22話 ふぅむ。その目は節穴ですね。
どぉぉぉぉ!
「行き成りの攻撃ですか・・・」
馬鹿正直な攻撃ですね。所謂突撃馬鹿でしょうか?にしても・・・一発でクレーターが。隕石でも落下したみたいになっているじゃないですか。
「はっ!だが・・・力だけが俺の武器だと思うな、よ!」
「!」
がぁぁ!
危なかったです。3番さん、思いっきり顔を狙ってきましたよ。避け損ねて頬を掠りましたよ。お、乙女の顔に何て事を!この、美しい僕の顔をっ!はい!ナルシストです!オープンナルシストに転職しましたが何かっ!?
「くっくっく・・・早く、本気を出せよ?早くしねぇと・・・そのお綺麗な顔が見るも無残な姿になるぜ?」
ああ、俗に言う「もう二度と人前に出せない顔にしてやるぜ」、と?
それは、ついさっきオープンナルシストに転職した僕にとっては心に大怪我を負わせてしまいますね。
「・・・【炎】」
ぼぅぉぉぉ!
炎が一瞬にして3番さんを囲みます。
ちゃあんと肌ぎりぎりにするのがポイントです。こう・・・じりじりと肌を焼かれるというのを――
「っ・・・ふっ!」
ばふぅぅぅ
・・・あれぇ?炎が掻き消されましたね?3番さん、魔法も使わずに身体的能力を使って風を起こすとは・・・体、大丈夫ですか?それ、もう人間の体では済まないような気がするのですが。
「・・・【炎&雷】!」
ばちばち、ぼぉぉぉ!
「・・・っ・・・うぜぇ」
どがぁぁぁあ!
「えええ・・・地面ごとぉ?」
クレーターどころではありませんよこれ。
抉れちゃってますよ。誰が片づけるんですか一体。
・・・クレーター・・・。
「【念力】」
念力で、岩と化したクレーターの塊を・・・投げます!
どどどどぉぉ!
「あめぇっ!」
「! ごはっ!?」
ほんとに顔を殴られました。
しかももともとの体の弱さから、思ったよりも血が出ます。
戦闘狂とかいうのを発揮する前に貧血で死にそうです。ヤバス。
がっ!ごっ!どが!
何度も体を殴られ、床に拒絶されるのを繰り返します。痛いです。3番さんが僕の首を手で、地面に押し付けます。息、出来ないんですけど。泡が出ますよ?
「・・・ち、期待外れかぁ?精霊の事に気付く奴だから期待してたんだがなぁ・・・?」
別に精霊の事に気づけたからと言って強い訳ではありませんよ?
ただ、いつもの馬鹿正直で単純な精霊にしては様子がおかしかっただけですから気付けただけですし。
「んでぇ?お前はまだここの奴らに1度も勝った事が無いってぇ?」
ですね。大体は12番さんが相手ですけど、中々勝てませんね。
僕の戦闘好きを気に入ってくれている様ですが。
「・・・そういやぁ1年前の事なんだけどよぉ?お前んとこに殺し屋が来なかったか?」
「ハァハァ・・・ごぼっ・・・殺し、屋ですか。・・・来ました、ね」
10数名くらい。意外と少なく済んでよかったですよ去年は。
一番厄介だったのは・・・授業中に来た奴でしたっけ?色々と生き方を失った人でしたね。あの時は丁度体の調子が悪くて辛かったです。あ、苦労していたのはレクでしたね。
「多分だがよ、その殺し屋はお前らに精神だけを殺された」
「・・・でしょうね」
「精神的にはやべぇ方向にいってた奴だったんだがよ、そいつ、俺のお気に入りだったわけよ」
・・・あの時の方の事でしょうか?
にしても話の流れがずんずんとシリアスな方向に向かってますが・・・修正は無理な感じですかね?
「だからよぉ・・・おめぇは奴を精神だけを壊すだけの実力を持ってる」
「・・・お褒めに与り光栄、でもありませんねそれ」
嫌な予感がしますね。こういう戦闘狂さんだからか余計にそう感じますね。
「その実力を・・・出せよぉ?その為に・・・」
全く、しつこい男は嫌われるんですよ?
ま、どっちにしろ嫌われる奴は嫌われるんですからそんな気休めな言葉は要らないでしょうが。
で?その為に先ず、何をするっていうん――
「おめぇの片割れを、殺してやるよ」
ぷつん。
ふむふむレクを殺す、と・・・こいつは今、ナニヲイッタ?
「・・・戦いを止めようにも攻撃が凄過ぎて近づけない」
「しかも何か因縁の話をしている・・・」
「「俺ら、なんでここにいるんだろ」」
「・・・訓練、の為、でしょう」
「ああ・・・出来ると思うかこれ?」




