24話 現実逃避。僕は正しい使い方を覚えた。ぴろりーん。
「ああ・・・早く目を覚まして頂戴よレイちゃん」
母様・・・手を握るのは嬉しいのですが、加減は重要だと思うのです。
ですが僕の目は開きません。てか、開けません。寝てますから・・・あれ?僕って今、起きてるの?
むー・・・どうやら僕の頭は混乱中の様です。
「・・・奥様、レイ様の精神状況は著しくありませんから、今はそっとしておきましょう」
「・・・そうね。それでレクは――」
「奥様!!」
む。母様の言葉を遮るとは・・・大した度胸ですね、ええと・・・メイドのリオテナさん?
「レク様が・・・レク様が目を覚ましました!」
「っ! 本当なの!? 今行くわ!」
・・・レク。
母様が出て行ったので、僕も行きましょ――
「やはり起きておられましたかレイ様♪」
さ、寒気が・・・。
い、何時の間に・・・てか、何で居るんですかメシスさん・・・。
「知ってます? 起きている人と寝ている人の気配は違うのだと」
身をもって参考になりました。
流石僕達の師匠(?)ですね~あはは・・・。
・・・お?急に真剣そうな似合わない顔つきになった。
まぁ美形だからどんな顔でも似合うんだけど。・・・うわぁむかつく。
「大丈夫、なのですか・・・?」
ほう・・・結構心配して下さっていたのですね。感激ダナー。
「せいしんのこといっているのですか? ならだいじょうぶですよー? なんでかは・・・けんとうはついているのでしょう・・・?」
長文の平仮名って読みにくいね。
反省反省。自重はしないけど。
「・・・ふふ。つまりは私の貴方に対する印象は正しかったということですかね?
そう・・・貴方は元から精神が壊れている、というよりも歪んでいる、という印象は・・・」
そう。僕の心は最初から不安定で歪んでいる。だからこれぐらい大丈夫なのです!
「・・・ふふふ。せーいかーい♪」
にしても、さっすがメシスさん~。そこまで見抜いているなんて・・・探偵にでもなる気ですか?
メシスさんには性格的に無理だと思うので止めておいた方がいいですよ?
「流石私の見込んだ方なだけあります」
・・・は?
んー?何時も人を小馬鹿にするメシスさんから、普通ではありえない言葉を聞いた様な感じですねー?
・・・何の前兆でしょう。僕、トッテモ怖イナー・・・。
「ふふ。ではレイ様? 早くレク様の元へ行きましょう。ネルメはレイ様の方が重傷と言ってましたが、私にしてはレイ様よりレク様の方が重傷の様に感じますからね」
ほんとだねー。
・・・ん?遠回りに神経が図太いみたいな事言った?・・・気にしたら負け、なのかな?
「・・・ああ、そうそう。今度貴方の精神をもてあそ――実験させて下さい♪」
・・・もう一回、言い直して欲しいな。もっとまし、っていうかそれとは真逆な事を。
「あ、それと・・・たまには素で話して下さっていいですよ?」
え、そこまで気付いてるんですか。
・・・そういえばこの前ネルメさんに、メシスさんに心を読まれるという恐怖的な幻術を見せられましたっけー?もうあれって、現実の事なんじゃないの?きっとそうだよね。じゃないとここまでスムーズに僕の事が言えるはずがない!
怖いよこの人!絶対心読んでる!
きっと神候補の一人で、そういう系の能力なんだ!
そうであって下さいぃ!
「そこまで言われる筋合いはないと思うのですが・・・」
いーやぁーーばーけーもーのーー!!
「・・・顔に出てましたので」
その程度で済まないよね!? 普通に読んでるよね!?
「ふふ。さあどうでしょう?」
「・・・レクのところにいきましょう」
現実逃避というものがここまで役に立ったのは予想外でしたね。
「ふふふ・・・私から逃れられるとでも?」
「どこまでよんでるのこのひと!?」
メシスさん
きっと貴方は
変人だ
・・・なんか変な俳句を作ってしまった・・・。




