一話 ハロー異世界グッバイまっとうな人生
「ん…う…ここは…」
この俺、辻占彼方はむくりと起き上がり、あたりを見回した。
これはまた…」
目に飛び込んでくる緑、緑、緑。
俺はどちらかというと幸薄い方だ。顔立ちにもそれが現れている。要するに地味ということなのだが…
「じゃなくて、この状況どうするよ?そもそもどうしてこうなった…」
一度状況を整理してみよう。
まず俺は…そう!アイスが無性に食べたくなって夜中にコンビニに出かけたはずだ。
んでもって、チョコ◯ナカジャンボを買った後夜道を歩いてて…
そうだ!おかしかったのはここからなんだ。
急に体がだるくなっていって、道の端に座り込んだはずだ。
そこで視界が白く染まっていって…
がさっ
「っ!」
と草木が動く音によって俺の意識は現実に引き戻された。
「ここに留まってちゃまずいか…?」
取りあえず動くことにした。独り言が多いかもしれないが一人になるとどうしても呟いてしまうな。頑張って自制しよう…
ガサリ、ガサリと草を掻き分け、森の中を進んでいく。
だがいくら進んでも景色に大した変化はない。
というかここは日本なんだろうか?異世界というパターンは…
ブゥゥゥン
「うわっ」
耳元を何かがかすめていった。
「びっくりするな…」
がさっ!
「!」
割と近くで大きい音がした。
がさっ!がさがさっ!
と、周りからも同様の音が…
って…囲まれた!?
まずい。
獣の類だったらこの行動は狩り、即ち犬畜生あるいはそれに近いものの餌ルート。
あと可能性を考えるなら…
「おい、動くな」
ちょっ!こんなドスの効いた声初めて聞いたぞ!?
まさかとは思うがここを仮に異世界だとすれば…
「俺たちは盗賊団《黒刃団》だ。大人し手をあげるんだ。なぁに、悪いことはしないさ。」
はい予想的中しましたー。
ここは異世界の可能性が高いな。んでここは盗賊共の縄張りと。
ここでも幸薄い体質が裏目に…
がさがさ
なんてことを考えてたら目の前の茂みからいかにも山賊といった出で立ちの男が出てきた。部下らしき二人を連れ添って。
もちろん部下の手にはロープが握られているわけで…
怖っ!
三十六計逃げるが勝ちってな!
え?なんで囲まれていることを忘れていたかって?
人生初のシチュエーションだよ?これに対応できるやつがいたらそいつは間違いなく天才だね。
まぁ平和な日本では活きることはあまりないだろうけど。
かくして後ろの茂みに隠れていたやつに後頭部をガツンとやられて見事に気絶というわけだ。
いきなり詰んだな…
「…こい………するよ?………に……奴隷商が…」
「で………貧弱そう………………売れるのかよ?!」
「うぅ…」
むくりと体を起こす。
あたりを見回すと…
ワオ、ナイス鉄格子。初めて見たよ。
いや、小学生の頃に北海道の網走とかいうところで見たことがあるか…
まぁ中に入ったことはないので新鮮ではある。
ここは盗賊のアジトか何かなのだろう。
鉄格子の外をうかがうと洞窟の中のようだった。
まさにテンプレ…
ん?待てよ?
ここまで異世界モノのテンプレで通ってる。
神様に会うわけでなく草原で気絶していたわけでもないがいわゆる個人差だろう。
だがしかーし!
この剣と魔法(?)の世界で転生者はチート能力を持っているのが必定…
となれば当然…
「ステータス。」
おお!開いたぞ!これでかつる!
そう思ってた時期が俺にもありました。
ステータスに記されていたのは…
名前:辻占 彼方
年齢:17歳
種族:普人族
称号:《ハードラック》《漂着者》
スキル:
は?
ステータスは?数字は?
「おい!」
「うわっ!」
「声かけただけで驚くなよ阿呆が…おい、出ろ。今から奴隷商のところに行くぞ。」
「は?」
「お前は文章ってもんをしゃべれえのか…まぁどんな馬鹿でも働き盛りっぽいからそこそこの値で売れるだろ。お前がせめて女ならな…いろいろ楽しめたものを…」
「女は普通ゴブリンがうろつく森の中に一人でいねえっすよお頭…」
「それもそうだな!というわけだ。ぱっと見何の才能もないお前を仲間にしてもしょうがないしな…」
そんでもってリーダー(?)が馬の背に俺を乗せて走りだしたってなわけだ。俺この世界に来てから何も口にしてないんだけど…
そうやって俺の異世界ライフは最高に不幸な形で始まったわけだ。さすがハードラック。
まじでこれからどうしようか…泣
はじめまして!これが初投稿になります。
拙い文章ですが楽しんでくれれば幸いです。
思うままに書いてるのであしからず。
生温かい目で見守ってください
次話で運命の女神登場!…予定です