26話 ラスボスは神様じゃなくて閻魔様。所謂腹黒さんにけってー。
「う、わ・・・あ・・・レイ・・・レイィ・・・ヒック、ヒック」
正気に戻った様です。これで一安心、と。
さて、早くレクの涙を拭きとらないと口に入って窒息死しますね。いそいそ。
「え、もう、大丈夫なのレイちゃん?」
「・・・え? あ、はい。もうだいじょうぶです」
おっと、つい気が緩んじゃいましたか。
「ふふ。流石レイ様。あの一瞬でレク様の精神を安定させるとは・・・」
・・・純粋に褒めてくれているんですよねメシスさん?
さっきの事の後だからかあまり嬉しくありませんね。
「でも、まだふあんてい。 かあさま。きょうはレクといっしょにねてもいいですか?」
「え、ええ! 勿論ですわ! ただ・・・私も一緒に・・・///」
「かあさまにはとうさまがいるではないですか」
「そうだぞウリューネ。私の心の慰めになってくれないのか?」
んー?父様、そういう話は寝室でお願いしますね。
僕達の様な純粋(?)な子供の前で話さないで下さい。
「ふふ・・・。奥様、旦那様、今日はもうお休みになられてはいかがですか? レイ様もレク様もお疲れの様ですし?」
何故に疑問形?僕は疲れてる様には見えないのでしょうか?
「・・・ここ3日、まともにお休みになれらてないでしょう?」
「う・・・そ、そうね。じゃあ行きましょうかルハイト。レイちゃんとレクちゃんのお邪魔の様ですし・・・ふふ」
ネルメの少し咎める様な表情に気圧される母様は素早く出て行きます。
最後の笑みは何故か黒いものが見えた気がするのですが・・・はい。気のせいですね。
「ではレイ様。私どもも下がらせて頂きます」
「はい」
そう言って出て行こうとする2人。
「あ、ちょっとまってくださいメシスさん!」
「? 何でしょう?」
ネルメさんは邪魔にならない様にさっさと出て行きます。
よく空気を読める人だと感心しますね。ほんと好きですよ。
「・・・ぼくのことはいわないで」
「・・・くく、了解しました」
・・・はて?何が面白かったのでしょう?
結構真面目な事を言ったと思うのですが?
「いえ・・・やはり貴方は皆さんが大好きなのだな、と思ったもので」
さり気無く読まれた!?
「い、いきなり――」
「ふふ。では私はこれで・・・」
・・・これでも負けっぱなしは趣味じゃないんです。
だから・・・
「・・・僕はメシスさんの事も好きだよ?」
お、メシスさんが硬直しましたね。面白ー。
衝撃の告白(?)か、口調が変わった事か・・・どっちでしょうね~?
「・・・レ、レイ様・・・やはり貴方は・・・」
んんー? ちょっとわくわく。 メシスさんがどういう反応を返すのか――
「私も好きですよ?」
びしぃ
・・・あれ?何でだろ。すっごくあり得ない事を聞いた様な・・・?例えば小さな石ころが実は人間だったーとか、僕の目玉が飛び出て世界を駆け巡って世界を支配したーとか、男が転生して女になったーとか・・・最後はあり得るか。実際居るし(僕だけど)。兎に角、それぐらいあり得ない。意外と神の力があるからあり得そうな例えだったけど!
てか、どうしよう。流石の僕も衝撃のあまり動けない。
「・・・」
「ふふ・・・流石レイ様ですね。やはり貴方は面白い・・・」
例えさっきの告白がほんとでも、おちょくられただけだったとしても、
どうやら僕はこの人には一生勝てなさそうです。
もういい。この人ラスボスって事でいいんじゃないの?
神じゃなくて。
裏話・・・『メシスさんとネルメさんのその後の舞台裏』
「・・・趣味が悪いですねメシス」
「おや聞いてたんですかネルメ?」
「・・・気付いてたくせに」
「くっくっく・・・嫌ですね。流石の私も主との会話(触れ合いという名の一方的ないたずら♪)を盗み聞きなんかされたくありませんよー」
「・・・こんな奴に主と認定されたレイ様達には同情すらしたくありませんね。申し訳ありませんウリューネ様、レイ様。私は自分の身の安全の為に敵前逃亡をすることをお許しください!」
「くく・・・闘志めらめらの目で睨みながら言う言葉ではありませんよ?」
次の日、一部の屋敷が木っ端みじんに破壊されていたという事件があったとか。




