5話 え?貴方がそれ言っちゃいますか?
「【凍てつく氷よ・・・白銀の世界へと誘え】!」
ユリシアさんが魔法を展開します。わぉ世界が真っ白に・・・植物が枯れて行く・・・何気に酷い人ですねユリシアさん。戸惑いも慈悲もない。なんて傲慢な人なんでしょう!
ぴきぴき・・・がしゅぅぅぅぅう!
氷が僕達を攻撃しようと襲い掛かってきます。勿論メシスさんは避けました。僕を敵に向かって投げましたけど。
望まぬ飛行中も地面から出てくる氷にはひやひやしました。体は既にひやひや通り越してますけど。
たたん たんっ
氷の上を見事に足場にしながら敵に向かいます。
〈す、凄いぞレイヴェアさん!まるで氷を誑かしている様です!〉
それ褒めてませんよね?もっと違う表現をお願いします。
氷の尖った部分を司会者に投げたのは余談です。勿論全力で。ついでに魔法を纏わせて。もう一度言いますが余談ですよ?
「【鎖】」
ジャラジャラジャー!
「なっ!?」
ち。ユリシアさんしか釣れませんでしたか。
まぁメシスさんがマクオンさんを引きつけた様ですけど。・・・惹き付けた?それでもいけそうですね。メシスさんの絶対的に似合っているあの美貌なら。ふむ。マクオンさんの未来が心配になってきました。
「ではユリシアさん。さっさと終わらせましょう」
そう言って鎖を増やしていきます。何のプレイでしょうか。確かに僕にはそういった趣味は少なからず存在しますが、世間的にはどうなんでしょう?
「く・・・【我を縛りし礎よ・・・砕け散れ】!」
ばきぃぃん!
おお、鎖が一刀両断されました。ついでに僕と繋がった鎖をユリシアさんが引きます。
意外と力持ちなんですねユリシアさん。僕が凄い勢いで引き摺られてますよ?
ず、ざざざざざ・・・
「喰らいなさい【麗しき氷よ・・・形を成し、あの者を貫く武器となれ】!」
ごわぁァぁァぁァ!
「・・・【盾】」
ごしゃぁぁぁぁぁ!!
綺麗な氷の剣が砕け散りました。
ふむふむ。ますます綺麗ですね。流石、術者の見た目が綺麗なだけはあります。
「く、このぉ! 【動け、動け、動け・・・氷達よ】!」
ざしゅ!じゅしゃぁ!
「【盾】【盾】【盾】」
同じ事の繰り返しも飽きてきましたね。
・・・さて、そろそろだと思うんですけど・・・。
ひゅ
横から鎖が飛んできました。
がし!と掴んでユリシアさんへと投げます。鎖はユリシアさんを縛り付け・・・縮んでいきました。
「な・・・きゃぁ!」
「うあ!?」
どがぁぁ!
ユリシアさんとマクオンさんが過激な再開を果たしましたね。
しゅた
「ふむ。意外と呆気ないものですね」
「・・・そうですねメシスさん。途中でそちらに投げた魔法は有効活用できましたか?」
「ええ。勿論存分に」
それはそうでしょう。横目で見ていましたが、見事に僕の鎖で遊びまくってましたしね。御愁傷様マクオンさん。ほとんど僕のせいですけど。
「どうぞ此方を。あったので持ってきました」
メシスさんが差し出したのは青い風船。
これで僕達の勝ちは明白というわけです、が・・・。
「・・・これ、ユリシアさんの風船ですよね?間違って僕のを持ってきたとかではありませんよね?」
「ふふふ・・・さぁ、どうでしょうね?」
どうしよう。物凄く不安だ。此処まできて自滅とかいうパターンが現れてしまいました。
しかもあのメシスさんですから、容易には手を出せません。
「・・・信じますからね?」
「ふふ、どうぞ?」
この野郎・・・。
ぱぁぁぁん!
〈決まりましたぁ!勝利は予想通りのレイヴェアさん!面白みも糞もありませんでしたね!ですがいい戦いでした!呆気なかったのはどうかと思いますがっ!〉
あの司会者。やっぱり今度躾とかないといけませんね。勿論闇討ちで。
「「「「「おおおおおぉォぉォぉォ!!」」」」」
歓声が響く中、僕はユリシアさん達を見ていました。
さり気無く仲良くなったあの主従を。
「・・・いちゃいちゃは隅でやってろカス共め」
「レイ様。言葉使いに気を付けてくださいね」
お前が言うな、お前が。
〜司会者〜
「よぅし! 存分に楽しめたぞぉ! これからもどんどん——」
「・・・みぃーつけた」
「ひぃぃぃぃ!!」
有言実行完了。




