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異世界で奴隷生活始めました  作者: 海峡 流
第一章 神々との牢屋生活
8/20

八話 贈り物と別れ

 ぎいっと軋む音がして、扉が開いた。

 扉のすぐ横にある、女がいた牢屋には誰も残っていなかった。


 逃げたんだろうな…

 周りは森に囲まれているはずだけど大丈夫かな…

 なんて思いつつも出口へ歩を進める。

 さらば碌でもなき想い出…

 まぁ現在進行中なわけだが


 そして洞窟の外へと出たアモンが松明を持って?くわえて?いるのであたりは若干明るい。

 すると不意に松明の炎が掻き消え、


 「お前がカナタか…ベルとゴールからは話を聞いているぞ。それにしてもこの世界に来てからまだ三日ほどか…お前も難儀な運を背負っているな…」


 「あなたがニュクス様…ですか?」


 「いかにも。夜の化身であり死と眠りの母であるニュクスだ。今宵はお前に力を与えにやってきた。…もっともそこのベルの思惑通りなのが気に食わんが…む?ひどい怪我だな…治してやる」


 そういうとニュクス様の右手から何やら影のようなものが飛び出し、おれの左肩を覆った。

 そして影が晴れると…

 そこには傷なんてなかったかのような綺麗な状態になっていた。

 神様の力ってスゲー!

 

 「ありがとうございます!」


 ってかこの人は念話を使わないのか…?

 あーでもアモンも普通にしゃべってたしな…


 「そんなこと言わないで下さいよー!ちゃんと来てくれるなんて感激ですよ、私!」


 「しゃべれたのかよ!」


 「は?しゃべれるに決まってるじゃない!」


 「ちなみにぃ…私も普通にしゃべれ…ぐぅ…」


 どうやら念話はただの気分だったらしい。


 「…そんなに記憶に残したいのか?自分の存在を?」


 とニュクスさん。

 あれ?といことは?


 「ぎくっ!しょうがないじゃない切羽詰まってるんだから!」


 「よし、説明を求む!」


 と、まぁ渋りながら話してくれたことには


 「私ってそろそろ五百歳ぐらいなのよ。まぁ神様って寿命があってないようなものだから正確には覚えてないのだけれど…それで、このぐらいの年齢になったら神様って普通後継ぎをつくるわけよ。でもゼウスのじじいにまだ独り身でいたいって駄々こねたら『あと二百年たって後継者育ててなかったら俺が孕ます』とか言いだしてね…それだけは絶対に絶対に絶対に回避したいから伴侶を一から育てようと思って…それがあなたってわけ。まぁ条件としては【そこそこ顔がいい・少し数字をいじれば確実にこっちの世界に来れるぐらい不運なやつ・そこそこ心が強い奴】ってとこかしらね。」


 ちなみに念話は普通の会話より記憶に残りやすいそうだ。


 「待て、じゃあ俺ってこれからどうなるんだ?一生牢屋の中はいやだぞ!」


 「そんなことしないわよ…まずはあなたがこっちに来てから今まで、というか神様たちに会ったことは忘れてもらうわ。まぁ死んだら思い出すことにしておくけど。そんで、死んだと同時にあんたには【クロノス】を継いでもらうわ。あの爺さんタルタロスから出れないから後継者に困ってたらしいのよ…まぁゼウスの野郎とかはいやな顔するでしょうけどね。」


 ということだった。すげーな俺の人生!まぁ死んでからが凄いってのはいかんせんあれだが…

 ちなみに生きている間は何してもいいらしい。といっても奴隷だからなにがどうできるってわけでもないけど。


 「こほん、それでは私から派手に祝福を捧げてやろう!タナトス!ヒュプノス!出てくるのだ!」


 「な、何でしょうか母上…」

 

 「あらあら母上…お呼び出しですか?」


 といって一人は黒いローブと烏?の仮面をかぶり、明らかに身の丈を超えた大鎌を持つやたらショタ声の奴、一人はあでやかな美女…というか俺のイメージするサキュバスにジャストフィットな若い女が忽然と現れた。

 ちなみにニュクスの姿は…いかにも魔女って感じだ。なんでマントが常時広がってるのかとかは謎だが。


 「今からこの者に祝福を与えます。お前たちも一つずつ贈り物を。あ、そこにいるアモン…?でしたっけ?あなたも新しい主に贈り物を。」


 「は、はいぃぃ!了解です母上!ではこの【ブラッドウィスパー】をあげましょう。」


 と言ってタナトス?がそこらに手をかざしたかと思うと今持っているのとは別の大鎌があらわれた。ほら、死神とかがよく持ってるやつ。その鎌の刀身は赤黒い光を鈍く放っており、柄にもなにやら不思議な素材が使われていた。柄には何やら文様が描かれているようだ。俺の左手の奴と似ているが少々違う。蛇じゃなくて…なんなんだろうな?よくわからない意匠だ。


 そしてそれを受け取ったのだが…


 (軽い…?)


