14話 存在しないプライドなんて捨てちまえ!だから、無いって。
おじさんの目が血走ってます。
これだけ聞くとすっごく危なそうな人ですね。てか実際に危ない人ですけど。
変えようがない事実は変えられません。当たり前です。
「・・・にしても不思議だな?お前のようなチビが候補だとは・・・。だって、候補が出始めたのは7年前だぜ?嬢ちゃんはどう見ても7歳くらい・・・て、ことは生まれた時から神候補ってわけだ」
おしい。実際は生まれる前から、ですよ。
「俺はもともとこの世界で名を馳せてきた男だ。そこに神の力が+されたから並みの奴じゃ俺に勝てねぇ。俺を・・・楽しませられねぇ」
でしょうね。
「だがな・・・例え元がどんなに弱い奴でも神候補として力を貰うと面白れぇ戦いが出来る」
ふむふむ。それは初耳。 所で、何か話の流れが嫌な方向に傾いているような・・・?
「だから・・・俺を楽しませろ! 最も若き神候補! 全力で・・・戦えぇぇ!!」
おじさんが物凄い勢いで飛んでくる。
これはホラーに分別していいと思う。
色々と怖い。
兎に角、体が弱くて満足に戦う事すら出来ない僕には一つの選択肢しか残されていない。
《逃げる》。以上。
では解散。
ガサガサッ
草むらに逃げ込み、全力の気配消しを実行。
少佐!意外に効果ありの模様!
標的、その場に暫し停止!
て、停止?
そんなわけはない!
ああいう戦闘狂が停止するはずが――っ!
「そこかぁぁぁぁ!!」
「っ――やば」
どっがぁぁぁぁぁぁぁぁ!
おじさんの手が振り下ろされただけで地面が抉れる。
しょ、少佐・・・はもういいか。てかそんな余裕、流石にない。
「くっくっくっく・・・逃がさねーぜぇぇ?」
「・・・【水アーンド炎イコールすいじょうき】!!」
ぼじゅわぁぁぁぁぁぁ
「っ、目くらまし!?小賢しい!」
ぶわぁぁぁぁぁ!
折角の煙幕代わりの水蒸気が消し飛ばされる。
あ、呪文に関してはノーコメントでお願い。
気分で言ってみただけだから。
ゴッ!
「――ッグゥ!?」
おじさんのぶっとい腕のただの殴りがお腹に炸裂。
やべ、胃液が出るって!
「・・・っごふっ」
あ、胃液じゃなくて血反吐が出た。
よかったよかった――くないっ!
どっちも乙女としてのプライドがぁぁ(そんなもの最初から存在しないけど)。
「・・・ち。よえーなぁぁ? 本気を出しやがれ!」
ブンッ
大きな音を立てて地面に投げられる。
「つっぅ!」
漫画とかでよくある『ずざざぁぁぁ』ってやつ。体験してみて初めて分かる摩擦の辛さ!
ヒーローは凄いな~。平気で『ずざざぁぁぁ』ってよくされるもん。
尊敬尊敬っと・・・。
「俺はなぁ。既に1人、同じ神候補を殺してんだよ。そいつは正義感だけが取り柄のうざってぇがりがり野郎だった、が、そんな奴でも俺と渡り合ったんだ。なのに・・・お前はぁ・・・」
む?おじさんが間を開ける。でも現実の距離は間を詰めている。
「ぜんっぜんよええんだよぉ!」
ゴガッ
容赦なく放たれた蹴りは僕を浮かせて気にぶち当てるほど強かった。
「っげ・・・はぁ!」
血が飛び散る。
あはは。血ってよく飛ぶもんなんだなぁー。
それだけ現実逃避しても神様は意識を無くす事はさせてくれなかった。
だから世界は嫌いだ。
こんな理不尽なのに、そんなちっぽけな願いすら叶えてくれないんだから。
でも僕は・・・本当に気を失う事を望んだのかなぁ?
初めて(?)の戦闘シーンでした。。。
これでも意外と痛がっているって設定です。
「ねぇねぇレク。あのひとのめ・・・」
「すごいちばしってるね」
「がんかをしょうかいしないだめですね・・・」
「でもでも、ばかはしんでもなおらない、っていうよ」
「でもきやすめにていどにはいくべきです」
「「てことで、しんでください」」
「眼科は何処行ったっ!?」
「「・・・い、逝く、だってぇ」」
「字がっ!」
その後おじさんは眼科に逝ったとさ。おしまい。
――で終われば楽だったんだけどねー。