15話 騙す?狡猾な策略ですよ。又はお茶目な悪戯☆
「くくくく・・・まだまだ、足りねえなぁ」
近付いてくる。笑みは既に醜悪で気持ち悪いって言っていいと思うほどだ。
おじさんは倒れこんでいる僕の顔を見ようとしゃがみ込む。
ガッ
根元の方で髪が掴まれ、持ち上げられる。でも足はついたままの状態。
意外と痛い。
「・・・印は何処にある?」
は?印?一体何の事でしょう?
「んあ?パートナーとかほざく天使に聞かされてないのかぁ?」
「げ、ほ・・・てんし・・・ああ、ストーカーおばさんですか」
「ストーカーおばさんー? くっくっく・・・天使の事かよ。おもしれーこと言うぜ。」
そりゃどうも。
「印ってのは神候補である事を示し印だ。聞かされてねーみたいだが、本物なら何処かにあるはずだぜ?
ちなみに俺の印は首だ」
そう言ってわざわざ見えるように襟を開きます。
印はぼんやりと白い光を発しています。
蛍の光の様な小ささです。
「・・・はじめて、みます」
知らない、という意思表示のつもりで言ったのだけどおじさんは見事に勘違いなさったようです。
「嘘だなぁ。そう言って逃げるつもりかぁ?」
まあ逃げるつもりではありますけど。
急に厳つい表情になったおじさんが腕を大きく振りかぶります。
ああ、また殴るんですね。
「少なくとも、発散ぐらいはさせてもらうぜえ?」
ぶん
拳が顔面目掛けてやってきます。
そこでリターンしてくださるととても嬉しいのですが・・・その思いは拳には伝わらない様です。
ですので、流石の僕も逃げる事が無理だと悟った訳ですよ。
だから――
――ごめんなさい・・・今、お願いします。
――了解。
ドガァァァァァァ!!
大きな音をたてておじさんの拳が弾かれる。
「なぁ!?」
流石に驚いた様ですね。
そりゃそうです。
当たる以外に選択肢がないはずの腕が思わぬ結果を生み出したのですから。
ドプン――
波を打つように影からレクの登場。
双子だからこそ出来る事!普通は双子だからって出来ない事でしょうね。
僕とレク、片方が片方の影に潜む事が出来る双子の神秘がなせる技――なのかな?
「・・・んだぁてめぇ?」
「おまえ、レイになにしたっ!」
「はぁ? ・・・ん?お前、その嬢ちゃんと・・・兄妹か?」
おお、鋭いですねおじさん。
字も間違ってないですよ!
「ぼくとレイはふたご! おまえ、ゆるさないからな!」
「く、ははははは! そいつぁ面白い! 二人揃って掛かってこいやぁ!!」
「レイ! いくよ!!」
「・・・うん」
ダッシュ。
勿論、おじさんとは逆方向に。
「・・・【水蒸気】!」
目くらましもばっちり。
「・・・は?」
ぷ。ぶっざまー!
まんまと掛かってやんのぉ!
「・・・つまりは何だぁ?俺は騙されたってのかぁ?」
騙した覚えはないけどね。裏を掻いただけさぁ。
「――っふっざけんなよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
・・・やば、怒らせちゃった。
どおおおん、ってクレーターっぽいのが出来てそうだけど・・・今、余裕ないから無視、と。
レクは何時から居なかったんでしょう(汗)
言葉足らずな所が多くてすいません!