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世界の破滅を願う者(笑)  作者: 藍猫
がきんちょ時代
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28話 はい。異常らしいですが、何か?







「あ、起きましたかレイ」


「・・・おはようございますにいさま」


朝の様です。ふむ。天使様をからかってから眠ってしまったのですね。


レクは未だに眠り姫、と。キスしたら起きるでしょうか?今度試してみましょう。

・・・冗談です。


「・・・にいさま、ずっといたのですか?」


「え? ええ・・・ちょっと心配でしたので」


妙に歯切れが悪いですね。

不謹慎ですがわくわくしますね。おら、なんかわくわくしてきたぞ!みたいな?


「なにがあったんですか?」


「あー・・・それがですね・・・あの男の事なんですが・・・」


あの男?

あー? ・・・ああ、あのおじさんですか。


「実は昨日の夜の内に――」


バタン!


「ディオネスちゃん!」


あー母様だぁー。これはどう見ても兄様の言葉を遮りましたねー。

もう言いたい事は伝わっちゃいましたけど。


「駄目でしょディオネスちゃん! ちょっとこっちに来なさい!」


「か、母様!? いや、私は・・・」


「ルハイトみたいな下手な言い訳しないで、ほら早く!」


「あーーーー!」


パタン。


静寂。


・・・成仏して下さい兄様。僕は関係無いので、呪わないで下さいね?


「・・・れ・・・い」


「あ、おきて――ませんね。ねごとですか」


がっかりです。


折角起きたと思いましたのに・・・。

さて、もうひと眠りを――


ギュウ


・・・む。動けない、だとぉ。


レクの腕は思いっきり僕の背中を絞めていきます。


お、折れるぅー! 折れるってレクぅ!?

もうばきばきといいだしてるよ!?

ぽっきりと逝っちゃいますって!あ、ぽっくりかな。


「れ、レク」


あ、緩んだ。

あー・・・死ぬかと思いましたね。


・・・双子の兄に殺されそうになるとは・・・。


改めて思うと何やら複雑な心境です。


「・・・おやすみレク」


軽く微笑みます。

多分、下手などこぞの天使よりは天使らしい笑みだったでしょう。中身は別として・・・しなくても。












「――もうディオネスちゃんったら! あの糞じじいが死んだ事は言わない約束でしょう!」


「え、口調が――痛い痛い痛いですって母様!耳を引っ張らないで!」


レクの部屋から出た2人――ウリューネとディオネスは大声で話し続ける。


「もし言って・・・レイちゃんが悲しんだらどうするのよ!」


「・・・え、母様?それ本気で言っておられるのですか?」


「・・・どういう事かしら?」


ディオネスの発言にウリューネの機嫌は更に急降下。

下手な事を言えば()られる雰囲気だが、言わなければ更に酷い事をされると感じたかどうかは分からないが、ディオネスは渋々ながらに口を開く。


「いえ、レクは兎も角、レイはそういうのは気にしないと思いましたので・・・」


「・・・どうして?」


ウリューネは理解が出来なさそうに目を見開く。

眉も顰める。つまり皺がよる、と。


「・・・母様も分かっておられるでしょう? レクとレイの異常さ」


「・・・ええ」


レクとレイは異常。特にレイが。それは周知の事実のはず。


「だからこそ現れる者達(・・)の事も」


「・・・ええ。でもそれは――」


「そう。私や父様、使用人達の仕事ですし、排除しています」


もしレイが居たなら、真っ先に「ぶっそうですねー」と軽くあしらう話しだろう。だが、今ここにはレイは居ない。レクと仲良くお休み中だから。


「その事にレイとレクは気付いていますし、レイに至っては見ています(・・・・・)


「えっ!?」


ウリューネが今度は驚きに目を見張る。


「私も気付きませんでしたが、レイはその様子(・・・・)を見ているのです。隠している訳ではなさそうですが・・・」


「・・・そう理解したわ・・・。でもディオネスちゃん? そういう話は出来るだけ避けてちょうだい・・・」


ウリューネもそこそこの実力の持ち主。

レイが気付かれずに見ていたという事は、それなりに実力があるのだということと、それを見ても変わらないのは精神が強いという事はウリューネにも分かった。

だが、ウリューネは母親だ。

子供にそういう汚い所を見せたくないのだろう。


「・・・分かりました」


ディオネスは静かに答える。

彼にとってもレイは大切な妹にかわりはないのだから。


「・・・幸せに生きてくれれば母親としては嬉しいのよ・・・」


呟きは静かに消えていく。










「・・・たしかにみてましたけど・・・そんなストーカーみたいないいかた・・・」


「いやぁ・・・他に言いようがないもので・・・それに、ストーカーっていうのもあながち間違いじゃな——ご、ごめんなさいぃ!?な、何いきなり・・・レイィ!?」


「こんにゃろ、こんにゃろ!・・・ああ!からだがかってに!にいさま!よけてぇ!」


「思いっきり掛け声が聞こえましたよレイィ!?」




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