地面に至っては亀裂が入っている。

ホント申し訳ない。

でもそんだけ好きなんだよ。

分かるだろ?

声優で選んでエロゲ買ったりすることもあるじゃん?



「「「・・・!?」」」


「お・・・お客様・・・?」


「・・・おい奴隷商、正面の檻に入っているのは?」


「し、正面の檻に入っておりますのはサキュバス、にございますが・・・」


「ほう、サキュバスか・・・」



美声サキュバスたんキターーーー!!!あの声で搾り取られるとかご褒美以外の何物でもないじゃないか。ご褒美でしかないじゃないか。

何度でも言うがご褒美じゃねーか!

ありがとうございます!ありがとうございます!!

今俺は、この世界に来て初めて心の底から女神に感謝した。

アンタ天才だよ。 正に女神だよ! あ、最初から女神だったか。

キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!

↑内心正にコレだよ。

わくわくを抑え切れずに正面の檻へと近付く俺。

オラ、わくわくすっぞ。

そんな調子で檻の前で立ち止まると中から聴こえる声にまた耳が幸せを覚えた。



「あ、貴方・・・人間にしては、な、なかなかの魔力じゃない」


「すまん。 結構抑え気味ではあるんだが、ちょっと漏れた」


「ちょっと・・・!?」



この会話だけで幸せを感じてしまう俺はどうなんだろうか?

ああ、嗚呼、耳が幸せだ。

あれ?魅了にかかってないか?俺。

違う?どっちでもいいや。

そんなことよりも改めてサキュバスの容姿を確認する。

檻の中に居たのは、長くストレートの深緑の髪を持つ、長い睫毛に縁取られた気の強そうな赤い瞳のツリ目をした白磁の美女だ。

スッと通った鼻筋に、少し薄めの唇。

その唇をなぞる様に添えられた白魚の様な手の指がまた艶かしい。

見た目的には20代前半位だろうか?ミリィと同じ頃かな?

サキュバスだけあってスタイルも所謂ボンッキュッボンである。

ディ・モールト・マーヴェラス。

種族特性なのか、背には黒い蝙蝠の様な一対の翼があり、側頭部にも同じ様な小さな翼が一対生えている。

尾は・・・分からん。生えているようには見えないが、どうなんだろう?

服装としては背の翼があるからだと思うのだが、背中がぱっくり開いた白くサラサラっぽい生地の簡素な貫頭衣の様な物の腰を赤い腰布で縛っている感じだ。

丈は短く太腿が輝いてる。

そこも素晴らしいのだが、貫頭衣の横も空いてるから横乳見えねーかな?

見えないわ。クソ。



「ああ。 ちょっと先走り的に迸った」


「そ、そう・・・」


「改めて抵抗する為に出そうか?」


「そうねぇ・・・。 さっきの魔力量位なら、ま、まだワタシを服従させるには足りないわよ?」



なるほど。

まぁ、そりゃ小便した後にピッピッって出る残尿程度の魔力じゃ足りないだろうな。

この極上のサキュバスたんを手に入れる為に気合を入れ直そうか。



「OK分かった。 ちょっと本気出すわ」


「「「え・・・」」」



何やらサキュバスたんと他の空気だった奴らも呆けているが関係無い。

サキュバスたんを手に入れる為に俺は全力を尽くす。

でもちょっと格好つけたいので先ずは半分からいこう。

そう決めた俺は魔力を汲み上げる。



「よっこい・・・せっ!!!」



総量の半分程を魔力の波に変えて周囲に撒き散らした。

先ず屋根が真上に飛んだ。

そしてそのまま落ちてきて元の位置に戻った。

次に地面が割れた。

檻の格子も飛んだ。

飛んだ格子にぶつかって奴隷商人も飛んでった。

サキュバスたんの右横の部屋に居たらしい奴隷は青くなってガタガタ震えてる。

部屋2つ分左に居た奴隷はなんだか大興奮してる。

サキュバスたんはブルブル震えて失禁してる。



「・・・あれ?」


「はわ、はわわわ! はわわ!」



軍師か!

失禁したサキュバスたんはこちらを見て「はわはわ」言いながら涙目で震え続けている。

おかしい。 思っていたのと違う。

ここは「まだまだね」って言われて「今のはまだ小手調べの半分だ。次が本気だぜ!」からの「やるじゃない。仕方ないから認めてあげるわ」の流れじゃないのか?



