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黄金のレシーブ  作者: たこたこさん
15/15

団体戦2


榊と長野さんの試合は、レベルの高い立ち上がりから始まった。


どちらも、高レベルなラリーを繰り広げ、一発いっ発が高いレベルの応酬だ。


しかし、榊は、レベルが高いなんてもんじゃない。


それを、甲野は、この試合で感じることになるのだ。


「どうした?」


スコアボードには、6-4

長野さんがリードしている。


小技で崩し、得点に絡ませるスタンダードながらも、難しい配給をする長野さん。


それが、榊にきいているのか、今現在榊は負けている。


「おいおい、こんなもんかよ」と大悟がいった。


確かに、これまでの四点は、スマッシュでもぎ取った物だ。フットワークで制したわけでないし、小技で決めたわけでもない。


「負けんなよ」と甲野は、呟く


その声が榊に届いたのか、榊は甲野をじっと見ると、「お前は俺が負けると思っているのか?」と返す。


「ほぉ」と青さんが笑う。


「……思うのなら。すぐに忘れろ。忘れさせてやる」榊は言うと、足の根本に巻いていたサポーターをはずしコートに戻った。


「まさか、重りとか言わないよな?」


「………重りだ。」と榊は返す。


「まじで?」と長野さんは、口をパカパカと開けている。


「……嘗めてた訳じゃない。取り外すのを忘れてたんだ。」榊はそう言うとコートで再び構える。


長野さんは、サーブを打った。そのサーブを飛び付きプッシュで返す。


まるで、飛んだ様に飛び付き叩いた。


「巻き返しだ。」


榊は、サーブを打った。ショートサーブだ。

それを長野は、手前に返す。それを榊はクロスに返した。


決して長野さんの打つ球が浮いている訳じゃない。榊の移動が神がかっているのだ。


榊はロングサーブを打った。


長野は、それをドロップで返した。クリアをそう簡単に打つわけにはいかないからである。


そのドロップに榊は追い付くと、綺麗なヘアピンを返す、ネットをシャトルが転がり床に落ちる。


落ちるすんでのところで長野は、何とか返すが、それをプッシュで返される。


榊はサーブを打った


長野は、低めのロブを打った。


榊は横にとびそれをプッシュする。


「………ははは」と長野は笑った。


まるで、鳥だ。翼が生えているみたいだ。


速い、移動が速い。


とてつもなく、フットワークは、全然長野の上をいっている。


そして、跳躍からのショット。


まるで、その動きは空の王とも言える動きだ。




15-6

とどんどん点差が離れていき、長野は、諦めてはいないが、どうしたらよいのかわからなくなっていた。


だが。長野は決して諦めない、奢りたくないからだ。


パァン!

15-7


点がとれないわけじゃない。


長野はそう言い聞かせ、足を動かす。


19-9


そのポイントの時に奇跡が起きた。榊のスマッシュを長野が、なんとか返したのだ。


ふわふわと返されたシャトルは宙に浮いている。


榊は、そのシャトルを見ると、両足に力をいれる。


体をバネのように使い、少し反りながら、シャトルを空中で叩く状態を作る。


この時、甲野は、思った。まるで、鷹だと。


空中の滞空時間が異常に長い。そして、シャトルと自分の腕の位置を調節した榊は、振り下ろす。

まるで、巨人が剣を振り下ろすような迫力がそのとき榊にはあった。


パァン!


シャトルの羽が舞った、恐らく、この部活でシャトルの行方を追えたのはこうのだけだろう。


滝のように落ちたシャトルは、コートに突き刺さると飛ぶように跳ねた。


「アウト?」と大悟は言った。


「見えなかった…」と大原さんは言った。


「いや、インだ。」と長野さんが言った。コートにシャトルのコルクのあとが生々しく付いていた。


ーーーーーー


試合はその後すんなり終わり、榊の勝ちになった。


「まるで、天使みたい」と、青さんが言った。

確かに飛んでいる姿は、それに近いものを感じさせる。







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