9話 豚さんがいますね。ここ動物園ですか?え、違う?
世界は今日も平和です。
さっさと滅びろ。
まぁ、そう言うのは平和すぎで僕の能力《敏感察知》は機能が衰退している様なので。
この状況は危機に入らないのでしょうか。・・・入りませんね。敵ですらありませんし。
つまりは僕にとっては豚なんですけど、女子にとっては強敵が目の前に居る訳で。
正直神候補の相手をするよりも大変な気がするんですよ。
「ねぇ貴方」
あー・・・これも世界が平和な証ですね。気に入らない。
「ちょっと!聞いてるの!?」
そういえば豚ってなんで「ぶーぶー」と鳴くんでしょう?いや・・・啼く?どうでもいいですね。
「聞きなさいよ!ティナノール家の分際でっ!」
「あぁ、だから豚なんですか」
おっと口が滑りましたね。
いえいえ悪意はありませんよ。純粋に口が滑っただけですから。
あんな「ぶーぶー」言うから豚なんだな、と。
「っ!? 何よこの女!」
こっちのセリフですね。僕にとっては初対面の女に突っかかれているんですから。
まぁ、ここは正直に答えましょう。
「何って・・・僕はレイヴェアですよ?」
え?そんな事聞いてない?
じゃあ、なんと答えれば良いと?
「ああ・・・自分でごみ屑と名乗ってほしいんですか? ですが生憎、わざわざごみ屑以下の屑に名乗るのはちょっと・・・」
ちゃんと上級生を上に立てるのを忘れない僕はいい子ですね。
僕ってば控え目で大人しい子ですし(笑)。
「っ! 取り押さえて!!」
え? そこまでやりますか?
・・・おお、見事に取り押さえられましたね。地面に頭を打って痛かったです。
僕ってこんなに女の人にもててたんですね! 前世なら嬉しかったですよっ!・・・と。
「ったく・・・手こずらせてくれるわ」
貴方何もしてないじゃないですか。
ええと・・・「ぶーぶー」言っている人を入れて5人の子豚さん達。
・・・に、取り押さえられているのが今の僕の状況ですね、はい。
「ええと・・・なんの御用でしょう?」
「「「「今更!?」」」」
お、結構ノリがいいですね。僕を取り押さえている子豚さん達。
あ・・・別に太っているって訳じゃないですよ?十分立派なボディーです。特にその胸がなぁぁ!
毟るぞこら。
「・・・貴方は邪魔なの」
ああ、そうですか。 で?
「だから貴方にはレクヴィオ様に近付かないでもらうための脅し、よ」
やっぱりレクヴィオの親衛隊でしたか。
となると・・・やはり豚さんですね。頭の機能が著しい。可哀想に。あ、でも豚って綺麗好きだそうですし・・・頭の良さは関係ありませんね。
つまり何が言いたいかというと・・・こんな事する暇があるのならさっさとレクに媚びて貢いでろ、と思う訳ですよ。
レクに嫌われる可能性を考えない愚かな子豚さん達。
僕に脅しをかけるといことはティナノール家だけでなくレクや神すらも敵に回すということ。
比喩表現じゃないけど嘘臭い。
でもそれ以前に、僕を敵に回すという事。
それがどれほど愚かな行為か・・・身を持って分からせてあげましょう。
「いい加減にしなさいこの女!」
僕の頭の中で変換すると・・・
「ぶー。ぶー。ぶー」
と。
嘘ですよ?
僕、言葉が理解出来ないほど阿呆っこじゃないですから。
多分ですけど。




