馬鹿
三セット目に試合は移った、
大悟のきゅっきゅつと、音をならすフットワークは、もう、バタバタという音に変わっており。
大悟はスタミナが切れたからか、足が重くなりまともに動けずにいた。
対象に甲野浦木は、初心者とは思えないような、軽いステップを踏み、フットワークで大悟の上をいっていた。
甲野は、大悟のフットワークを観察し見よう見まねで、フットワークをやってみるが、速いだけでしっくり来ない。
だが、動きは速くなってきている。
経験者がレシーブが上手いだけの初心者に狩られる構図が周りで観戦していた人達には予想外だったのか、目を丸くしている。
大原さんは、じっと謎の初心者甲野浦木を見て言った。
「これは、浦木君が強いの?たまたま調子がいいだけ?」
「浦木君が強いんじゃないわ、司令官が完璧だったのよ」と月岡は、大原さんに答える。
そっかと大原さんは笑う。
「それにしても…、何でフットワークがあんなに速くなるのかしら」月岡都は、疑問に思う。
「本当の戦いに向けて、すごいスピードで経験を積んでいるんだろ」と大地は、悟ったように言う。
本当の戦い?と月岡は、首をひねった。
「あぁ。この一週間くらいで分かったことは、甲野浦木君は、天才だってことだ。」
「はぁ」
「元々の身体能力もかなり高いけど、一番凄いのは現状に満足できない、かなりの負けず嫌いで、努力が大好きな野郎だよ。」
月岡は、大地の言っていることがよくわからなかった。
だが、すぐに理解できるようになった。
「悪い!ちょっと、たんま」と甲野は、言うと体育館のトイレに入ってしまった。
「はぁ!!トイレくらい我慢してよ!休んじゃうわよ!」
「しょうがないだろ。昼食ったあんパンが悪くなってたんだよ」
「しょうがないわね。」
10分経過ーー
「………どうゆうこと。何であいつは、帰ってこないの」
「お陰で大悟は完全に回復したな」と大地
「何であんパンでお腹壊すのよ」
「…あいつの昼は、確かかけ蕎麦だったぜ」
「え?………もしかして、わざと、時間とらせてる?」
月岡は、顔が真っ青になった。
「だから言ったろ。この数日間で分かったことは、天才といっていいほど負けず嫌いで努力かだって」
そして、甲野は、帰ってきた。
「悪い悪い、昼に食べたカレーが悪くなってたっぽい」
「甲野、昼に食ったのはかけ蕎麦だぜ」
「ぁあ、そうでした。」
「あんた、わざと、………。」
「彼女なら、わがまま聞いてくれ」
甲野は、再びコートに帰ってきた。
「それじゃあ、今度はハンデなしだな。」
月岡都は、思った。本物のバカかこいつは
試合は、互角の戦いに。
甲野浦木は、二セットの間に覚えた、即席フットワークを使い、ロブだけじゃなく、ドライブやクリアも打ち、大悟に挑んでいた、
体力が元通りになった、彼は、スピード勝負をしてくる彼に合わせてスピード勝負をしていた。
パァン!10-9
点差は開かなかった。
大悟の体力は、既に完全に回復していた。決してを抜いたりはしていない。
大悟は、強い。自分でそう思っていた。
だが、こいつはなんだ?。
何故、俺と競っているんだ?
11-9
負けてはいないが、2点差しか゛離せていない゛
「本当、なんなんだこいつ」大悟は言った。
ーーーーーー
榊直司は、図書館のバイトを終わらせると、ラケットバックを背負いながら体育館に向かった。
この前以上にシャトルの響く音が聞こえた。
この音に聞き覚えがある。やつだ。
榊直司は、体育館の大きな扉をあけると、中に入った。
14-13 とコールされた声が届く。
よく見てみると、甲野と、誰だかよくわからないが、雑魚そうなやつと、試合している。
動きを見て、雑魚そうな方は結構長くやってる経験者だとすぐにわかった。
甲野の動きに違和感を覚えた。
「即席で、フットワークを無理矢理やるからそうなるんだ。」
榊は、言った。
「何だ、榊じゃん。たった今シングル中だぜ。
甲野と、部内1の実力者が」と大地は、榊にいった。
「部内1?あれが?そうか、お前はあれより弱いのか?」
「…………榊は?」
「…………」
パァン!試合は終わった。
18-16
試合はデュースにもつれ込んで、接戦の末大悟が勝った。
甲野は、犬のように舌を出しながらぜぇぜえとしている。
「………まだ、ちゃんと、動けてもいないのに、フットワークを真似ろうとするからそうなるんだ。」榊は呟く。
「負けた…負けた…付き合うの…」ぶつぶつと、隣で言っている女の子を榊は見つけた。
確か、月岡都。
ーーーーーー
参ったな、勝てると思ってたのに。甲野は、舌を出しながらぜぇぜえとしながら、落ち込んでいた。
フットワークが中々思い通りにいかない。
…………そういや、俺は負けちまった。都は、どうなるんだろう。
甲野は、辺りを見回した。
「よぉ」
「榊か、何だ見てたのか、しょうもない試合」
「フットワークを無理矢理使わなければお前が勝っていた。今のお前には只の足枷だ」
「そりゃどうも。悪いな期待してくれてたのに」
「別に、期待してるのは、お前のレシーブだけだから」
「んだとこら!………流石に疲れたな。」
俺が立ち上がった時に、大悟が隣によっていった。
「勝ったから、月岡は、俺が貰うぜ。」
「………………」
月岡は、真っ青になっている。そんなに嫌か。
「どういうことだ?」と榊は、ことの始まりを大地に尋ねた。
大地説明……
「なるほどな、経験者のお前が圧倒的有利な約束をして、不条理なことを言っているのか」
「はぁ??誰なんだてめぇ!なんか文句あんのか?!俺はこいつに勝ったんだ。」
「………バドミントンを、賭け事に使うんじゃねえよ」
榊は、真っ黒な眼差しで大悟を見た。大悟は、息を飲んだ。
「かっこいい」と大原さんが呟く。
「………丁度いい。お前今から俺がフットワークを見せるから、よく見ておけ。」榊は、ラケットを取りだし言った。
甲野は、頷く。
「五点でいい。俺が五点とられたら敗けでいい。ハンデだ。21点1セットやろうぜ。」
「あぁ、いいよ。その代わり俺が勝ったら、今度は月岡と、正式につき合うからな。」