12話 お茶目な天使様様。人の趣味は様々ですよ?
魔法を使い過ぎてダウン、なんて事は今までに何度もありました。
主に魔力の暴走によって。
ですので自分の限界は把握してますが、それでもダウンする事はあるのです。
つまりは――
「・・・レク。おんぶ」
「ふふ。了解」
ってことですね。
現在進行形で吐血中ですし。
あはは~・・・やっべ。目がくらくらと・・・。
「無理をしちゃったみたいだねレイ。大丈夫?」
「吐血を除けば大丈夫」
それって大丈夫じゃないよね?
自分で言っといてなんだけど。
あ、魔物は何か収納袋っていう色んな物を入れる事が出来る袋に収められました。
便利な魔道具ですねー。
おうちに腐るほどあって邪魔ですけど。
さて、そんな和んでいる僕達の邪魔をするのは何処の無粋な連中でしょう?
答え――雇われ、いかれた殺し屋。
「ふふ、ふふふふふふ・・・殺します殺します。貴方達を殺します」
さいですか。まずは貴方が死んで頭を正常化する必要がありそうですね。
「・・・邪魔だね。レイはここで待ってて」
「・・・はい」
確かに邪魔ですね。僕達の不可侵入域に入ってくるなんて・・・。その身、その魂を持って償え。
でも意外と手こずりそうです。
だって彼は・・・
・・・えと・・・神候補だから!ごめんなさい嘘です!
何も思いつかなくてつい!
てか神候補と全然会わなくて暇だったんです!悪気は・・・はい。ありません!
まぁただの殺し屋にしては強いのは確かですので手こずるのも確かです。
ほら現にレクが苦戦してますし。
あの殺し屋、痛みを感じないのでしょうか?
何度蹴られても体勢すら崩さないんです。
『恐怖。あいつは恐怖を求めているんだね~きっと』
フェアー・・・。
なるほど、恐怖の天使としてはああいうのに興味があるんですか。
・・・いえ、人に趣味は人それぞれですので別に止めたりはしませんよ?
フェアーの人生に後悔が無ければ僕はそれで・・・。
『か、勘違いしないでー!? 僕が興味あるのはあの人じゃなくて~・・・恐怖の方!』
・・・いいんです。分かってます。必死に隠す必要はありません。
ほら心を開いて楽になるのです。
『・・・フェアー・・・そうだったの・・・』
『や、だから~・・・てルーンまで~。酷いよ~。僕はもうずたぼろー』
たいして傷ついた様にはみえませんが?むしろ何時も通り綺麗ですよ?一点の曇りもない宝石で。
『・・・心の方ー。 あー・・・恐怖が欲しいなぁ・・・』
では、僕がフェアーにあの殺し屋の恐怖を差し上げましょう。
『ほんと!? ほんとにほんと!?』
はい。 勿論、手を抜くつもりもありません。
僕は自分の生きる為に、彼を恐怖で彩るので。
『っ! 分かった!僕は待ってるからお願いねー!』
と、いうわけで僕には彼を拷問する理由が出来ました。
ですからレク。
「・・・僕に譲って?」
「え・・・分かった」
ふふ。ありがとう。
これで僕は、中々練習出来なかった《最悪な幻》の練習が出来ますね。
収納袋・・・
時空魔法を使って亜空間に繋いである袋です。
生きたものは入れられないが、基本なんでも入れられます。
設定上、なかなか手に入らない物で、裏じゃなくとも高値で売買されているとか・・・。