 そう、軽いのだ。俺の頭をちょっと突き抜けたぐらいの柄の長さ(俺は大体170cmだ)で刀身も付いてるのに重くない。まさにファンタジー…


 「あ、あとは…ちょっと左手貸してくれますか?」


 といわれたので左手を差し出す。その左手をタナトスが受取り…うわ、こいつの手冷たくて気持ちいいな…タナトスが右手をかざすとまた俺の左手に紋様が現れ、それを蛇たちが呑み込んでいった。


 「い、今ので【タナトスコール】が使えるようになったので…あの…困った時は呼んでください…」


 「あれ?神様たちのことは忘れるんじゃあ?」


 「あんたには凄くなってから死んでもらわないと困るのよ…だからスクルドが絶体絶命の時にあなたの体を操ってその危機を脱するようにしてるの。まぁ私から離れてるんで本来の未来予知とかにはつかえないんだけどね…」


 と、ベルさん。


 「まぁその武器は使えるから十分でしょ?」


 「ならいいや…ありがとうございます、タナトス様」


 そう俺が言うと体をもじもじさせていた。

 …ハッ!俺はノーマルだよ?いや、かわいいとかそんなん全然思ってないし。


 「じゃあ次はわたくしですわね。わたくしからはこの【ナイトメア】を差し上げますわ。」


 とヒュプノスがくれたのは黒の革製の靴だった。


 「この靴は《ナイトメア》という馬の魔獣の皮をなめしてつくられた靴ですの。性能とかは後で見て頂戴ね?」


 おお…なんだが丈夫そうだし、これでもさっとした運動靴から履きかえられる!イイネ異世界!


 「あー、サイズは自動調整してくれますわ。ではわたくしも契約紋を差し上げますので左手を…」


 といってタナトスと同じようにされた。

 こっちはちょっと熱っぽい手だった…

 触られた瞬間眠気が微妙に襲ってきたので眠りを司るというのは嘘じゃないんだろう。


 「それでは大事に使ってくださいまし。」


 といって礼をし、ニュクス様の後ろへと下がっていった。

 …いままでの女性?陣のキャラが濃かった分ヒュプノスが随分とましに見えてしまう。

 異世界にも天使はいたんや…


 「ごほん!それでは私からは【ナイトストレージ】をやろう。我が闇魔法をエレガントに込めた指輪だ。早速その鎌を意識して【収納】と唱えるがいい。」


 「あれ?詠唱は?」

 

 「我輩と契約した以上簡単な闇魔法であれば魔術紋に覚えさせるまでもなく最初から省略できる。」


 あら便利。この梟…?意外と有能だな。


 「【収納】」


 おおっ!鎌がぱっと消えた。

 タナトスが鎌を取り出したのと同じ風だ。

 かっこいいな…


 「それでは最後は私だな。【夜に愛され、月に導かれる定めの者よ。汝に夜の祝福を。】」


 そうニュクス様が唱えると、なんて言うんだろう…空気に抱きしめられる?夜に抱きしめられる?ような感覚をおぼえた。すぐに霧散したが。


 「以上だ。後でステータスを確認しておくがいい。…夜明けが近いな。さらばだ、諸君。」


 かっこいいお姉さんだったな…


 「これで一段落ね…あ!言うの忘れてたけど【スクルドの眼】のおかげであんた読み書きができるようになっているわよ。」


 「おお!それはうれしいお知らせだ。」


 「了解!…ってかこれからどうするんだ?」


「あなたはここで私たちに関する記憶に、なんて言うんだろ?黒い靄をかけられるわ。後はいいご主人様に会えることを祈っておくのね。私からもちょっと手を出してあげるわ。」


 「…わかった。能力とかの使い方は?」


 「アモンに聞きなさい。多分教え上手だから。それじゃあ、転移するわよ。」


 俺の足元に光る魔法陣が現れる。そしてその光は段々と強くなっていき…


 (じゃあね。私の未来スクルド


 という声が最後に頭の中に響いて…


 俺の意識は途絶えた。


************


 「行ったわね…」


 「zzzz…」


 「起きなさい、ゴール!」


 「いったーい…あれ?もう全部終わったの?


 「ええ、終わったわ。計画通りで何よりよ。」


 「百年後がたのしみだねえ…」


 という会話が聞こえた後、その広場にはただ闇が広がるだけであった。

と、いうことで一章?終わりです!

駆け足な気もしますがハーレムメンバーが未だ一人も出ていないということに危機感を覚えまして…

といことで次回は女剣士が出てくる!…予定です。

あと評価してくださった方!(たった二人ですが)お気に入りにしてくださった方!本当にありがとうございます!

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