32話 僕達は似た者同士?ま、似たようなものだね。
さて、現在の状況。
食いつぶされた僕は椅子で項垂れています。
食いつぶそうとしたのに逆に食いつぶされた気分ですね。
まぁ、つまりは食べ過ぎただけなんですけど。
「うー・・・おなかいっぱいです・・・」
爆発しちゃうよー。ぼかんといって、中の肉が弾け飛ぶよーグロイ!
「・・・だいじょうぶレイ?」
「だ、いじょうぶですレクぅー」
ごめん、全然大丈夫じゃないから。
「レイ・・・まだねつがさがりきってない・・・へやにいこ」
「・・・ですねー」
というわけでパーティーを早退し、僕の部屋へ。
お?レクも来るんですか?
あの一件以来、レクは僕に執着し過ぎな気はしますが・・・どちらかというと嬉しいので許しましょう。
途中で母様が残念そうに名前を呼んでいましたが、話し相手――使用人はたくさん居ますから大丈夫でしょう。このティナノール家の使用人は誰もが家族と扱われるので、パーティーを参加する事も出来るのです。
「ね、レイ」
「なんですかレク?」
「ぼくは・・・よわい、よね?」
急な質問ですね。返答に困ります。
戦士としては弱いでしょうが子供としては強すぎるくらいですし・・・。
「レイを、まもれないよね・・・」
「レク・・・」
ぼ、僕が言葉を掛けられないなんて・・・。
「だからレイ! ぼくはつよくなるよ!」
・・・そうですか。
嬉しいですが何か複雑で何とも言えませんね。
そして何だかんだで安心した僕は人間には逆らえない三大欲求の内の1つに身を委ねました。
僕の中で1位の眠気ですねー。
レイがすやすやと眠りだした。
それは何時もの事だから僕は見る続ける。
「・・・ねぇレイ。レイはなにかかくしてる、よね」
それは僕の中で確信。
何時も一緒に居るからこそ分かる事だ。
僕も人の事は言えないけど・・・。
レイは僕も知っているって知らないだろうけど、僕も知っている事はあるんだよ?
例えば僕達を驚異に感じた奴の雇った、レイと僕を狙う暗殺者。
例えば僕達を良く知らずに金目当てで僕達を攫おうとする人達。
そしてそういう人達を始末する僕達の家族と使用人達。
たまに使用人達の監視を避けてくる奴を静かに仕留めるレイ。
僕だって知っているんだ。
でも、レイの隠している事は全く違う事・・・だよね?
自信はないけど・・・。
愛しい愛しい僕の半身。
何でそう思うんだろうね?
でもレイが大切だっていうのは変わらない。
だから僕はレイを守るよ。
その為に強くもなる。
「・・・レク様。決心はつきましたか?」
メシスさん・・・。何時から居たんだろ・・・。僕がレイの額にキスしたのは・・・見て、ないよね?
「・・・うん。 ね、メシスさん。僕が居なくなったらレイは悲しむかな?」
「ふふ・・・愚問ですね。レイ様は悲しみませんよ」
あ、胸にぐっさりと何かが・・・。
「レイ様はレク様を信じてらっしゃるでしょう?」
・・・メシスさんはやっぱりよく分からない。
きっと僕は勝てないよね。
「メシスさん。僕はもっとレイに相応しい騎士になる為に学園へ行くよ。それで強くなる。レイの騎士として・・・ね」
ずっと前にメシスさんに持ちかけられた話しだ。
レイ様の騎士となるにはレイ様と同等にならなければいけないでしょう、と。
その時はよく分らなかったけどね。この前のやつでしみじみ理解したよ。
「ふふ・・・やはり貴方達は面白いですね・・・」
あー・・・メシスさんが怖い。顔は見たくない・・・。
「この前、レイ様は私にレク様と同じ様な話し方で話されました。同じ事を同じ様に隠すなんて・・・流石は双子でしょうか?」
え、レイも僕と同じだったの?
もしかして隠している事ってそれ?
こんなにすんなりと分かっちゃったのはショックだよ?
でも・・・
「・・・レイ・・・愛してる」
え? 勿論双子として、半身としてだよ?他意はないからね。
メシスさんがくっくっくと悪役っぽく笑っているのは・・・多分幻聴。
そう、幻聴であってほしい・・・。
おお、気付けば初めてのレクのターン。
これからはもっと別視点が増えると思います。。。
あ、サブタイトルもレクしてんです。




