4話 論点がズレている?はて。何の事やら。
〈新入生の皆さん、初めまして。僕は生徒会長のレクヴィオ=ティナノールといいます。長い話は嫌いなので一言。これからこの学園――グリスフィールド学園で精一杯楽しみ、勉学に励んでください。
僕からは以上です〉
「「「「「きゃあぁああああああああ!!!」」」」」
ふむ。まともな話しでしたね。長いのは性に合わないのは僕もレクも同じですし。
『・・・長さでまともかどうか比べるものだっけ?』
こういう話はそうですよルーン。長さでまともかどうかを見分けるのです!
あ、レクと目が合いました。しかもすっごく優しい笑みです。
僕の周りの女子たちは自分を見てくれたと愚かにも思った様です。
溶けてます・・・いや、融けてます?違いがよく分かりませんが、兎に角へにゃへにゃと崩れていきますね。流石は僕の双子の兄!
僕の思った通り女たらしになっちゃったみたいですねぇ!?
〈では次は学園長の――〉
さて、集会の用は済みましたし・・・寝ますか。
『――イ ――レ――イ! レーイー!?』
お、フェアー。
やはり目覚まし時計にぴったりですね。
『もうぅ・・・レイったらぐっすり眠りすぎー。ほらほら~皆動きだしてるよ~?』
おお、ほんとですね。がやがやと・・・まるで人がゴミのようだぁ!はっはっはっはっはっはー!
・・・すいません調子に乗りましたね。
ただの出来心なんです!出来心!
「レイ!」
・・・レク。来てくれるのは嬉しいですが・・・後ろの大群は要りませんよ?プレゼントにしては悪意が見えますし。
つまりはレクヴィオ様さいこーの女子たちですね。それはもう10~17歳までの女子たちよりどりみどりの。
で、レクが僕の名前を呼んだ事にすっごい嫉妬が見える訳ですよ。
まぁ、僕の容姿を見て目を見開いている人も居ますが・・・ごく一部ですね。
ぎゅ
レクが僕の両手を強く握ります。
ああ・・・視線が痛い。
でも僕だって令嬢です。笑顔は絶やしません。
「レイったら・・・僕の話が終わると同時に寝ちゃったでしょ?」
ふむ。筒抜けだった様です。
今度からは目を開いたまま眠りましょう。
出来ますけど・・・怖いですね。自重します。
さてレク? その言葉はつまりはずっと僕を見ていたという事でそれを聞いた周りの反応は・・・決まってますね(笑)
「ちょっと貴方! 何様のつもりでレクヴィオ様の手を握っているのかしら!?」
どっちかっていうと握られてますけど?何様って・・・妹様?
「何ですのこの女!レクヴィオ様と同じ髪の色だからって!」
ああ、そこからだとレクが邪魔で顔は見えないんですね。えへ♪綺麗な髪でしょう?
「さっさとレクヴィオ様から離れなさい!薄汚い小娘のぶんざ――」
うわ、豚に言われたk――
「ねぇ?黙ってくれる?」
「「「っ!!」」」
おお、レクの醸し出す雰囲気が黒く・・・冷たく(?)なりましたね。
しかも笑ってませんし。
ものすっごく冷たい目で彼女達を見据えます。
「薄汚いのはお前らだ。さっさとレイと僕の前から消えてくれる?」
・・・レクがここまで怒っているのは僕も初めて見る気がします。
まあ、その殺気は彼女達には耐えられないみたいで足が震えてますけど。
あー、これは立ち去れませんねードンマイ・・・では済まなさそうです。しょうがありませんね。
「レク。貴方が怒る必要はありませんよ?さ、さっさと行きましょう?」
「・・・ふふ。そだね♪行こっかレイ♪案内したげるよ♪」
わーお。すっごい変わり身。無邪気な少年にころっと変わりましたねー。
周りの人たちもあり得ないといった表情で事の成り行きを見守っています。てか動けなさそうです。
下手に動けば殺られる――とでも思っているのでしょうか?
そんな訳・・・ありそうですね。
「お手をどうぞレイ♪」
「くすくす・・・はい」
そうやって僕達は静かな空間から出て行きます。
気絶した人も居たみたいですね。
流石レク。
「お、おい。あの美少女誰だ!?新入生か?」
「い、いや、編入生だ!僕の情報によると体が病弱とかで今まで来れなかったとか・・・」
「まじ!?あんな可愛くて体が弱い何て・・・まさに理想の・・・」
「ただし!」
「「?」」
「彼女には、兄がいる!」
「はー?だから何だって言うんだよ。たとえその兄が重度のシスコン野郎でも俺はあの人を譲らねーぜ?」
「俺もだ!どんな苦難でも打ち勝ってやるよ!」
「・・・」
「で?その兄は何て名前なんだ?今の内に軽く挨拶でもしとくぜ」
「・・・?おいどうした?」
「・・・レクヴィオ=ティナノール」
「「・・・へ?」」
「だから!レクヴィオ=ティナノールだって!」
「・・・あー・・・すいませんレイヴェア様。俺は貴方には相応しく無いようだ」
「例えどんな苦悩でも打ち勝つなんて、ただの比喩表現なんです。本気にしないで下さい」
「心折れるの早いなお前ら!?」
「・・・レクは一体、学園ではどのような存在なんでしょうか・・・」




