ハーフエルフの過去は辛いものです。
ハーフエルフ。それは、この世界で忌むべき存在。ハーフエルフとして生まれてきた子供はエルフからも、人からも蔑まれる。
そして、エリーアルもまた、ハーフエルフとして悲しい過去を育ってきた。
生まれてすぐに、親はエルフの掟を破ったため殺された。エリーアルもすぐ殺されるはずだったが、生まれ持った魔力の大きさにより逃れ、同じハーフエルフに引き取られ育った。
学校にも通えず、ただいつも育て親と共にいた。
しかし、その生活に不満は感じていなかった。
育て親。ミストリアと共に楽しく暮らしていたのだ。
そんなある日いつものように森でミストリアと共に遊んでいるとたくさんの魔族がやって来た。
「半魔ともあろうものが、まだこの世に存在していたとはな!」
「ちっ!どいつもこいつも、ハーフエルフの何がいけねぇってんだよ!」
「その理由はお前だ、ミストリア。貴様がハーフエルフとして、いや、氷の魔女としてこの世界の者を恐れさせ、貴様自信が恐怖の象徴となったことでハーフエルフは忌むべき存在となったんだよ!!」
「私に...私にそうさせたのは、お前らだろうがぁぁぁぁぁあああ!!!!」
「や、やめて!ミストレア!」
幼きエリーアルの叫びも虚しく、ミストレアは再び氷の魔女としての姿を露にし、魔族のやつらをなぎはらっていった。
その威力は凄まじく、一息吐けば木がまるまる凍りつくほどであった。
「正体をあらわしたか!氷の魔女!!!」
グサッ!!!一瞬の出来事だった。ミストレアは刃物で刺され、力を失っていった。
刺したのは...魔族ではない。恐れをなした、近隣に住む村人だったのだ。
「ま、魔女め!!し、しねぇーー!!!」
村人達は、次々にミストレアに襲いかかる。
「やめてっ!!!!」
エリーアルが氷の魔法で村人達を止めた。
「こ、氷の魔女の意志がまだ、まだ生きている...!」
村人たちはそう呟き逃げていった。
「エリー...アル。お前だけでも逃げろ。私はもう長くない。」
「嫌だよっ!嫌っ!!!私、ミストレアさんがいなくなったら誰も、誰もいなくなっちゃう!!」
「お二人サーん、お話し中悪いのですが逃がす気はありませんからね?」
魔族たちが、こちらに向けて魔法を放った。
グササササ、!!
ミストレアが、自分を守る魔法を発動する代わりに、攻撃魔法を使い魔族を全滅させ、魔族が放った攻撃は、エリーアルを守り全て自分が受けた。
「嘘...ミストレアさん。嫌だよ。嫌だよ。」
エリーアルの目からは大粒の涙が雨のように流れ落ちていた。
「エリー...アル。ごめんね。ずっと一緒にいるっていったのにな。だめだ、その約束...は果たせそうにない」
「嫌だよっ!そんなの嫌だよっ!」
「よく聞け...エリーアル、お前は...優しい子だ...これから...辛いこともたくさんあるだろうが...いつかきっと、お前のことを大切に思ってくれる人が..... 」
「ミストレアさん!ミストレアさんっ!!」
その日山には少女の悲痛な叫びが鳴り響いていた。
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