2話 おお。まともなおばさんに出会えたよ!
今まで口調が定まらなかったレイでしたが、成長したことで敬語が板につく様になりました!
未だ、安定はしてませんけど。
長い旅でした。
1日馬車に乗っただけだけど。
「大丈夫レイ?」
「・・・大丈夫、でしょうね多分」
正直気持ち悪いです。リバースを要求――乙女の意地で止めておきます。
「レイ。僕はこれから行かなくちゃならないんだ・・・だから・・・」
「大丈夫です。僕だってもう15歳ですよ、ぷんぷん」
「くす。ならまた後でね♪ 朝の集会が終わったら迎えに行くから」
「了解。待ってます。あ・・・学園長室は何処ですか?」
「んと・・・今、地図を送るよ」
ブゥゥゥという音と共に頭の中に地図が思い浮かぶ。
これはレクが学園に行ったときに気付いた事です。
僕とレクの間で、思い浮かべた映像が送れるという優れた機能。制限はあるが・・・流石双子。もう普通の人とは名乗れないね僕達。
「じゃ」
「ん」
別れの挨拶は何時も淡白です。
近くに居るだけで安心出来る体の作りをしているので。どんな作りだ。
もう実験動物にされても文句言え無さそうです。
家族は黙ってないだろうですけど。
さて・・・学園長室学園ちょしちゅ。ん?噛んじゃった?
もう校長でいいじゃないですか。
「おじゃまします」
「む? 君は?」
お、声の割には意外と若そうですね。校長。
いや・・・待てよ?ストーカーおばさんの前例があるから中身は意外と・・・。
「・・・君、何を考えているのかね?」
「貴方の事を心より思っていました」
あれ? 嘘は吐いてないけど・・・何か変なニュアンスになったような?
「・・・まあ良い。して、君は今日から編入するレクヴィオ=ティナノールの妹か?」
「はい。レイヴェア=ティナノールと言います。どうぞよろしく」
にっこり。
ん? 学園長が複雑そうな表情をしている。
何か変だったでしょうか?
「あの・・・?」
「あ、ああ、いや・・・レクヴィオ君とそっくりだと、な・・・」
当たり前じゃないか双子なんですから。
「・・・良く見ると、そっくり過ぎる・・・瞳の目も左右対称で同じ・・・魅力も・・・もしかしたら彼よりも上かも知れんな・・・」
「・・・あの」
ぶつぶつと煩い人ですね。
と、言いかけて口を塞ぎます。
危ない危ない。
下手をすると家名に泥を塗る所です。
「ああ・・・私はこの学園の学園長、ビルテ=グリスフィールド。よろしく頼む。
今、君受付を担当する教師を呼ぶのでな、少し待っていてくれ」
「はい」
校長――ビルテさんは机の上にあった鈴を2回鳴らします。
りぃん…りぃん…
・・・ドタドタドタ…ガラァ!
「お呼びですか?」
気の強そうな女性です。
少し皺がありますね。
正真正銘のおばさんですね。やっとまともなおばさんに会えた気がします。
「来たかソラーテ。この子の受付を頼む」
「編入生が来たのですか。 この子、って・・・レクヴィオ=ティナノール?」
む。また間違われた気分です。
「いや、その子はレクヴィオ=ティナノールの双子の妹――レイヴェア=ティナノールだ」
「そ、それは失礼しました。では、レイヴェア=ティナノール。私に付いてきて下さい」
焦りを誤魔化しましたね? 僕のこの目は騙されないのです!
うわ、どうでもいー。・・・ですね。
ああ・・・また新たな登場人物が・・・。
覚えられないのに直ぐ出してしまうのが悪い癖なんです・・・。
「僕の名前は?」
レク。
「・・・レイです」
いや、まぁ・・・一人称が同じだし間違ってもおかしくはないよね?




