榊直司2
「ありがとね、助かったわ。これで付き合わないで済む。」と月岡都は、胸を下ろした。
「別に、ただ俺は、明らかに不条理な約束をさせたあいつにムカついてただけだ。お前のためじゃない。」
「かっこいいねぇ」と大地は言い
「痺れるぅ」と甲野は呟いた。
「なぁ、月岡考え直してくれよ。あいつより、俺の方が絶対良いって、なぁ!」と大悟は、未だに月岡都に引っ付いてくる。
「人気者は辛いね。」と矢乃木青は、言った。
「あ、青さん。」と、月岡は。期待の眼差しを向けた。
「大悟君、あんまりしつこいと。せっかくカッコいいのに、台無しだと思うよ、甲野くんみたいに無愛想になろうよ。」
「ぶ、無愛想……ですか」ガクッと甲野は項垂れる。
「嘘嘘」と青さんは、にこっとわらった
「………わかりました。おい、榊!甲野!今度は。二人ともまとめて倒してやるからな、お前らも強くなれよ!」
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「………本当、榊って何者なんだろうな。」朝の通学路で俺は大地に聞いた。
「有名だったのは、双子の兄の方だったって言ってたけど、明らかに弟の直司の方も全国にそういないよな。卒業後プロになれるレベルじゃねぇか?普通じゃないぜあの、ショット」
「俺は。まだ、バドミントンのことよくわかんねぇから、言えないけど。あいつが、他より、抜きん出てるのはよくわかった。」
二人でのんびり話していると、時計の針が八時をまわりそうだったので、急ぎ足で教室に入った。
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「お前、月岡と付き合ってるのか?」榊は、昼休み中の屋上でパンを食べながら聞いた。
俺は、口に残ってるパンを飲み込み
「お前、ちゃんと、話聞いてたか?月岡が、大悟を諦めさせるための口実だ。」
「ぁあ、そうか。」
「そんなことで引くタイプじゃないだろあれは(大悟)」
俺たち二人は、入部届けを正式に出しにいくついでに、二人で屋上で昼食を取っていた。
正直、未だに榊のことは、苦手だ。
よくわかんない。
「そういや。お前。俺のオーバーハンドが、もうできてるって言ってたよな?あれは、どういう意味だ。」
「………その通りだ。振ってみろ。」
と、榊は、何処から取り出したかわからないラケットを渡した。
俺は、それを受け取り言われた通りに降ってみる。
毎日、見よう見まねで、素振りをしているからか、最近しっくりと振れるようになった。
スパッ!と空気を切り裂く音が響いた。
「持ち方が、微妙だな。」
榊のレクチャーが、始まった。
スパッ!スパッ!さっきより。さらに、しっくりと来る。
これだ、兄はこんな感じで振っていた。
「こんな感じでいいのか?」
「そうだ。」
「案外、すぐに覚えれたな、難しいと思ってたのに。」
「………(こいつは。恐らく、甲野浦谷さんのフォームをずっと、観察していたからか、無意識にオーバーハンドを、使う場合は、スマッシュのフォームになっていた。インターハイ優勝選手の、浦谷さんのフォームに似た。)」
「野球も、こんな感じで投げてたんだよな。」
ぶん!と、ラケットをおき、今度は投球フォームを見せた。
「……とんだ、初心者だな」、
「あぁ?何かいったか。」
「………お前、今日から、フットワークをより意識しろ。」
そう、榊は、言うと。ゴミを丸め出ていった。
その後ろ姿を、見て思った。
何であいつ。ここに来たんだ?
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「集合!」
部活が始まり、準備運動が終わった辺りに、長野さんが声をかけてきた。
「今年は、男子は系三名。女子は一名の経験者が入った。正直豊作の年だ。」
にこにこっと青さんが微笑みながら皆を見た。
「そこで、5月に始まる、インターハイ予選の試合に出すか出さないかを、此れからやる、学年対抗の団体戦で決めたいと思う!」
再び戦いの火蓋が落とされようとしていた。
「あの、何で出すか?出さないか?何ですか?」と大原さんが、訪ねた。
「本来、一年生のはじめての大会は8月の新人戦から何だけど、別に5月からのインターハイ予選からでも、出しても大丈夫なのね、でも出すには、それなりの実力が欲しいからそれを一斉にはかろう。みたいな感じ」と青さんが言った。
「団体戦をやるといっても、俺たちは四人しか男はいないし、女子に至っては二人たけです。」
「…もしかして、ミックス?」と月岡が言った。
「そう、ミックス!」と青さんが言う。
「学年別ミックス団体戦か、おもしろいなぁ」と大地が言った。




