10話 シリアスってきましたね〜。
「んでぇ?何でいきなり学園に来出したんだよ王子様は」
レクとクレイト様のどう見ても無駄な罵倒のし合いにソラ君が呆れながら割り込みました。
「ふん。そんなのレイヴェアが学園に来たと聞いたからに決まっているだろう」
決まってるんですね。王子がたった1人の為に動くなんて・・・大丈夫なんでしょうかこの国。
そもそもそんな恥ずかしいセリフを言われると痛いんですが。色々と。
「お前みたいなカスがレイヴェアの役に立てるとでも思ってるの?むしろただの邪魔でしかないってそろそろ気付こうよ」
レクが無表情です。しかも目が物凄く冷たい。いちゃいちゃと目の毒になる親を見ている時の目ですね。
「ふん。そんな事、お前に言われる筋合いはないな」
「は。それって所謂現実逃避ってやつでしょ?ほんとは分かってるんじゃないの?」
「ただのレイヴェアの兄の癖に一々首を突っ込むな」
まだまだこの人達の楽しい会話は続きそうです。
さて・・・ずっと待ちぼうけをくらっているソラーテさんの怒りはそろそろ爆発しそうですね。見なかったことにしましょう。
「・・・ったく、レクヴィオめ。俺とレイヴェアの邪魔ばっかしやがって・・・」
授業が終わり、自分の部屋で毒づく。王子だからか部屋は普通よりも豪華だったりするが、交友関係の少ない俺が知るはずもない。
「・・・主」
後ろから声を掛けるのは俺の従者、カルロット。
毎回毎回、その気配の無さには驚かされる。言ってしまうと、元々影が薄いのだ。美人なのに・・・。
「何かあったのか?」
「・・・奴らの仲間と思われる者達がうろついておりました」
「・・・厄介だな」
あー・・・面倒事を持ちこむつもりはなかったんだが・・・駄目だったか。
「で?そいつ等の情報は集まったのか?」
「・・・今はあまり・・・。ただ、狙いはやはり・・・」
俺、ね。ま、これでも王族だし、狙われるのも当たり前ってか。
てか、俺が居るのに違う奴を狙うっていう方が考えづらい。
狙われていると分かっていて学園に来る許可を得たのはティナノール家が居るからだ。
え・・・だって強いから。
それに学園だったら教師も居るし・・・警備もばっちり。
父上も母上も学園の方が安全だと考えたのだろう。
俺が守られて、嫁候補との間も縮まる。まさに一石二鳥!
勿論嫁候補、ていうか未来の嫁はレイヴェア。
「・・・主。知ってます?主って考えている事が顔に出やすいんですよ」
ふむ。俺のレイヴェアの妄想はばっちりカルロットにばれていた様だ。
そういえばレイヴェアの従者も人の考えを読むのが上手いって聞いたな。
レイヴェア曰く、「あの人は上手いとかではありません。絶対読んでます。もろばれです。化け物です」
だったかな。どんだけ凄いんだ?
「・・・ああ、レイヴェア様の従者は確かに化け物ですよ」
・・・あれ?カルロットが怖くなってきたのは気のせいか?
「主ったら・・・相変わらず弄りがいのある方で///(ぽっ)」
「おやおや珍しいですねカルロット。まさか私に会いに——」
「・・・あぁん?」
「くっくっく・・・相変わらずですねぇ(主従ともども弄りがいがあるのは)」
2人の関係は——謎・・・。




