21話 思い立ったが吉日。でも乱入はどうかと・・・。
精霊は使えないというのは物凄く不便だと痛感しました。
まぁ、不便程度で済んだので良しとしましょう。不便なだけで痛いわけではないのが救い・・・ですかね?精霊の存在意義っていうのがあまり分かりませんね。今度レクにでも聞いてみましょうか。
「・・・急ぐことも無い事ですし・・・後、する事と言ったら・・・」
寝る事ですね。お休みなさい。
『・・・寝た』
『相変わらずだね~レイったら。イオちゃんが居ない事に気付いてないんじゃないのこれ~』
『・・・正確には没収された事。ご主人様はうっかりさん』
『・・・うっかりで済むの~?ま、イオちゃんは杖だし心配は無いだろうけどね~』
『・・・ミンチにされて炒められて、おいしく頂かれてなければいいけど・・・』
『ルーンも何気に酷いね~♪見直しちゃった~。大好きだよぉ~?』
『・・・あ、りがとう?』
「・・・恋愛なら地獄でやってください。なんなら落としますよ?」
『『・・・すいません。存分にお休み下さい』』
全く、いちゃいちゃとされると折角のお休み気分が台無しになるじゃないですか。
覚えている上に話を聞かされておきながら、イオちゃんの事を忘れたのは余談なのですよ。おほほー。
「さぁ!今日も晴れやかに殺し合いに行きましょう!」
「・・・それが、晴れやか、だったら、世界、終わり、です」
ぶー。比喩表現ってやつですよー。え?違う?まぁ、確かに別の物に形容して表現していませんが・・・似たようなものでは?
「・・・殺し合い、だめ。片づけ、大変、です」
別にカナリアさんが掃除するわけじゃないですのにねー?んん?掃除が仕事の人達の思いというものを知る為に~とかいう偽善の考えでしょうか?・・・あり得ませんね。殺しを当たり前にする人がそんな人に配慮するなんて・・・。
そもそもが、なんて無駄な推敲。
「ではでは・・・頼もー!」
「ん?おお、いらっしゃい」
「今日はどうすんよ?」
「お。俺とやんねーか嬢ちゃん」
「がっはっは。今日は俺との約束だぜぇ?」
・・・此処は喫茶店か!ちょっとガラの悪いおじさんの集まる所に、その人達に気に居られた子供が来ましたー、みたいなノリ。可笑しいと思うのですが!?何この和んだ空気っ!ほんとに悪の組織の一員達ですかぁっ!?
「・・・こんにちわ。№10~№15の皆さん」
「がっはっは!相変わらず纏めて言うやつだなぁ!ま、名を名乗ってねぇから当たり前だがな!」
面倒くさいという本当の意味も分かっているなら口出ししないでほしいですね。
「で、今日は誰を相手してくれんだぁ嬢ちゃん?」
「・・・では――」
どがぁぁぁぁぁぁあん!
「・・・うん?」
わぉ!訓練場の一部が崩れて行きますよ☆・・・ここ、地下ですよね?大丈夫なんですかあれ。
もうもうと砂埃(コンクリート埃?)の立ち昇る所に人影があります。筋肉もりもりっぽいごついシルエットです。何の面白みもありませんね。
「くくく・・・わりぃがてめーの相手は俺だz――」
「な!?№3!?」
・・・おいおい12番さん。そんな凄い人の言葉を遮っちゃ駄目でしょう、とカナリアさんが言いたそうです。多分ですけど。
『・・・ごめ、ん』
精霊さんの声が聞こえました。
・・・え?もしかしてあの人が契約者ですか?
きらきらと神秘的な美しいイメージを持つ精霊さん像が崩れて行きます。嘗てのイオちゃんの天使像みたいな感じで、こう・・・がらがらと。
あんなムサ苦しそうなおっさんと契約するなんて・・・精霊の気が知れませんね。知りたくもありませんが。これぞギャップ萌え?違いますね、はいすいません。
「じゃ、相手頼むぜー?レイヴェアちゃん?」
「ちゃん付けって人によっては嫌悪しか生みだしませんよね。今初めて実感しました」
「お、おいレイヴェ――」
12番さんが焦りの声を出しますが、笑い声に遮られました。
「あっはっはっはっはっは!いいだろう!その度胸も俺のお前への面白採点に加えておいてやるよぉ!」
・・・へんな採点しないでください。
その・・・あ、貴方の視線が気になっちゃうじゃないですかっ!
合わないキャラは疲れますね。いえいえ、別に自分にキャラ付けしているわけではありませんよ?
ただ・・・ネタでしか使えないな、と思っただけですから。
「へいマスター。お水を一杯」
「がっはっはっは! すこーし汗臭い塩水だが——」
「ごめんなさい。お店間違いました」
「いやいや、そもそも店じゃないからな?」
ちょっとふざけてみたいお年頃のレイヴェアちゃん。




