31話 戻った・・・にしては色々変わりましたねぇ。
僕に愉快な仲間(?)が出来ました。むしろ不満な仲間ですね。
名前は水夢蒼空。所属は犬です。
「ああ~それは確かにそうかもな」
「いいんですかっ!?」
・・・こほん。はい。犬です。僕専用奴隷の哀願犬です(笑)。
「漢字違くない?」
「合ってます」
一々煩い犬ですね。食うぞ。
「・・・お?それはつまり、貴方の中に入って、貴方の一部になる許可をくれたと捉えて――」
「そうですね。貴方をしゃぶりつくして野に還して上げましょうこの腐れド変態」
「・・・結構胸にくるよね」
・・・何故でしょう?殺し合いという汗を流すスポーツの後から様子がおかしいです。
いえ・・・戻ったと言うべきでしょうね。
僕らの世界に居た時の一々構ってくる水夢蒼空君に。
つまりは弄られキャラじゃなくなったという訳ですよ!
むしろ便乗してくる始末!
なんって――
面白くない!
最近変な犬がレイに纏わりついている。
ウザイ。
でも僕は生徒会という組織に縛られる愚かな奴隷・・・。
レイを守る事が出来ないなんて・・・。
滅ぼしてやろうか学園。
『・・・駄目、だよ、レクたん。学園、大切。レイ、悲しむ・・・?』
声が聞こえた。実は学園に来てから出会ったりしてた精霊だったりするけど、知っている人は僕だけらしい。
精霊って意外と少なくって、しかも見える人も現在進行形で減少中なんだってさ。
僕には見えるけど・・・レイには見えないみたい。声は聞こえるし、精霊から好かれているのに。
性格とか行動とかは似ているのに、そういった性質は真逆。
ふぅむ・・・おかしいな。
「レイ、どう?」
「はふぅ///レクはぁ・・・撫でるのがぁ、うま過ぎですぅ」
誘ってるのか?
まぁ男としての衝動は無いけどね。妹だし。
それを考えればあの犬は・・・抹殺対象かな。
別にレイの前で殺るのもありだけどね。
でも、あの犬・・・レイに絶対忠誠っぽいし・・・いざとなれば盾として機能するだろうし・・・。
うん。抹殺は止めとこう。
殺るとしても決闘とかで潔く負けさして事故、って事で。
それなら納得。
「・・・レク?殺るなら場所を考えて下さいね?」
おっと。ダダ漏れだった様だ。自重自重、と。
「・・・あのさー。何をやるかは知らないけど・・・それも場所を考えた方がいいんじゃない?」
アリサ?何を言っているんだ?勝手にレイの部屋に出入りしているお前が言える事か。
それに僕達の愛は絶対不滅なのです!
まぁ、当たり前の事だからそんな宣言どうでもいいけどさ。
『・・・レイ、レク・・・精霊の、目の、保養・・・えへへ///」
・・・どうもありがとう?
反応に困るな精霊は。
〜昔の、学園へ行ったレクと精霊〜
「はーあ。レイはいないし・・・1人かぁ・・・つまんない」
『・・・私、いるよ。1人じゃ、ない、よ』
「・・・ああ、精霊か。いや、精霊は人じゃないから僕はやっぱり1人だよ」
『・・・私、いる』
「や、だから・・・精霊に数え方ないでしょ?だから、人は僕1人だから精霊とは違って、数え方がちゃんとあって、精霊がいても僕は1人で・・・あれ?あ、でも精霊が居ない場合はほんとの独りで・・・んん?で、でも僕は独りじゃなくて1人で・・・あ、あれれ?」
『・・・おち、ついて。もう、いいから』
精霊は好奇心満載で、その好奇心を満たす為に生きている。だから、それ以外の事は考えないので単細胞として知られているのがこの世界の常識だ。
実際は理解力もあって利口なのだが・・・。
兎に角、単細胞の精霊に呆れられるレクは、きっと幼いだけなんだ!別に馬鹿な訳ではなく!




