4話 誘拐犯?あは、ナイスツッコミ♪
ふへぇー・・・
疲れた。
「何でおんぶされていたレイが僕よりも疲れているんですか?」
体力が破滅的にないからですよ。
それか無意識に体が拒否してるんでしょう。
歩く=運動という悪夢の行いに。
「そういえばレイはそろそろ6歳ですよね。6歳からは魔法を習っても良いという決まりがあるので僕が・・・」
「おしえてください!」
「即答ですか・・・」
即答です。願ってもない申し出ですから。
ああ、早く6歳にならないかな~。確か魔法を習い出していいのが6歳からっていうのは、6歳からじゃないと魔力が感じられないからだったと思う。
うー、魔力を感じられないこの身が憎い! 勿論冗談です。
「ふふ。にやけているレイも可愛いな・・・///」
む?何やら兄様の頬が赤いが・・・気のせいにしておこう。何時もの事なので。
「あ、っと・・・そういえばなんですけど・・・最近怪しい動きをする集団がうろついているので気を付けてくださいねレイ」
「んー? あやしいしゅうだん? ・・・わかりましたぁきをつけます」
はぐれました。
そして此処は何処でしょう。
暗い部屋の様ですけど・・・・。
そういえばさっき変なおじさん達に押し込まれたんでした。
・・・ああ、誘拐ですか。
ん? 気づくのが遅いんじゃないかって?
ふふふ。寝ぼけてましたからしょうがないんですよ。
あー・・・兄様~。
僕、死んじゃいます。
暇、という人によっては耐えられない恐怖によって。
・・・兎に角暇です。暇で暇で暇で・・・眠いですね、はい。
「ですので、ねていいですか?」
「「「いや違うだろぉ!!!」」」
む。煩いおじさん達ですね。にしても息ぴったりな見事なつっこみ。流石芸人を目指しているだけありますね。
「「「いやいやいや・・・目指してないからっ!!」」」
いや、目指すべきだと思います。それはもう全力で。
そして芸人になって風と共に去っていく系の人達ですね(笑)
「・・・お前本当の箱入り娘か? 普通はもっとこう・・・なぁ?」
僕に聞かれても。
そこは自信をもって断言してください。僕が変な子みたいじゃないですか。ぷんぷん。
「・・・なぁ、俺ら攫うやつを間違えたんじゃないのか?」
「・・・かも知れんな」
「あってますって。それはもうじゅうぶんに」
「「「自覚はあるんだっ!?」」」
流石落ちてくお笑われ芸人(笑)
「たしかにぼくはティナノールけのむすめ。あってますよ」
そう言うとおじさん達の顔に緊張が走ります。
は、ぶっさ。
「・・・んじゃ何でこんな事になってるかは分かってるって事か? 嬢ちゃん?」
「はい。なんとなく、ですけど・・・。あなたがたはさいきんあやしい、ってうわさのひとたちですよね?」
「ああ。ティナノール家の持つある物を頂く為にな」
素直なおじさん達ですね。例え僕の様な利口な子でも余裕って事でしょうか?
ならお門違いですよ?
だって僕は・・・神候補の一人ですから。
「ティナノール家には《神の愛し子》って呼ばれるほど凄い力を持つやつが居るらしくてな。
噂ではすっげぇ美少女で病弱らしい。そいつの持ってる物だ。」
「ま、そういう事だ。嬢ちゃんには人質になって――・・・え?」
陽気に話をしていたおじさん達の一人が声を無くします。
当たり前ですね。
今、この部屋の精霊達は僕の支配下にありますから。正確には友達になったからですけど。
「・・・っ、なぁ!? な・・・にが・・・!?」
苦しそうです。大丈夫ですか? 大丈夫だと僕が困るんですけどね。
僕はゆっくりと立ち上がって、床に這い蹲るおじさん達を、それはもう素晴らしいまでの冷ややかな瞳で見下ろします。
おお、怯えてる怯えてる。
「・・・ぼくはこどもです。 でも、ティナノールけのこどもです。
ただのこどもだと・・・おもったんですか?」
普通、攫う前に気付くはずなんですけどね?
途轍もなく美少女で美しく、力――神と精霊の加護を生まれながらに持って生まれた神の愛し子。
お、おじさん達の表情がもっと悪くなりました。
やっと気付いたんでしょうか?
まあ・・・《神の愛し子》って・・・止めて欲しいんですけどね?
そしておじさん達・・・残念ですね。少し・・・遅かったみたいです。
「ん・・・と・・・さようなら」
幼さの印象的な無垢な笑顔で、おじさん達の意識の無くなる瞬間を彩りました。
まあ、おじさん達にとっては恐怖の記憶として残るでしょうけど。
「っ・・・レイ!」
遅いです兄様。
俗に言うやれらキャラでした♪
今後出てこないでしょう。サブキャラですから。




