17話 清める?先ずはその汚い顔を清めて下さい。
ドガッ!
「が、はぁ!」
どざぁ
「くくくやっと見つけたぜえ?」
っ・・・痛い。
口から血が出てくる。
レイも同じ目にあったのかなぁ・・・。
「で、今度は嬢ちゃんが居ない、と。影だなぁ?」
「・・・」
睨むけど効果はないみたい。
これはやばいよね。
しかもレイを狙ってる。
でもそれは僕が許さない・・・。
レイは僕が守るから!
レクがやられてる。
それはおじさんが来た時から予感はしていた事だ。
でも、流石にもう見てられない。
どちらかと言うと僕の方が魔法は得意だし、レクの魔力は肉体強化に使われている。
だから、今のレクには全力で逃げるしか出来ない。
――僕も出る。
――っ・・・わか、った。
どぶ――
「【風】!」
飛び出すと同時の魔法。
すぱすぱとおじさんの体に傷が出来るが、それだけだ。
「くく・・・やあっと出たか!」
待っててくれたんですか。それは・・・光栄デスネー。
「【重力】!!」
ドオオ!
おじさんが土にめり込む。でもやっぱそれだけ。
あれー?おかしいな。これで重力は5倍くらいにはなったはずなんだけど・・・。
ああ、おじさんが見た目のまんまの馬鹿力だからですか。
あ、魔力がやばい。
レクと手を繋いで再チャレンジ。
「「【重力】!」」
「ぐ、うううぅぅ・・・はぁぁ!!!」
跳ね返された様です。
魔法が霧散されて消えていきます。
「はっ、ガキの割にはつええなぁ!? だが・・・まだまだだぁ!」
ドガンッ
「っ――がはぁ!?」
ガッ
「――っごは!」
ああ!レクと引き離される!まるで運命によって引き離されるロミオとジュリエットの様に――どうでもいいわ!
「っ――【炎+雷】ぃ!」
どがぁぁぁぁぁ!
・・・そうですね!そういう全力のやつは避けちゃえばいいですねぇ!!
つまりは避けられた。
僕の魔力と精神、共にダメージ有り、と。
「ふぅ――ハァ!」
レクがおじさんに渾身の蹴りを放つ。
足っていう狙いはよかったんだけどね。
でも、その前に接近に気付かれてたら意味ないよレク。
今、おじさんは蹴りを避けて空中。
なら――
「【無数なる玩具、召喚】!」
大量の武器の召喚。武器=玩具っていうのはメシスさんの教育によってですからね?
狙うは勿論おっさんだぜぃ!
「い、っけぇ!」
ドガガガガガァァ!!
「くはっ、残念だったなぁ!?」
武器が全て弾かれた。
謎の――透明の白いベールによって。
「これが俺に与えられた神の絶対防御の力――《神聖なるベール》!すべてのものの思考を、物の使い道を清める力だぁ!!」
・・・へえ。で?
正直どうでもいい、っていうか・・・キャラと合わなさすぎだろ。
神様、何がしたかったんですか?
ギャップの差を楽しんでおられるんじゃないか、てめー。
ですが、それはベール。
実態ある物なら、触らなければいい。
自分の手の打ちを晒すなんて――ありがたい事この上ない。
「いいですかレイ様?敵は、ゴミです」
「・・・はい」
「ゴミの話を聞くのも良いでしょう。いい人生経験になりますからね」
「・・・はい」
「じゃ、先ずはゴミの教育の仕方をお教えしましょう」
「・・・」
「ではこの玩具を使ってより酷い事をなさってください」
「え、これぶきだよね?いまがんぐっていったよね?」
「玩具です」
「や、だから――」
「さぁ♪」
という教育と言う名の特訓をされた記憶がある僕なのですよ。