29話 んん?意外と僕って無敵じゃね?・・・はい、調子乗りました。
ゴボゴボ
『いーーやーーーたーすーけーてー』
棒読みで叫んだ僕はそこで目を覚まします。
はい。普通に溺れた夢を見ました。
べ、別におねしょとかではありませんよ!?
「・・・レイ」
「・・・おきたんですねレク」
「どっちかっていうと、いまおきたのはレイ」
「ですねー」
レクが起きていた様です。
しかも顔を覗き込んでいたとは・・・驚きです。
「レイ・・・いきてる?」
「む。しつれいですねレク。ちゃんとぼくはいきてますよ」
ぼろぼろとレクの目から出ているのはただの水です。
ちょっと塩入りのしょっぱいただの水です。
え?塩入りなんだから塩水なんじゃないかって?いえ、ただの水です。そこは曲げません。
「・・・だいじょうぶですよレク。ぼくはレクの――」
「・・・レイはぼくの――」
「「はんしんだから」」
・・・わーい。はもった。
・・・何で?
「ふふ・・・なんかそんなきがしたんだー♪」
嬉しそうですね。まぁ僕も嬉しいですけど。
「レク。もうだいじょうぶなんですか?」
「・・・うん。レイはここにいるからね」
むぅ・・・何やら気恥ずかしい・・・。
レク。女たらしにならないか僕は心配ですよ。
「あ、かあさまやとうさまにあいにいってくるね!」
「はい。あ・・・レク、もうだいじょうぶなら、ぼくはもういいですか?」
「え?・・・あー・・・いいよー。すぐかえってくるからね!」
パタパタと元気に駆けて行くレク。
僕はそのままベッドに倒れこみます。
「あー・・・ごほごほ・・・またかぜですか・・・」
つまりはまた病気になった様だということです。
レクは直ぐに気付いたみたいですね。もうそれが普通になってますけど。
ざわざわ
「・・・」
ざわざわ
「・・・」
ざわざわ
「・・・なんですかこれ?」
『神候補の1人――ルイセク=マリクの能力《敏感察知》よ。気配とか危機とかを敏感に察知する力。人の気配と話し声に敏感になっているのでしょうね。そのまんまね』
おー天使様の声が杖からー・・・遂に化けて出ましたか。
『昨日の事忘れたの!? 私、杖になったのよ!?』
ああ。そういえばそんな事もありましたね。僕も歳の様です。
『まだ7歳でしょう・・・』
前世含めて22歳です。
『そうね・・・。と、兎に角、あの男が死んだから能力は貴方に受け渡されたのよ。あの男が死んだ原因は貴方なんだし』
そうですか。ルイセク=マリクというのは?
『あの男が殺した別名がりがり野郎よ。ついでにあの男の名前は――』
興味ないです。てか、がりがり野郎が別名と認められるのですね。
せめてがりがり君で。
ん?どっかで聞いた名前ですね?どうでもいいですけど。
『神候補を殺せば、その人特有の能力を受け継ぐ事が出来るのは知ってるわね?あの男は、貴方から受けた恐怖に耐えられなくて首を吊ったわ。そういう場合は、その死の原因となった神候補に能力が受け継がれるのよ』
便利ですねー。
『・・・男の死因については無視なのね。貴方らしいわ』
いえいえありがとうございまーす。
さて、あのおじさんのおかげで能力は増えましたねー。神に一歩近づきましたね♪
えーと・・・能力は・・・
がりがり君・・・《敏感察知》《最悪な幻》 逃げ腰の能力ですねー、今思うと。
おじさん・・・《神聖なるベール》 ・・・他に無かったんですか?いえ、他意はありません。
もともとの僕・・・《精神接触》《絶対なる支配》
総合・・・《敏感察知》《最悪な幻》《神聖なるベール》《精神接触》《絶対なる支配》
ですねー。
気配探る事が出来てー、絶対守護(?)があってー、精神に干渉出来てー、命令したら実行させる事が出来てー・・・あれ?
・・・既に最強なのでは?
ルイセク=マリク
「・・・ごほごほ・・・おお母さん。僕は、僕は・・・」
どがぁぁ!
「「!!」」
「はっはー!みっつけたぜぇ!?」
「ひぃぃ!」
「あぁ!ルイセク!私を、母を、をおいて行かないでおくれぇぇ!』
「待ちやがれがりがり野郎!」
「・・・あ、なんだ。狙いはルイセクかねぇ。・・・ルイセク、立派に生きておくれ!」
「かあさーーんっ!?」
「ルイセクゥゥ!」
「まちやがれぇぇぇぇ!」
「うわぁぁぁん!」
ていうカオスな出来事があったとか無かったとか。




