13話 ふむ。何の為の登場だったんでしょうか。
「あは、あはははは・・・殺すぅ」
「・・・死ぬのは貴方。それも、何回も、ね」
そう言って僕は殺し屋の頬を触れ、能力を発動させます。
――能力発動《最悪な幻》
「ひ、ぇ・・・? ・・・ヒギャあぁぁァああぁアァあぁああァァァァあ!!?」
おうおう見苦しいな。
いい大人が狂気に酔って急に暴れ出すなんて・・・原因は僕だけど。
「レイ。その人殺さないでね。一応指名手配されてるから騎士団にでも突きだせばお金になると思うから」
冷静になりましたねレク。
その少しずれた精神を作りだすきっかけとなった能力に対しても冷静とは・・・まぁ、分かっててやったんですけど。
「だーいじょうぶ♪ 廃人までに留めておくから」
おっと。調子に乗って口調が素に・・・。
「・・・でも・・・」
でも・・・草むらに隠れている人は廃人では済ませませんけど?
怖い。
それが今の感想。
ただ私は何時も通り皆とチームを組んで魔物を狩りに来ただけ。なのに・・・どうしてこうなったの?
少し先で聞こえる声はおかしな男の悲鳴。
何かに苦しみ、何かから逃れよとする悲痛な悲鳴。
それをやっているのはレイ。
学園では見る事のない無邪気な笑みを浮かべたレイ。
レクヴィオ君は冷たい顔で男を見ていて助ける気はさなそう。
・・・どうしよう?
まさかこんな危なそうな状況に対面しちゃうなんて・・・運が尽きたのかな?
や、今はそんな事どうでもいい。何時も遊び呆けてて運を使っちゃったとか今はどうでもいいんだ!
「草むらに隠れている人は廃人では済ませませんけど?」
・・・え?
今レイはなんと言った?
草むらに隠れている人・・・はい私ですね、って・・・えええっ!?
私っ!?私なのっ!?
やばい、どうしよう凄く体が震えて動けない!
・・・これが恐怖?
まぁ思考は結構はっきりしてるけどね~・・・駄目だ全然はっきりしてない。肝心な、この後の動きを考える機能が既に機能停止してるよ。
つまり・・・死を待つしかない、と。
「・・・嘘ですよ? ――能力発動《深層接触》」
・・・ごめんレイ。絶対嘘じゃなかったよねさっきの。
てか何時の間に目の前に居たの?一種のホラーだったよ今の。
――ああ・・・意識が・・・プツン、と。
「・・・アリサ? 何時から居たの?」
「レクが戦っていた辺りからですね」
レイがアリサを引き摺ってくる。せめて投げようよ・・・あ、それも駄目か。
「・・・レイは気付いていたみたいだけど、僕は気付けなかった・・・」
うう、ショック。僕はレイを守る為に強くなったのに・・・。
「え? 僕も気付いてませんでしたよ?」
じゃあ何で分かったんだよ!?
ああ・・・僕の小さなプライドがぁ・・・そんなプライド捨てちまえ!
「ただ・・・力が発動しただけですよ」
力? あー・・・レイのよく分からない能力の1つか。
本当、一体どういう力なんだろ?
お?レイの左のピアスが光って・・・レイが微笑んだ。
むぅ・・・誰に向けての笑みかは知らないけど・・・何時か殺シテヤル。
ふふふふ。
僕の愛しい半身。
君が言った様に僕は君だけを見てる。
だから君も僕だけを見ててね・・・?
〜レイ視点〜
『わぁい♪流石レイだね〜。あの男とこの女の子の恐怖・・・大分引き出されてたよ♪』
そうですか。よかったですね。僕としては一応友達であるアリサに恐怖を感じてほしくはなかったんですけどね。
で?何やらレクが黒い笑みを浮かべてるんですけど?
悪寒は感じませんね。
・・・あれ?フェアー?
『(がくぶるがくぶる)』




