15話 鈍感?どこのハーレム主人公ですか。僕のはただの現実逃避。
「――はっ! どうして私はここに!? そ、そうだすっごくいい場面を目撃し――」
「もう一度おねんねしたいのですか? 意外と子供なんですねアリサさん」
「きゃっ!れ、レイ! さっきの続きは――」
「お休みなさい」
ドガァ!
・・・パタン。
「・・・すいませんでしたレイ様ぁ・・・」
「分かればよろしいんです」
正直面白かったです。
いきなり起きたと思えば妄想を始め、しばき倒され気絶。を、5回も繰り返すその学習力の無さ。ある意味尊敬に値する図太さです。流石スカーレット家。
「へ、変な所で納得しないでぇ・・・」
もう手遅れです。
「それでアリサさん。何のご用でしょう?」
一応聞いてましたから知っては居るんですけど・・・はたしてアリサさんが覚えているかどうか・・・。
「ええと・・・ああ! そう! 一緒にお風呂に入ろうと思って!」
・・・覚えてないんでしょうか?それとも都合のいい頭が勝手に機能してしまって違う考えにすり替えられたのでしょうか?脳に何もかもをコントロールされているのは・・・どこの暴走した人工知能持ちの反逆機械達でしょう。あれ?脳にコントロールされるのは当たり前だったっけ?
「まぁいいですけどね」
「やった♪ んじゃ早速行こっか! そのすべすべのお肌を私のと付け替えに!」
何を怖い事を企んでいるんだこの人は。
べりべり剥がした僕の生皮を被る気ですか。
後、お風呂は肌を付け替える場所ではありませんよ?
アリサさんの中でのお風呂は知りませんがね。
「・・・そうですね。行きましょうか」
あれれ?何で「そうですね」ってほざいちゃったんだろう?
・・・ああ、否定するのが億劫なのですね僕の脳は。流石僕の脳。考え方や性格までそっくりだ。むしろ一緒じゃないと色々と駄目なんでしょうけど。
はい。お色気シーンはカットです。
まぁ、本当に皮を剥がれそうになったおかげで、お色気要素とか全然皆無なだけだったんですけどね。あっはっはっはー。
死屍累々の悪戦でした。冗談です。
「それでレイはさ、レクヴィオ君と、その・・・」
「ああ、ご心配には及びません。別に僕とレクはそういった関係ではありませんので」
「えー・・・」
むう?おかしな反応ですね?普通は安心する所だと思うのですが・・・何故そんな「つまんない~」みたいな表情をされなければならないのでしょう?
「まぁレイはそう思っててもレクヴィオ君はそうは思って無さそうだけどね・・・」
ん? 今何か言われた様な気がしましたが・・・。
ちょっと聞こえませんでしたね。所謂現実逃避。
そもそもレクが僕の事をただの双子の妹と思っていないのは確かでしょうね。
半身ですし。
ああ、この事をアリサさんに言うと「・・・レイって・・・鈍感? いや・・・分かっててやってるって可能性も・・・」って感じでぶつぶつと言いだしました。
己の身に危機を感じそうだったのでさっさと部屋に返しましだが・・・。
何だったんでしょうね(笑)
〜お風呂場で〜
「ふ、ふふふふふ!さあ!その美しい肌を私に寄越しなさい!」
「まさかの脅し!何処から持ってきたんですかそれ——ぎゃぁぁぁ!?」
「あっはっはっは!凄い・・・凄いわこれ!あのレイが・・・レイが!」
「い、やあぁぁぁぁぁぁぁ!!来ないで下さ——来んな!」
「レイが素を出している!?」
「っ!あ!」
「え!?」
——ひゅるるぅぅぅ・・・がしゃん
「「・・・」」
「す、救われました・・・」
「いやぁあ!私の『お肌すべすべクリーナーZ改〜レイの全てを綺麗に!〜』がぁ!」
「・・・救われました。本気で」




