22話 せめて明かりはつけましょう。怪しいです。皆さん。
「・・・2人は重傷。レクヴィオは精神にも多大なるダメージあり。現在自室にて睡眠中、と」
「・・・すいません私どもが居ながら・・・」
「いや、あの者は思ったよりも強敵だったのだろう?お前達を凌駕するほどの力の持ち主・・・。興味深いものだ。こんな会い方をしなければ実験の手伝いを頼んでいただろう」
「・・・それはどうかと思いますが? そもそもあの実験に手を貸そうなんて人は少なくとも知り合いには貴方くらいです」
暗い部屋に居る影は5つ。
ルハイト、ウリューネ、メシス、ネルメ、ディオネス――だ。
さっきの会話はルハイトとメシス。
その会話から分かる様に、このせめて部屋の明かりをつけろ、と言いたくなる集団はレクとレイについて話し合っていた。
「・・・レク様は幻術に掛かっておりました。ですが、途中で解かれたようなので・・・精神が壊れる事な何とか無いでしょう」
ネルメは何気に物騒な事を言いつつもレクの現状を報告した。
見つけた時は虚ろな目で虚空を見ていたレクを、心配しない人はいなかっただろう。
が、ネルメは「・・・ですが」と続けた。
「・・・それなりにショックな内容の様でしたし、回復までには時間が掛かるかと・・・」
「そ、そう・・・それで・・・レイ、ちゃんは?」
「「「・・・っ」」」
ウリューネの小さな問いにメシスを除く3人の息が詰まる。
メシスは目を伏せてまた開くとレイについて言う。
「レイ様は心に傷を負ったのではなく、歪まされた、というのがレイ様を見た医師の答えです」
「・・・大丈夫なの?」
「体に異常は傷が多くありましたが、命に別状はありませんでした。ただ心の方は――起きてからではないと・・・」
つまりは今の状況、体よりも精神が危険なレクとレイ。
精神は肉体よりも癒す事が難しいのは誰もが理解しているためか、そこにある空気が暗くなるのは必然といえた。せめて明かりをつけよう。
《――ていう感じの状況になっているわ》
と、天使様(姿は見えないけど)がふんぞり返りながら母様達の状況を宣います。
何でこんなに偉そうなんでしょう?もともとの責任はほとんどこのいい歳の天使様だというのに。
親の教育が悪いんでしょうか?矯正する事をおすすめします。
《・・・あいっかわらずね、貴方。悪かったって何度も言ったじゃない》
今の含めても2回目ですけど?
何の戯言でしょう?
僕は辺りを見回します。
どう見ても自分の部屋です。
皆さんは僕の精神的な重傷から、まだ起きないと考えたのか誰も居ません。
あれ?天使様は居るっていっていいのかな?でも声だけだし・・・。
まぁ、存在的には拒否したい相手ですけどね。
《・・・だから、悪かったわ、って》
あはは。これでも根に持つ陰険タイプですから(笑)。
《無表情で言われても・・・ 怖いだけよ(ボソ)》
恐怖ですか。それはよかったです。
これで貴方の弄くりがいが出てきましたね♪
《・・・真剣に恐怖を感じたわ・・・》
「メシスさんたちのめがわるくなりそうです」
「メシスさんはもともとよくないよ?」
「ですね。いつもえがおなのは、めつきのわるさをカモフラージュしようと・・・」
「何か用でも?」
「「ごめんなさい。ただ、めつきわるいね、ってげんじつをいっていただけで・・・」」
「そうですか。まさか貴方方が動かぬ死体に転職なさりたいとは・・・予想の範疇です」
「「ころさないでー」」
何時も賑やか(?)な3人でした。




