5話 いい教訓=脅し、が成り立ちましたね。
「では、中で挨拶をします。私が呼んだら入ってきて下さいね」
「はい」
レクに学園を軽く案内された後、僕はソラーテさんに捕縛され、泣く泣くレクと別れました。はい。嘘です。
で、僕の入るクラスはSランクのクラスだそうです。
基本は実力と学力などの総合的な結果によってクラスが変わるそうなんですが・・・何時、テストなんてしましたっけ?した覚えがないのに最高ランクのクラスに入っていいんでしょうか?
『あら忘れたの?一か月前に受けたじゃない』
イオちゃんの声が頭に響きます。ちゃんと杖は両手で持ってますよ。
ですが・・・やはり受けた覚えはありませんね。
『んー? ああ・・・メシスさんがさり気無くプリントをさせてたね~。気付かなかったの~?』
・・・まじですか。わざわざそんな周りくどいやり方を選ぶとは・・・相変わらずのメシスさんですね・・・。
「――入ってきて!」
お、お呼ばれの様です。
がらぁ
ざわざわざわ・・・ぴた
「今学期から入ってきた編入生だ。 ――自己紹介を」
ソラーテさん・・・普通に進めますね。この気まずい空気なのに・・・。
まぁ、ほとんどが好奇心一杯の顔ですし、面白いのでいいでしょう。
あ、レクが居る。
「ええと・・・レイヴェア=ティナノールです。よろしk――」
「ええええ!? ティナノール!?」
「え!? じゃ、じゃあレクヴィオの!?」
「すっげー似てる(笑)」
「か、可愛い・・・てか瓜二つじゃないか・・・」
・・・ふむ。反応に困る面白い人達ですね。
「ええと・・・」
お、抑えられない・・・この人達。
兎に角微笑んでみました。
おお?効果あり?男子陣が黙りこみました。レクは複雑そう・・・。
「お静かにっ!」
しぃん
すげえ。ソラーテ先生。見直しました。
てか、この人って、ネルメさんと同じにおいがする様な・・・。あ、香水とかではなく性格的に、ですよ?
「はい。質問は1人ずつ順番に」
「はい!」
元気よく手を上げるのはショートカットの赤髪の女子。
名前はアリサ=スカーレットというらしい。名前の通りですね。てか、名家の1つではありませんか。
「ティナノール、さんは、レクヴィオ君の?」
「双子の妹ですね」
「「「「おぉーー」」」」
「はい! 俺、ルイス=カレオンといいまっす! レイヴェアさんは、その・・・好きな人は!?」
「え? じゃあレクで」
「「「「・・・」」」」
むぅ。何やら失礼な人達ですね。にしても・・・「まっす」って・・・恥ずかし(笑)
「・・・はい、です。 カナレートリア=ナイトレイ、と、いい、ます。よろしく、です。
レイヴェアさん、は・・・強いんですか?」
「・・・それは、分かりませんね」
「そうですか・・・」
静かというか暗い子ですね。
その後も無駄なおじゃべりで時間を潰しました。
どうやら薄汚い豚はこのクラスには少ない様でよかったですね。
「・・・先生。レイは僕の隣で」
「え?・・・ええ。そうですね。ではあちらへ」
「はい」
隣に行くとレクはにっこりと微笑みます。
「くす。だいじょうぶ♪ ゴミ虫は僕が排除するから♪」
その言葉にクラスが静まりかえったのは余談でしょうね。
まぁ、僕に手を出してはいけないという教訓にはなったことでしょうね。
??「ほう。もうあれから15年が経ったか」
??「一応人である彼女を時計代わりにするのは失礼ですよ」
??「・・・そもそも人扱いすらしてないじゃないかお前は」




