27話 いーやーお助けーー! 誰も来ない!?
「よい、しょと」
王都から少し外れた木の上で一息つくのは、言動がそろそろ年だなぁと思われる俺。はい、ソラ君ッス!
一応否定はしておくが、俺はまだピチピチの15だ!!
『若い代わりに変態道まっしぐらー!』
失礼な!ただ、レイヴェアさんらぶぅな恋に生きた青少年じゃないか!
『ハッ!部屋をレイの写真で埋め尽くしてるやつがよく言うぜ!てか元が男っていうのに好きって言ってる時点でアウトォ!!ぎゃはははは!!』
「・・・行くぞ」
否定出来なかったんじゃない。しないだけなんだもん!
「・・・さてさてえ~?俺の愛しのレイヴェアちゃんは元気かー?」
そして俺は草木に隠れるように存在する、いかにもな地下へ続く階段へと向かった。言っちゃうと、俺らの敵の本拠地ってやつに殴り込みに。
ビービービー
どっがああぁぁぁぁ!
「どっけどけー♪」
『ノリノリだなお前』
あっはっはっはー!世界が俺を呼んでいる!今此処に俺以上の強い奴はいない!つまり俺の時代到来ぃ!
『・・・』
ふむ?見えない筈なのにタブリスの蔑む目が見える。やっと俺にも精霊が見えるような能力がついたか?
ま、そんなわけないか。ただ、タブリスの考えが手に取るように分かるだけだな。うん。
でも実際声に出さなかっただけでもましだろー。
「・・・止まれ、です」
「ん?」
おやおや。確かこの方は同じクラスの・・・誰だっけ?そう・・・暗い性格で地味な存在で近寄りがたい雰囲気の・・・んー?
『そこまで分かっていながら名前が分からんとかありえねーだろ。お前の頭花畑か?』
失礼な。脳内全てレイヴェアさんだ。
「・・・ソラ=スイム。ここで、殺します」
「はぁ?それはまた物騒——なぁぁぁぁぁぁ!?」
ざしゅぅ!
目に見えない斬撃が腕を掠る。危なかった。避けなきゃずっぱしいってたねあれ。見事に分身の術が出来たかも知れん。
倒れるだけしか脳が無さそうだけど。
「やる気ってわけだ。でも、俺はあんたなんかに負けねーぜ?」
「! ・・・負けないです」
じりり
とお互い後ずさる。
俺のやる気になった目に怯えてんのか?でもまぁ・・・
「戦う気、ねーけど、なっ」
「!! なっ!?」
負ける気は無いけどそもそも戦う気もないからね〜。敵前逃亡だ!つまり逃げたんだけど。
「——っ!まち——!?」
がくりと敵さん(やっぱ名前思い出せねー)が崩れ落ちる。
「は!もっと足下に注意することだなー!」
いや〜まさか対峙する前に仕掛けておいた罠(壁と壁の間に紐を取り付けた、足を引っかけ転ばす罠・・・つまりはお遊びのつもりにつけたやつなんだけど)が役に立ったぜ!
てか敵さん。意外とドジだ。あっはっはっは——
ざしゅん
「・・・」
少し離れた壁に深い傷が出来た。
ん?あれ、だいぶ抉れてるんじゃね?何あれ。周りに傷を付けずにはっきりと刀の斬撃の後が残ってるんですけど?
いやん。怖い。汗だくだくだくだくだよ。
「・・・許さない。殺す。許さない許さない。殺す。許さない」
何あの子怖い。顔赤らめてるのにすっごく怖い事呟いてるよ。
おかしいな。後ろを振り向いちゃ駄目な気がする。
ぎぎぎぎ
としか形容しがたい音で重たい首を後ろに回す。
そこに居たのは・・・後ろにすっごく怖い人が見える顔を赤らめた女の子でした☆
「・・・許さない」
恐す!
「・・・いき、ます! 行け『阿修羅』!」
「いやいやいや! 違うだろぉその後ろの人はぁぁ!!」




