33話 か、母様!嫉妬は逆恨みですぅ・・・。
8歳になりました。
この世界には学園というものがあり、レクは今日から行くそうです。
残念ながら僕は体の都合(聞こえが悪いですね)により行けませんが。
「レイ。行ってくるね♪」
「いってらっしゃいレク」
さらりとした挨拶です。
別にお互い不愉快にはなりませんし。
あ、そういえば話すときに少しずつ違和感が無くなってきました。
まぁ結構前から僕もレクも普通に話せたでしょうけど。
敢えて言わないでおきましょう。
「あぁ、レクちゃん・・・行っちゃうのね・・・」
何処の悲劇のヒロインですか母様。
「ふ。立派になって帰ってくるのだぞレク。ティナノールの名に恥じるなよ」
まだ8歳ですけどね。
てか何をかっこつけているのですか父様。
「ふむ・・・寂しくなりますね。まぁレイが居ますし大丈夫ですけど」
何だかんだでシスコンですよね兄様。
いや・・・レクの事も好きなのは知ってますけど?
「いってらっしゃいませレク様」
「・・・いってらっしゃいませ」
メシスさんとネルメさん。
仲いいですよね何時も。
言ったら、少なくともネルメさんには半殺しにされそうです。あ、ごめんなさい許して下さいぃ。
「レイ。立派になってくるから!」
「もう少し、ぼくいがいのひとにもかまってあげて下さいね?」
ほら、さっきから僕にしか話さないから母様の嫉妬の目が痛い。
ついでに半泣きなんですけど。
「行ってきます皆!」
そう意気揚々とレクが馬車に乗り込みます。
既に作法などは完璧ですので、その姿はまるで騎士の様――・・・まぁ、女たらしになって帰ってこない事を祈りましょう。
てかそうなっていたら僕が躾直しましょう。
「・・・レイ様、そろそろ」
メシスさん、いい笑顔ですね。
分かってます。この後の僕の地獄が楽しみなんですね。流石鬼畜外道。
「ふふふ・・・貴方様もレク様に負けない様に頑張ってください」
はて? 何の事でしょうか?
地獄ですか? 地獄を頑張れというのですか?
まぁ、逃げる道なんで最初から用意されているどころかその一端もありませんけどね!
「・・・学問の方ですよ?」
あ、そっちですか。
でも教えるのが貴方である限り地獄に変わりはありませんよね?
というよりも・・・僕に学問なんて大丈夫でしょうか?
頭がヒートオーバーして熱で焼き切れたりするかも知れませんね。
冗談とも言えないからこそ怖いんですよ。
つまりは僕は勉強が苦手で――
地獄がやはり待っている、と。
あはは・・・助けてくれ神様ぁぁ!
だが、助けは乞わん!
『・・・勉強、私が教えましょうか?』
あ、ルーンなら神じゃないし、教えを乞う事にしましょう。
なんて安っぽいプライドなんでしょ、おほほほ。
レクの旅立ち(?)です。
まあ、直ぐ(物語の中では数年)に会えるんですけど。
あ、これで一章終了です!
次は成長したであろうレイの学生時代!
よろしくお願いしますっ!




