23話 え、なにプレイ? これ、僕の趣味じゃないよ?
空気が冷えた。
多分、1、2度は下がったと思う。
その変化に訓練場に居た全員が気付いて、押さえつけられているレイヴェアを直視する。
ぴりぴり——
空気が痛いと感じるのは久しぶりだ。
だからこそ、そんな空気を醸し出すレイヴェアはやはりただ者じゃないんだと私は納得する。
「・・・ごほ・・・3番、さん?」
「・・・あぁ?」
「片割れを——レクを殺す、と?」
レイの発する声は空気以外は何時もと同じ。
「レクを、片割れを、僕の半身を、殺すと?」
「だからそう言って——」
「僕のレクを、僕のレクを、僕のレクを・・・ボクノレクヲコロスノ?」
「「「「っ!?」」」」
周りの人達の顔が恐怖に引きつれる。私も本能的に戦闘態勢に入っているのだから当然の反応なのだろう。
「っレクーーーー———!!!」
かぁぁぁぁぁぁぁ!
レイヴェアの右手・・・正確には薬指に填められた指輪が蒼く光り輝く。
そして・・・
ぱりぃぃぃぃん
きらきらと美しく舞いながら指輪は砕け散った。
静寂——。
どぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!
「「「「「!!!!????」」」」」
膨大な魔力がレイヴェアの周りを渦巻く。
「・・・綺麗、です」
無意識に呟いた言葉は、今まで裏で嫌っていたレイヴェアを認めたからかも知れない。
見た目は綺麗なのに中身は何を考えているのか分からなかった。何時もへらへらと笑って何も感じてないみたいで精神的嫌悪を感じていた。そもそも私にすら負けたくせにリーダーに特別扱いされているのが気に入らなかった。
そんな感情は、この瞬間、全てが淡く消え去った・・・様な感じ。
ただ、純粋に凄い、と思った。
魔力がやばいです。まさか指輪が外れるだけでここまでの魔力が解放されるとは・・・驚き以前に呆然としますね。これ、腕輪の方も外したら・・・やめよう。体が間違いなく吹っ飛ぶ。粉々の砂で済むかどうかすら怪しいですし。
今でさ血が沸騰している(本当にしてたら死にますが)感じでやばいんですから。
だから、はやく攻撃を再開しなくては。
レクの心配をしてると僕が吹っ飛びます。
「っ・・・《最大魔法・・・集中攻撃・・・闇》!!」
全力の闇魔法。
使い手は世界に数人も居ないそうです。わぉ僕凄い。
・・・あれ?
集中魔法だから1人に限定されて発動するはずなのに・・・ええと、ごめんなさいカナリアさん。巻き込みました。
勿論反省はしませんよ?後悔は・・・まぁ、しなくもないでしょう。超のつく土下座で頼めば。
ごがあぁぁぁぁぁ・・・・
大きな円状になった闇は相変わらず僕の魔力を吸いながら3番さんの捕獲に専念しています。
てか、もう捕獲完了で3番さんは胃の中の蛙、って奴ですけど。・・・あれ?井の中の蛙?まぁ、いいじゃないですか。似たようなもんです。
さて、そろそろ3番さんの始末を——。
「はい♪そこまでー。レイはゆっくり眠ってて?」
「っ!?」
油断をしていた訳ではありません。なのに彼は——エアレズさんは気配なく僕の背後でストーカーとしての性質を発揮し、首に手を回して抱付いていました。
振り向く前にエアレズさんの手が僕の目を覆い——謎の眠気を誘き出したようです。
・・・ねむ、い・・・。
「くす♪まさかここまで出来るなんてね。良い意味で期待を裏切ってくれたね?」
どういう意味での期待だったのかお聞きしたかったです。
この逆らいがたい眠気にさっさと媚を売った瞼が嫌らしい・・・おかしな言い回しになりましたね。
兎に角、僕はまだここに滞在予定の様です。
次の日(推定)。
僕は(監禁)部屋のベッドで鎖に繋がれてました。
え、何これ。何のプレイですか?僕にそんな趣味はないですよ?
「おおぅ! No.5が巻き込まれたぞぉ!」
「カナレートリアちゃぁぁん!」
「・・・わぉ♪ ファイブちゃん人気者ぉ」
「り、リーダー!?」
「君たちもいっちゃえ♪」
「「「・・・え」」」
結局被害者は多大。
半分はエアレズによって。




