16話 楽しく優雅に遊びましょう。これ遊びの原則。
さぁやってきましたー!
何か良く分からない秘密の組織っぽい人達のアジトの様な地下室的な所!
・・・うん。鉄の道ばかりでつまらないです。
「カナリアさんー。暇です」
「・・・知らない、です」
ぶー。意地悪ですね。
あ、そういえばカナリアさんって結構強いらしいです。
何でも、この組織にはNo.というのがあって、上から順に強い者を表すそうです。
ですかNo.5のカナリアさんは5番目に強いという事になりまして、No.1のエアレズさんは1番ということですね。
最強ですか・・・燃えるどころか萎えるんですけど。
「自由に歩き回る権利は嬉しいんですけどね、部屋を開ける権利が無いのが億劫です」
全く・・・気の利かない人ですよねエアレズさん。
こんな鉄に囲まれた道を歩いて何が面白いというのでしょう。
不満です。この思い・・・すっごく晴らしたいんですが。憂さ晴らしという名の虐殺みたいなので。
「・・・この、先。訓練場、です」
歳が近くて、尚且つ同じクラスという理由で僕の監視役になってしまったカナリアさんは不機嫌ながらも説明をしてくれました。
「訓練場、ですか・・・ここの兵士(?)は強いんですか?」
「・・・それなりに、です。今、訓練しているのはNo.10からNo.20、です」
「・・・遊んでも?」
「・・・少し、なら」
お代官様のお許しが出た様です。
やったー遊べるよー!
遊びという戯れという名の一方的な闘い!
では・・・
「行ってきます♪」
勿論、今までで1番いい笑顔です。
標的――レイヴェアが優雅に舞う。
別に踊っているわけでも、散った訳でもない。
ただ戦っているだけ。それも、凄く綺麗に。
どがぁ!
めきゃぁ
どがしゃぁ
音はあれだけど。
「な、何なんだ行き成り!?」
「あり得ねぇ!」
「うそぉ!?一桁ナンバーくらいの強さはあるよ!?」
「何者だぁ!?」
一気に3人を撃沈させたレイヴェアが初めて彼らと同じ土俵に立つ。
そして令嬢らしく一礼。
「初めまして。僕の名前はレイヴェア。貴方がたには僕の相手をして頂きます」
にこりと微笑むレイヴェアに惹かれた、というかまさしく心を奪われたのは大多数。
「あ、あんた見ない顔だが・・・何者なんだ?」
「ええと・・No.1のお客、でしょうか?」
レイヴェアが疑問形なのには納得。No.1が「何者かって聞かれたら僕の客人とでも答えておいて~」ってほざいていたから。
「な、No.1の!?あNo.1の!?」
あり得ないと思ってしまうのも納得。
だってあNo.1だし。
「・・・ってNo.5が居るから嘘じゃなさそうだな・・・」
ちらりと見るのは止めて欲しい。
おまけみたいじゃないか。
「では、相手をお願い出来ますか?」
「・・・ああ、ただし、先ず俺からだ!」
勇ましく叫ぶのは・・・確か・・No.12。名前は忘れた。
茶色の髪に黒の瞳。此処に居る誰よりも誠実なタイプな人間だったと思う。
「1人、ですか・・・まぁいいでしょう」
「ふん。不服か?だが、俺だってやわな鍛え方なんざしてないんでな」
私に負けたレイヴェア。
例え私より弱い奴でもレイヴェアは敵じゃない。
ふっ
私は薄く微笑むレイヴェアを静かに鼻で笑う。
どうせ、レイヴェアは戦いで私を楽しませてはくれないんだ。
ならせめて・・・鑑賞者として楽しませてもらうのを期待している。
「ふぅむ・・・レイヴェアの案を採用しようかなぁ?」
「・・・ただの人質の案を受け入れるのは安易では?」
「うーん。すっごく悩む〜」
「一応お聞きしますが・・・どういった案で?」
「通路をもっと華やかにしようっていう案だけど〜?」
「はっ?」
「うん採用しよーっと!んじゃ早速出陣ー!」
「・・・はっ?」
主語は大切です。




