7話 謎は深まるばかり・・・うん。どうでもいいね。
「次は魔法学! さ、これでレイヴェアち、ちゃんの実力が分かるわ!」
「あ、レイでいいですよ?噛まれるのも複雑ですし」
アリサの覚悟(?)を聞いた僕は思わず口を挟みます。
そりゃあ、大声で名前を噛まれると、ねぇ・・・?
「あう、じゃあレイで・・・ごめんなさいぃー」
「別にいいですけど、ね」
「んじゃあよ! 俺もレイちゃんと呼んでも――」
「――ルイス? どうしたの?急に口を閉じちゃって・・・?」
おお、レクが黒い。どう見てもレクのせいで口を閉じざるを得ない状況ですのにね。
ほら・・・揃えた指を首に添えて・・・。屈託のない笑顔が綺麗ですね。
「・・・魔法学ですか・・・」
僕はふうむと呟きます。
だって魔法と聞いて思い出すのは、思い出したくもない、思い出さずにはいられない日々の記憶ですからねー。メシスさんとかネルメさんとかメシスさんとかー?
「ど、どうしたのレイ。笑みがレクヴィオ君と同じくらいに黒いよ・・・?」
あははは。まあ双子ですし、似ていてもおかしくはありませんよー?
「――では、これより午後の授業を始めます。今日は初日という事だから、何時も通り実力を見させてもらいます」
ソラーテさんが大きくもない声を出して辺りを静めます。
これも一種のカリスマってやつでしょうか?少なからずの人達が怯えたようにソラーテさんを見ているのはきっと気のせいでしょう。え?気のせいじゃない?
「・・・実力を見るって・・・何をするんですか?」
「簡単だよ。順番に、出せる力を振り絞って魔法を発動させるんだ。その時に、何の魔法を使うかは言わないといけないけどね」
ふむ。得意な魔法が基準よりもいいかどうかで見極めるって事ですか。
ところでレク?何でここに居るんでしょう?
確か列は男女別ですよ?
「僕は特別に最後にする事になってるんだー♪レイも最後だね」
流石生徒会長様様。権限が他の人とは違い、変な所で大した役にすら立ちませんね。
ん? ・・・まあどうでもいいですけど。
「あ、男子はもう終わりみたいだね。じゃ、僕は行くよ」
「はい」
鼻歌を歌いながら上機嫌にソラーテさんの元へと向かうレク。
周りの人達があり得ないとか呟いているのは・・・何ででしょう?
「・・・ああ、最後ですか。では何時も通り、全力の初級魔法を」
何ですか全力の初級魔法て。
そんなにレクは規格外なんですか?
てか皆さんも受け入れてますね。
「・・・【火】」
ぼおぉぉぉ
とレクの前に火の玉が出来ます。
普通なら手形サイズらしいのですが・・・余裕で直径10メートルはありますねー。
「・・・やっぱり凄い・・・流石レクヴィオ君だね・・・」
・・・そうですか?
「・・・では技術面も確認します。形を変えて操って下さい。被害のないように」
最後の不吉な言葉は・・・。レク、何をしたんですか?
レクはそのまま火の玉の形を変えて大きな竜を作りだします。
うねうねと動いててクラスメイト達の感嘆の言葉を頂いています。
そこでレクは「あ」と呟いて僕を呼びました。
「レイヴェア」
「・・・分かりました」
「え?な、何?何が分かったの?」
混乱するアリサを置いて、ソラーテさんに聞きます。
「僕も同じ条件でいいですか?」
「・・・え? え、ええ」
「え」しか言ってませんね。どれだけ混乱なさっているのでしょう?
あまり目立ちたくありませんが、しょうがありません。
久しぶりに会った、久しぶりのレクの頼みですから。心を込めてやりましょう。
現状に対する思い〜ソラーテさん〜
「・・・心配ですね(別の意味で色々と)」
以上。




