13話 え!? なに、えっ、どゆことよこれ?? え?
「あーあ・・・なんで俺まで・・・」
俺は学園の飼育小屋を掃除しながらぼやく。
ぼやくっていうか愚痴っていうか・・・兎に角、この世の理不尽さに文句を付けていた。うん。規模がでか過ぎたな。
「ふん。途中から突っ込んでくるから悪いんだ」
んだとこの野郎。元はと言えばお前のせいだろーが。王子だからって図に乗るなよ。俺なんか神候補なんだぞ?
「・・・煩い。さっさと終わらせなよ」
で、何故お前は寛いでいるんだレクヴィオ様?しかも上から目線。実際的に。
「レクヴィオ!お前も掃除を手伝え!」
「やだね。誰がやるか。そんな豚のやる仕事」
なるほど。俺は豚だと。しかも一応とはいえ一国の王子に向かって豚呼ばわり。
レクヴィオ様のその堂々とした佇まいには心底感服しますよ、ほんと。
「っ!? お前、ほんとにレイヴェアの兄かよ。レイヴェアとは大違いだな」
「君がレイの何を知っているっていうの?ただの部外者の癖に・・・身の程を弁えろよ?」
「それはこっちのセリフだろ!?俺は王子だぞ!?」
「だから?まさか自分の身分を利用してレイを取り込むつもり?さいてーな奴のすることだな」
「っだからお前が余計な事をするから――って、おい?聞いているのか?」
なんだ?レクヴィオ様が虚空を見つめ始めたぞ?遂に悟りを開く時が来たのか?いや、まぁ・・・どっちにしろレクヴィオ様が悟りを開くのは無さそうだな。性格があれだし・・・。
「・・・レイヴェア?」
ん?レイヴェアさん?そこには居ないぞ流石に。
「な、なんだ?レイヴェアに何かあったのか?」
「・・・」
「おいレクヴィ――」
がっ!
レクヴィオ様がクレイトの胸倉を掴み上げる。
微妙に足が浮いてるけど・・・息の方は大丈夫か?
「おい王子。奴らの情報を寄こせ」
!めっちゃ怖い!レクヴィオ様が本気で怒ってらっしゃる!?
「っ! や、奴ら、って・・・」
がきぃ
いやー!?本気で殴っちゃった!?
「どうせ厄介事は全部お前に押し付けるからってほっておいた。そもそも僕等は関係無いからね。
でもさ、レイヴェアを攫われたら流石の僕も怒るよ?」
「「!」」
は!?あのレイヴェアさんが攫われた!?
おいおいマジかよ・・・相手ってどんな強豪なんだよ・・・。
レイヴェアさんの安否よりも気になっちまうのは俺だけじゃ無い筈。
「さ、攫われた、だと?そんな訳が・・・」
どが
「・・・いい加減にしてくれる?理解は出来ている筈だよ?自分のせいでレイが攫われた、って事ぐらいはさ」
・・・それは俺も聞き逃せないな。
俺もレイヴェアさんが好きだから、王子の気持ちも分かって同類だ、とか喜んでいたけど・・・。
まさか危険な目に合わせるなんて・・・あ。
レイヴェアさんを殺そうとした俺の言える事じゃなかったな。うん。悪い王子。
自己完結。何の為の俺なんだろう。
「兎に角、レイは中から奴らの情報を集める。だから僕は外から集める。協力はいらないから」
ん?協力は要らないって・・・ついさっき情報を寄こせって協力を頼んでたんじゃ・・・?
「ただお前らは僕に差し出せばいい。全て捧げてその身を朽ちさせろ」
・・・ああ、俺らは豚だもんなー。捧げるのは当たり前ってことか。うん。それだと協力は要らないって言った意味が分かる。で何故俺もなんだ?しかも遠まわしに「死ね」と宣いましたね?
「レイヴェアを見捨てるの?」
いや、そんな事は・・・って・・・あれ?読まれた?
「・・・ふふ・・・レイの為にその身を捧げるのであれば・・・本望、だよねソラ?」
確かにそうだけど・・・何でだろう。脅されているようにしか感じない。
「・・・さ、行くよクレイト、ソラ。さっさと供物になれ」
何の!?てか、俺もぉ!?しかも確定ぃ!?
〜少し前〜
「——いいですか?ここからあちらまで。隅々、裏側まで磨き上げて素晴らしき敷地にして下さい?」
「それ普通に掃除って言おうよ!?て、ちょ、待ってくれよソラーテ先生!俺関係無いよ!?」
「一緒にいたので同罪です。後、レイヴェアさんから貴方も関わっていると聞きましたので」
「レイヴェアさんっっ!」
何時も大変なのはソラ君——。
「ほらほら早く綺麗にしないと帰れないよ?早く掃除してよ」
「お前もやれよぉぉぉ(半泣き)!!」