「・・・もう1回いい?」


「「「もう1回ぃっ!?」」」


「今度はちゃんと本気出すからやり直したい」


「ひぇええっ!!!」


「ちょっ! どどどういうこと!?」


「ふむ!是非やってみてくれ!」


「「是非じゃないばかぁっ!!」」


「次はちゃんと倍出すから」


「「倍・・・」」


「おおっ」


「せーの・・・っ」


「「やめてぇえええええ!!!」」



サキュバスたんとそのお隣さんに抱き着かれて懇願されたので、ストップする俺。

なんか左の太腿が生温かい。

視線を向けると抱き着いたサキュバスたん白い谷間の更に先で股に挟まれているのが確認出来た。

OK。 聖水の温もりだった様だ。湿り気も感じる。



「・・・左の太腿が生温かい」


「はわ、ごごごごめんなさい!!ワ、ワタシのその・・・おしっ・・・おしっ」 


「後で洗えば良いから大丈夫」



むしろご褒美ですので。



「う、うん・・・」


「あ、あのあの」



俯くサキュバスたんと入れ替わる様に話し掛けて来たのは、サキュバスたんの隣の小部屋に居た別の奴隷だ。

この“特級”奴隷も女性・・・つーか少女で、背は高めだが、見た目は10代前半くらいじゃないか?

そんで、あんまり起伏の無いスレンダー体型にゆるく波打つ見事な青いショートヘアを持っている。

瞳も同じ青色で、大きな丸い目に丸みのある輪郭とちょんとした鼻が可愛らしい。

種族は・・・なんだろうな?



「どうした?」


「あ、あなたは人間・・・ですよね?」


「ああ」



この世界の産まれじゃないけどね。



「それなのにあれだけの魔力量があるなんて・・・」


「そう、ホントそれよ・・・信じられない」


「あ、そうだ。 それで、俺の魔力量は認められたのか?」


「え!? あ、そう、そういう話だったのよね、うん」


「そうそう。 この部屋に来た人が、うち達の主に相応しいか見定める〜とかって話でしたっけ?」


「そう!その通り! 拙は感服致しました!!貴殿こそが我が主に相応しい! 是非、拙と契約を!!!」



後ろからやって来たもう一人の“特級”奴隷が接近しがてらそう言ってきた。

ちゃうねん。 気持ちは有り難いが、俺が欲しいのはサキュバスたんなの。


チラッも後ろを見ると、正に「ふんすっ!」と言わんばかりに両の手を拳にして胸のあたりで握っている、ザンバラな燃える様な赤い長髪のトランジスタグラマーがいた。

簡単に言えばロリ巨乳だわな。

顔立ちもかなり整っている。

喋り方があんななのに、こちらもやはり10代前半位に見える。

アーモンド型の目に金の瞳、高過ぎずツンとした鼻に逆さ卵型の輪郭の顔。

元気少女全開な感じである。

そんな美少女ロリ巨乳がなんか頬を紅潮させて目をキラキラさせてる。

5年後辺りが非常に楽しみな逸材だ。



「いやまぁ・・・ね? ホラ、話を振ってきたのはサキュバスだからさ。 先に、ね?」



美少女は勿体無いから否定したくないので、やんわりとサキュバスたんに話を振ることを試みる俺氏。

我ながらちょっとクズい気がする。



「むむっ!確かにそうでしたな! おい、サキュバスの!」



そう言ってサキュバスたんに話を振ってくれるロリ巨乳。

ええ子や。



「で、どうだ?」


「そそそうね!認めてあげるわ!」



俺から離れ、胸を張って仁王立ちでそう言い放つサキュバスたん。

胸を張った際にゆさっと揺れる重量感が大変に素晴らしい。

が、正面向いての仁王立ちなのでおションの染みも全力で誇っている感じになっている。



「・・・」


「はわ!?」



無言でそちらの聖水の源泉跡へと目をやると、気付いたサキュバスたんが慌ててそこを抑えてしゃがみ込んだ。

赤くなってチラチラとこちらを伺うサキュバスたん。

俺は何も言わず、笑顔でサムズアップしておいた。


そして声無き声を上げて悶絶するサキュバスたんを置いといて、今度こそ奴隷商人に話を訊かねばと周りを見渡すが、ヤツがいない。



「・・・あれ?」


「どうかされましたか? ご主人!」


「いや、まだ契約してないんだけど・・・」


「お気になさらず!」



いや、するわ!



「で、何か気になることがあるのかしら?」


「ああ、いや、奴隷商人てどこ行った?」


「あー、それでしたら・・・」



そう言って、ふわふわ青髪ちゃんが視線を送った先には、部屋の隅で格子の下敷きになって動かない奴隷商人が居た。


・・・さて、どうしようか。

お読みいただいて、ありがとうございました。

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