35話 僕はただ、守りたいだけ。レイだけだけど。
学園に入ったとき、自分が一番だと思ってた。勉学は家で習ってたし、魔法も習っていたから。
でもその1位の座はある男の子に取られてた。
名前はレクヴィオ=ティナノール。有名なティナノール家の次男らしい。
正直嫌いだった。
無愛想だし素っ気ないし冷たいし・・・あれ?ほとんど同じ意味?
兎に角、印象は下の下の下の下の下くらい。つまりは最悪だった。
勉強も魔法も容姿も作法も完璧・・・嫉妬の対象になるのは当たり前だと思う。
『あーあレクヴィオ君って顔は可愛いのにー』
『だよねー。何ていうかむかつく』
『てぃなのーる家っていう名家だからって生意気、だよね』
『私達の方が上なのに・・・』
うざ。レクヴィオ君もうざいけど意外と女子もだったよ!ごめんねレクヴィオ君!誰でもうざいものだったんだね!
てことでレクヴィオ君には優しくなったと自負している。
「・・・理由が単純過ぎだろ」
「煩い」
で、冷たいけど思ったよりは優しくて、それでいて容赦が無い事を知った。
魔物に襲われた時、容赦なく魔物を原型を留めないくらいにしてたし。
でも、レクヴィオ君は私を助けてくれたし。
ある日、レクヴィオ君は変な男の人達に襲われた。迎撃して、勝っちゃってたけど。
でも、それが問題でレクヴィオ君を嫌ってた先生が罰として幻術を使った。
「え・・・それって・・・8歳の時だよな?」
「ええ。幻術なんてくらったら精神が死ぬものだよ8歳なんて。あの屑はティナノール家なら大丈夫~とか適当な理由をつけてたけどね」
「・・・」
「結果、レクヴィオ君はその先生を殺した、と」
「ええっ!?何故そうなる!?」
「その時のレクヴィオ君は、確かに怒ってた」
「へ?」
「あの感情表現の無かったレクヴィオ君が怒ったのよ?あのレクヴィオ君ですら感情をコントロール出来なかった。だから――」
「だから別に僕は完璧じゃないってこと、でしょ?」
「「っ!?」」
レクヴィオ君が微笑むながら見ていた。
てか何時の間にこんな近くに?
「ふふ。僕の事が嫌いだった、って辺りから聞いてましたけど?」
「結構最初!?」
踊りながら聞いてたのかよ!
ちゃんとダンスに集中しててよ!?
「僕が完璧じゃないのか当たり前だよ?どっちかっていうとレイの方が完璧に近いしね」
「そ、そうなのか?」
「これでも僕は7歳の時にも幻術で壊れ――かけた事あるしね。まぁレイが居なかったら壊れてたのは確実だけど」
それは、知らない。
2人がどんな経験をしたかなんて知ってるはずないし。
「ほんとあの時の先生は困るよね~?まさかトラウマを抉る幻術をかけるなんてさ・・・。あの時はまたレイの死にざまを見ることになったよ」
・・・微笑みながら言わないで?こっちが怖い。
「でもそのおかげで僕の決意は更に強くなったんだけど」
「決意・・・?」
「ふふ・・・レイの騎士となる為の、ね」
レクヴィオ君がその為だけに生きているのは知っている。
だから少しだけ羨ましい、かな。そこまでに想ってもらえるレイと、その揺るがない絆が。
昔は色々あった。
でも、あの2人を見てるともしかしたらって思える。あの人達とやり直せるんじゃないかなって。
「・・・」
ま、今はこの楽しい時間を楽しもうじゃないか。
折角次のレイのドレスを用意してるんだし。
その後、結構意外と本気で嫌で、涙目になったレイは面白かった。以上。
ええと・・・微妙な終わり方ではありますが2章終了です。。。
これからストックを大量生産するので、当分更新しません。
一応1ヶ月後くらいには更新を再開しますので。
その間に他の作品も書いたりしますが・・・まぁ、自分の気分で進んでますので・・・許して下さい。
ではまた。。。




