23話 運命は変えられないんだってさ。へぇー。
「あ、お帰りなさい。見事生還できた様ですね」
レイヴェアさんが無邪気に笑う。
ああ・・・ここで「ただいま」とか言えたら夫婦みたいなのにな~。何で俺ってこんなにヘタレなんだろ・・・?でもその後の言葉はいらないんだけど・・・。
「・・・?どうかしました?顔色が破滅的ですよ?」
どんなだよ!?普通に顔色悪いね、って言おうよ!?
は、まさか・・・そんなに俺って・・・顔、やばい(不細工的な意味で)?
「・・・自信が無くなっていく・・・」
「ふふふ。冗談ですよ。まあ・・・汚れているのは本当ですけど・・・」
何故わざわざ誤解を招くような言い方で言うんだろう?面白がってんのか?
レイヴェアさんがハンカチで俺の顔を優しく拭く。レイヴェアさんは何が楽しいのかずっとにこにこと笑っている。
・・・なんでレイヴェアさんも、神候補、なんだよ・・・。
『はっ。お前、本気で惚れてたんだなぁ?』
っ・・・煩い。惚れて何が悪い!
そう・・・俺とレイヴェアさんは運命の糸で繋がっているから出会う事が出来たのだ!
『きゃははは! 殺しあう運命の糸、ってかぁ!?』
ぐさぁ。
・・・こいつ本当に天使なのか?
誰かー取り替えておくれー。
こいつの脳内を。
「・・・?さっきから大丈夫ですか?表情がころころと・・・うざいんですけど」
ぐさぁぁ!
「はぅぅ・・・そんなにはっきり言わなくても・・・」
「(笑)」
「言っちゃった!?」
くそ。物凄く複雑だ。
なんで俺は殺しあわなきゃならない!
なんでレイヴェアさんと・・・。
『・・・そう思うのならさっさと殺っちまいな。そうすれば悲しみも減るってもんだぜ?』
でもこの人は俺の・・・いや、それ以前に神候補なんだ。だから…
――能力発動、《ゲーム脳》
俺の目にレイヴェアさんの情報が表示される。
名前:レイヴェア=ティナノール
詳細:15歳。髪の色は蒼。瞳の色は蒼と碧のオッドアイ。
能力:ザザ‐‐‐‐――――――――‐――― ̄‐‐ー―-― ̄ ̄―― ̄―― ̄―ーザザーーー
加護:ざ―――――ーーーかg‐―-――――----―――---―ーー-イオ‐―ーーーー ̄加護
・・・うん。ノイズだらけ。でもこんなとこばっかノイズだらけって事は・・・。
『神候補っていうのは確実、って訳だ』
・・・やるしかない、と。
俺の目的の為にも。
「・・・レイヴェアさん・・・」
「はい?」
「ごめんな?」
どぐぁァぁぁァぁァ!!
「――っかはっ!?」
レイヴェアさんの腹に図太い氷の剣が食い込む。
レイヴェアさんの吐いた血が俺の顔を濡らす。
「っ・・・本当に、ごめん!」
魔法を展開。
いくつもの氷の剣が現れ、レイヴェアさんに襲い掛かる。
自分でやっている事とはいえ、目を閉じてしまう俺はしょうがないと思う。
「き、やぁァぁァぁァぁアぁぁぁぁああ!!」
「っ!」
大好きな俺の初恋の人。彼女になら全てを捧げてもいいと思ってた。
でも、俺には神にならなければならない理由がある。
その為に・・・その為に・・・。
「っがは・・・【炎】」
レイヴェアさんの魔法が展開された。
嘘ぉ・・・確かに急所は狙ってなかったけど・・・生きていられる筈が・・・。
炎が氷の剣を溶かす。これ、当たり前の原理。
「・・・はっ・・・はっ・・・はぁ・・・」
レイヴェアさんはゆっくりと立ち上がって俺を見据えた。
ゲーム脳…所謂ステータス画面ですね。
まぁ、異世界人ですからやっぱそういう系でしょう、うん。
にしてもいきなり戦闘が始まっちゃいました…




